昔から美大・藝大出身の漫画家は多くいたものの、デッサン力や美大っぽさを前面に押し出す作家はあまり多くありませんでした。最近ではマンガが美術館で展示されたり買い上げになったりすることも増え、アートとマンガの敷居はだんだん低くなってる気がします。美大受験系のマンガも「これは題材になるんじゃないのか」と誰かが気付いたのか、急に増えたような印象があります。
こちらは絵・彫刻・現代美術などの美術系マンガ作品のまとめです。一般的に「アート」に含まれるであろう音楽や映画は別カテゴリ。デザイナーなんかも別ですが、美大に所属しているうちはここ。
舞台は16世紀、後期ルネサンスのフィレンツェ。徒弟制で絵画が作られ、絵描きを志すものはまず工房を訪ね、いずれかの親方に弟子入りするものとされていた。「結婚のみが女の幸せ」と信じる母の元を離れ、男社会の中でただひとり女流画家の道を歩み始めた貴族の娘・アルテもそのひとり。幸いにして寡黙な親方・レオの元に弟子入りすることを許された彼女は、さまざまな軋轢と闘いながら絵描きとして進むべき道を模索していく。
特別編”アルテの一日”(4巻収録)より
試し読み マンガほっと
ベラスケス、クラナッハ、ダ・ヴィンチ、ルーベンス……後世に名を残す画家たちの元に現れる、不思議な鉱物「オリハルコン」。それを砕き塗り込めば、虹のごとき色彩が現れる。時代と国を超え、それを配り歩く男――ラファエロの目的とは? 名匠たちと裸婦をテーマにした連作絵画オムニバス。
2nd Stroke”Blossom”(1巻収録)より
試し読み 講談社コミックプラス
器用で賢い半面どこか偽りの自分を演じる高校二年生・矢口八虎。一枚の絵と出会い、一枚の絵を描いたことから、急に彼は絵の世界に目覚め、むき出しの青春に投げ出される。しかし学費は、予備校代は、そもそも藝大入れても絵で食えるのか? 懐疑と諦観から始まる美大受験ストーリー。
主人公が初心者スタートかつ天才ではないので、いきなりみんなが褒めてくれる痛快な展開とかはないです。ただし、誰も褒めてくれないのに毎日描けるところにはたどり着く。ここまでを自然に描けた時点で、もうこの作品は成功しているとも言えます。
試し読み モアイ
潔癖症で他人と握手ができず、人の集まる場所が大キライ、しかしデザインセンスは群を抜く美大生・吉持星(デザイン学科ビジュアルデザイン専攻)と、人間関係に秀で、上昇志向の高い地味系パリピ園部明里(美術学科油絵専攻)。ふたりは埼玉芸術大学でコンビ「星明かり」を結成し、フライヤーやポップ、学祭の発表を通じてだんだんプロっぽくなっていく。デザイナーの卵×美大の青春グラフィティ。
なんでそんなに俯瞰的な視点を持った子が美大の油絵に入っちゃったのか、とは思いますけど。1冊ぐらいはまとめて読まないと面白さがわかりにくい作品かもしれないです。全3巻で完結。
試し読み BookWalker
今や押しも押されぬ人気作家となった東村先生の美大受験、大学生活、漫画家デビューの遍歴を辿る自伝的マンガですが、同時に東村先生の「恩師」である日高健三氏(作中の仮名)との思い出を克明に記録した実録マンガでもあります。
絵画教室に入るなり容赦ない酷評、平然と竹刀を生徒に振り下ろすトンデモ教師にして絵画バカの日高先生ですが、実は本作で最も魅力的な人物でもあります。その理由は読めばわかる。全5巻で完結。