というアレですが実はもがいてると見せかけてそんなに必死こいていない、浮力で浮いている、優雅に見えるやつは実際優雅で環境にあぐらをかいているのが実態のようです。ちなみにこのセリフも漫画が初出らしいですね。調べて初めて知りました。
さてそんな優雅なみなさんがそのままで満足していればいいものを、派閥同士で争い始めたり権力に目がくらんだり、わが子かわいさに毒をもったりする宮廷闘争マンガカテゴリとなります。絶対ニーズはあると思うんですがマンガだと「これ!」という程の大ヒット作がなく、ググると韓流ドラマばっかり出てくるんでカテゴリ作ってみました。
舞台設定はヨーロッパ風でも和風でもなんでもよく、ノンフィクションでもOK。高確率で恋愛要素が絡みます。
6人の妻を娶ったヘンリー王が治める、北の王国ゼントレン――強権的な王は床に伏し、王位継承権を持つ子供たちは思惑によらず、噂と陰謀の的となっていく。しきたりにより王女エリザベスの影武者探しを命じられた従者ウィリアムは、彼女そっくりの男性・ロバートを見つけ出すが――影と光が分かちがたく結び合う、中世イギリス王室をモデルとした宮廷陰謀ドラマ。
試し読み 講談社コミックプラス
舞台は紀元前15世紀のエジプト。アメン・ラーの彫像の前で結婚の誓いを交わす若き王子セティと、その異母妹にあたる王女シェプスト。男まさりのシェプスト(↓)だったが、実際に王になれるのは男だけ。しかし戦に明け暮れるファラオ・トトメス2世へと変貌していく夫の姿に、シェプストは「王の資質」について否応なく考えさせられることになる――
ちなみに古代エジプトではファラオはホルス神(様々な姿を持ち、太陽と月もホルスの両目とされていた)の化身と目されていたようです。僕はぜんぜん古代エジプトの知識ないですが支障なし、ただ少し調べると「そういうことか」みたいなこともあったりはします。シェプストが男装していたのも史実のようで、顎鬚付けてたんだとか。
碧いホルスの瞳 -男装の女王の物語- 1 (ビームコミックス)
血生臭い噂の聞こえるE国の王の下へ、政略結婚させられることになったB国王女・アルナ。侍女カミラとともに宮廷へ足を踏み入れた彼女は、そこで正妃の座を賭けた生き残りゲームに巻き込まれることになる――
個人的に結構いいと思ってるんですがさてどうか……。イケメンもぞろぞろ出てきて、恋のゲームもヒートアップしていきそうな按配です。
試し読み 小学館コミック
王女として保護下に育てられ、しかし自分の道に迷うアンは、吹溜りのような裏路地でタロットカードの占い師キルケと出会う。彼女の導きにより「王になりたい」という願望を自覚するアンだったが、それを口にすれば今までの味方は敵に、安全な揺り籠は戦場へと姿を変えることになる……。
キャラとストーリーもしっかりした、石造りの城内で陰険な策略を描く王道宮廷闘争マンガ。暗殺したい相手と表面上はにこやかに会談したりしますよ! 監修の田波先生は占いの専門家で、タロット好きな人には別の意味で読みごたえのある作品です。全3巻。
試し読み コミックシーモア
与えられた期間は3年――女王が国を統治するブラガンサ王国の女王が崩御し、遺されたふたりの姫は王位を奪い合うライバルとなった。とはいえ妹のルアはまだ14歳、幼くお人よしでとても女王の器ではない。より戴冠を確実なものにしようと女児を妊娠することを望むエストレーラだったが、彼女の憧れの従兄の心はルアのほうへ……恋と欲望が入り乱れる王宮姉妹劇。
ギスギスハラハラし過ぎない優雅(悠長?)な世界観があって読んでて疲れず、キャラクターの心の動きを落ち着いて追うことができます。全3巻で完結。
試し読み 白泉社公式サイト
花街でマッドサイエンティストじみた実験にいそしみ、薬師としての修行を積んでいた少女・猫猫(マオマオ)。ある日彼女は人攫いに身柄を奪われ、宮廷で下女として働く身の上となってしまう。どうせ給料が上がっても誘拐犯の酒代に回るだけ……と出世と世俗に目をつむる彼女だったが、宮内で噂される「呪い」の真相を暴いたことから、帝の寵姫と謎の宦官(?)のお気に入りとなり様々な事件の謎をとくことに――
現代から見るとかなり悲惨な部分もある設定の物語なんですが、いかんせんヒロインが毒を飲んでは恍惚とした表情を浮かべ、キレるといい感じの啖呵も切れるような強キャラなのでなんかそういうの忘れさせられ、リーダビリティ高く読後感も良好。
地味に「ナメクジを見るような眼」とか「男も女も蕩けさせる美貌」みたいな小説的描写に、常に的確に応えてみせるねこクラゲ先生の仕事も見どころです。
試し読み ビッグガンガン
他人や権力より書物ばかりを好むベルシュタイン一族の娘――「(本の)虫かぶり姫」の異名を持つエリアーナは、突然王国第一位継承者のクリストファーから婚約を申し込まれる。それは貴族の義務から逃れるための契約であり、彼女にとっては本を読む時間を確保し、王宮書庫室へ出入りできる非常に魅力的な申し出だった。かくして訪れた陽だまりのような日々は、彼女自身気付かないうちにエリアーナの心境を変えていく。しかし、クリストファーの傍に別の女の影がちらつき始め……。
ふわふわした髪の毛、ドレス、背景の花など丁寧に描き込まれた華やかさも魅力です。原作どうなってるかは知りませんが、後付けや説明不足が多かったり、思いつきレベルのアイデアが持て囃されたりする腰の軽さは気になる。
原作はなろう発、商業出版された作品のコミカライズという例のコースです。「コミックZERO-SUM」で2018年~連載。
試し読み ゼロサムオンライン
五十余りの属国を併呑し、超巨大国家となった帝国――その跡取りである現皇帝陛下は各属国に自治を認め、しごく平和的で穏健な治世に勤めていた。しかしまだ若いその皇帝が何をしでかすかわからないと各国は密偵を放ち、天井裏は常に満員、緊張感のかけらもなく宴会が勃発し、時には女性の気を引こうとアクセサリーをプレゼントする不埒ものまでいる始末。そんな中ひとりの密偵少女が南の貴族の愛人となることが決まり、彼女を可愛がっていた密偵たちはこの理不尽に天井裏で愚痴をこぼし合う。ところが事態は急転直下、突然少女は皇帝陛下に嫁入りすることとなり――?
試し読み BookLive