王族・貴族他の華麗で醜い権謀術数を描く、お家騒動・宮廷闘争おすすめマンガ

優雅に見える白鳥も水面下では……


というアレですが実はもがいてると見せかけてそんなに必死こいていない、浮力で浮いている、優雅に見えるやつは実際優雅で環境にあぐらをかいているのが実態のようです。ちなみにこのセリフも漫画が初出らしいですね。調べて初めて知りました。
さてそんな優雅なみなさんがそのままで満足していればいいものを、派閥同士で争い始めたり権力に目がくらんだり、わが子かわいさに毒をもったりする宮廷闘争マンガカテゴリとなります。絶対ニーズはあると思うんですがマンガだと「これ!」という程の大ヒット作がなく、ググると韓流ドラマばっかり出てくるんでカテゴリ作ってみました。
舞台設定はヨーロッパ風でも和風でもなんでもよく、ノンフィクションでもOK。

【オススメ】王国の子(びっけ)

6人の妻を娶ったヘンリー王が治める、北の王国ゼントレン――強権的な王は床に伏し、王位継承権を持つ子供たちは思惑によらず、噂と陰謀の的となっていく。しきたりにより王女エリザベスの影武者探しを命じられた従者ウィリアムは、彼女そっくりの男性・ロバートを見つけ出すが――影と光が分かちがたく結び合う、中世イギリス王室をモデルとした宮廷陰謀ドラマ。

王国の子

第15話”女王の怨恨”(5巻収録)より

国名がちがうことからわかるように史実とは異なる部分があり、説明も必要最小限。そのためか歴史もの特有の固さがなく、逆に史実に興味を持たせる入り口として優秀な作品のような気がします。
ザ・宮廷陰謀ものという感じでかなり好き。序盤はいまいちキャッチーではないですが、読み続けると暗鬱とした宮廷の中で輝きを増していくエリザベスたちから目が離せなくなっていきます。


びっけ先生の味なのかちょっと淡白な作風。希望を与えてそれを取り上げるというよりは最初から絶望感があり、感情的なアップダウンは抑え目ですがその分品があります。
「ITAN」で2012~2018年連載、全9巻で完結

試し読み 講談社コミックプラス

碧いホルスの瞳 -男装の女王の物語-(犬童千絵)

舞台は紀元前15世紀のエジプト。アメン・ラーの彫像の前で結婚の誓いを交わす若き王子セティと、その異母妹にあたる王女シェプスト。男まさりのシェプスト(↓)だったが、実際に王になれるのは男だけ。しかし戦に明け暮れるファラオ・トトメス2世へと変貌していく夫の姿に、シェプストは「王の資質」について否応なく考えさせられることになる――

トトメス3世の母にして共同執政者として、歴史上に謎を残す女王ハトシェプストが主人公。「ファラオ」というひとつの権力中枢を軸とした陰険きわまりない策略合戦、活発で素直な人物として描かれるシェプストの思考、そして乾いた風と灼熱の太陽、「死」の臭いが身近に立ち込める石造りの宮廷が醸し出す雰囲気が魅力的。

ちなみに古代エジプトではファラオはホルス神(様々な姿を持ち、太陽と月もホルスの両目とされていた)の化身と目されていたようです。僕はぜんぜん古代エジプトの知識ないですが支障なし、ただ少し調べると「そういうことか」みたいなこともあったりはします。シェプストが男装していたのも史実のようで、顎鬚付けてたんだとか。

コールドゲーム(和泉かねよし)

血生臭い噂の聞こえるE国の王の下へ、政略結婚させられることになったB国王女・アルナ。侍女カミラとともに宮廷へ足を踏み入れた彼女は、そこで正妃の座を賭けた生き残りゲームに巻き込まれることになる――

ヨーロッパ風のお城で上流階級の女同士が足を引っ張り合うという、なかなかに趣味性の強いところを突いてくる作品。表面上あくまでもおだやかな女子プロみたいなのを読みたければ割とおすすめ。女たちにそれぞれキャラクターと背景があって、ひとりひとりそれが表面化しては消えていく感じは正統派デスゲーム的な面持ちがあります。

個人的に結構いいと思ってるんですがさてどうか……。イケメンもぞろぞろ出てきて、恋のゲームもヒートアップしていきそうな按配です。

試し読み 小学館コミック

サングリアル ~王への羅針盤~(監修協力:田波有希 漫画:寺山マル)

