三権分立、衆議院と参議院、比例区代表制などのワードで最初に面倒な部分を叩き込まれ、マニフェストは何がなんだかよくわからずそもそも公約は守られず、大人になってもあまり興味のない人が多い政治の世界。しかし国のトップによる外交やエリートたちの議論、あるいは派閥による権力争い、悪党どものけた外れの収賄や汚職、あるいは大衆の不満を打破する独創的なアイデアがそこにはあるわけで、エンタメ作品として成功すると物凄く面白いものが生まれます。そーゆーのここでは集めてます(変なのも入れるつもりですが)。
日本が戦後最大の繁栄を謳歌していた時代、そこに絶望を見たふたりの男がいた。「光」としての政治家、「影」としてのヤクザというふたつの世界でそれぞれにのし上がりながら、日本を変革するという目的のために邁進するふたりを緊密に結びつける絆、そして彼らが時折口にする「サンクチュアリ」とは? ――「生きるとはどういうことか」をテーマとし、バディもの政治マンガとして今なお熱い支持を集める名作。
原作の史村先生は武論尊先生の別名義です。つまりドーベルマン刑事や北斗の拳と同じ原作者。読んだ後にそれ知ってびっくりしましたが、言われてみるとたしかに共通点が見当たらないでもない。ストーリーもだいぶ違いますが、絵の力は大きいものだな、と感じ入ったものです。
戦後の煤煙がけぶる昭和22(1947)年。後に所得倍増宣言をぶち上げる未来の総理・池田勇人は吉田茂と出会い、「もはや戦後ではない」時代へ向けて渉外交渉と経済対策に明け暮れることになる。当面の目標は日本の独立。血気盛んな経済界のエリートを主人公に据えた、戦後群像政治劇。
個人的には絵的にちょっと気になる部分が多いです。政治的戯画とかではなく、スーツがピッチリし過ぎとかそういう意味で。
「週刊モーニング」で2016~2017年連載、残念ながら総理になる前に打ち切られて全7巻で完結。キャラクターが共通するスピンオフ「角栄に花束を」が2019年~「ヤングチャンピオン」で連載。
試し読み コミックシーモア
海難事故により消息不明となった、海軍始まって以来の天才と噂される海江田四郎二等海佐及び潜水艦「やまなみ」乗員76名――しかし彼らは生きていた。日本初の原潜「シーバット」の艦長として再び姿を現した海江田は独立国家「やまと」を名乗り、世界を大渦へ叩き込むとんでもないトラブルメーカーにして革命家としての本性を露わにしていく。潜水艦による架空戦記にして政治のありようまでも活写する、大人のための大傑作。
普段マンガを読まないオジサンたちを虜にし、国会議員が国会でこの作品に言及したことでも有名。
そして終盤に明かされる海江田の目的――「沈黙の艦隊」は何を意味するのか?
こちらは一転ノンフィクションの原作付き。佐藤先生は文筆家として非常に人気のある人ですが、元々は外交官として辣腕をふるっていたバックボーンを持ち、この漫画では彼が外交官を辞めるきっかけとなった拘置所での500日を超える体験記(「国家の罠」)を主軸に、鈴木宗男事件、北方領土問題等についても回想しています。
実際に接した総理大臣の人物評やソ連~ロシアの政治家たちとのやり取り、外務省の体質や検察の手練手管等、包括的に様々な話題が取り扱われます。基本的に拘置所の話題か政治の話ですが、検事との丁々発止の遣り取りだけを取ってもとても面白い。
この検事がまたいいキャラクターで、基本陰険ですが徐々に憂木との関係性が変化し、講義形式をとったかと思うと、あてこすりのぶつけ合いが始まったりします。
就職氷河期に直撃し、震災にさらされ、選挙など行ったこともない三十路前のフリーター・藤丸渡は、ひょんなことから一年生衆議院議員・原アキラの秘書として雇われる。年収六百万の国家公務員……しかし一年後には任期切れで再選挙、すると政権交代のドサクサで当選したアキラは落選がほぼ確実、そうなれば藤丸は無職に逆戻り。原アキラが来期も当選するためには、何か一発逆転の大ワザが必要だが……民主党政権時代をモチーフに「今」の社会問題を切り取るエンタメ政治劇。
普通にマンガとして面白いですし、設定もユニークで非常にポテンシャルの高い作品だったと思います。実在の人物をモデルにしたキャラが多く、「いたなあこんな人」とか思いながら読みました。連載続いてたらどうなってたんだろ……。
試し読み ソク読み