王女として保護下に育てられ、しかし自分の道に迷うアンは、吹溜りのような裏路地でタロットカードの占い師キルケと出会う。彼女の導きにより「王になりたい」という願望を自覚するアンだったが、それを口にすれば今までの味方は敵に、安全な揺り籠は戦場へと姿を変えることになる……。

まず絵がいいですね。いわゆる「粗削りだが勢いのある絵」で、描きこみに気迫があります。小物、背景、タロットカードいずれも入念に描写され、世界観があります。

キャラとストーリーもしっかりした、石造りの城内で陰険な策略を描く王道宮廷闘争マンガ。暗殺したい相手と表面上はにこやかに会談したりしますよ! 監修の田波先生は占いの専門家で、タロット好きな人には別の意味で読みごたえのある作品です。全3巻。

試し読み コミックシーモア

王女の条件(磯谷友紀)

与えられた期間は3年――女王が国を統治するブラガンサ王国の女王が崩御し、遺されたふたりの姫は王位を奪い合うライバルとなった。とはいえ妹のルアはまだ14歳、幼くお人よしでとても女王の器ではない。より戴冠を確実なものにしようと女児を妊娠することを望むエストレーラだったが、彼女の憧れの従兄の心はルアのほうへ……恋と欲望が入り乱れる王宮姉妹劇。

陰謀よりは恋愛メイン。ふたりの少女の成長を描く作品として淡泊な味ながらも滋養があります。国のシステムに不自然な点が目立つ気がしますが、僕がよく知らないだけかもしれません。

ギスギスハラハラし過ぎない優雅(悠長?)な世界観があって読んでて疲れず、キャラクターの心の動きを落ち着いて追うことができます。全3巻で完結。

試し読み 白泉社公式サイト

【オススメ】薬屋のひとりごと(原作:日向夏 構成:七緒一綺 キャラクター原案:しのとうこ 漫画:ねこクラゲ)

花街でマッドサイエンティストじみた実験にいそしみ、薬師としての修行を積んでいた少女・猫猫(マオマオ)。ある日彼女は人攫いに身柄を奪われ、宮廷で下女として働く身の上となってしまう。どうせ給料が上がっても誘拐犯の酒代に回るだけ……と出世と世俗に目をつむる彼女だったが、宮内で噂される「呪い」の真相を暴いたことから、帝の寵姫と謎の宦官(?)のお気に入りとなり様々な事件の謎をとくことに――

面白い。ミステリとしてはライトですが、それを中華風の宮廷でやっているだけで妙に映えますね。なんかワクワクします。
時代考証とか設定は割と適当。文字が普通に日本語だったりしますが気にしては負けです。見なかったことにして浸りましょう。

現代から見るとかなり悲惨な部分もある設定の物語なんですが、いかんせんヒロインが毒を飲んでは恍惚とした表情を浮かべ、キレるといい感じの啖呵も切れるような強キャラなのでなんかそういうの忘れさせられ、リーダビリティ高く読後感も良好。
地味に「ナメクジを見るような眼」とか「男も女も蕩けさせる美貌」みたいな小説的描写に、常に的確に応えてみせるねこクラゲ先生の仕事も見どころです。

試し読み ビッグガンガン

天井裏からどうぞよろしく(原作:くるひなた 漫画:加藤絵理子)

五十余りの属国を併呑し、超巨大国家となった帝国――その跡取りである現皇帝陛下は各属国に自治を認め、しごく平和的で穏健な治世に勤めていた。しかしまだ若いその皇帝が何をしでかすかわからないと各国は密偵を放ち、天井裏は常に満員、緊張感のかけらもなく宴会が勃発し、時には女性の気を引こうとアクセサリーをプレゼントする不埒ものまでいる始末。そんな中ひとりの密偵少女が南の貴族の愛人となることが決まり、彼女を可愛がっていた密偵たちはこの理不尽に天井裏で愚痴をこぼし合う。ところが事態は急転直下、突然少女は皇帝陛下に嫁入りすることとなり――?

この序盤がツッコミどころしかなくすごく楽しかったです。天井裏で全員覆面でコソコソ宴会してる絵面がシュール過ぎる。その段階で「これは紹介していいやつだな」と思いましたが、その後はこういう馬鹿々々しさはあまり見られずそこは残念。


一応謀略もの要素がありますが、基本は溺愛系の恋愛ものです。もうちょっと皇帝が具体的にどういう感じで大変なのかとか描写してくれても良さそうなもんですが、まあ。全2巻で完結、原作小説で続きが読めます。

試し読み BookLive

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