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「アシスタント」「デビュー前・直後」の修業時代を描く、漫画家回顧録・自伝おすすめマンガ

わたしはこうして漫画家になった

基本自伝系、漫画家のなるまで~なりました~なった後を中核にに描くマンガを集めたカテゴリです。一応これを描くような人はそれなりに成功した人が多いわけですが、「漫画家になれませんでした」というマンガも面白ければ採用します。
「漫画家になるには」および、「初期の仕事」「修行の内容」あたりがメイン。技術的な部分にスポットが当たりやすい傾向はあります。デビュー前後以外の時期が多く含まれることもあり。

まんが道(藤子不二雄Ⓐ)

戦後、マンガ黎明期――富山の小学校で出会った満賀道雄と才野茂)。絵が得意な少年ふたりは手塚治虫という巨星に出会い、二人一組の漫画家「足塚茂道」として厳しくも楽しいまんが道を歩むことを決意する。藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄自身の経験を7割実話で描く、漫画家青春物語の古典にしてバイブル。

かなり克明な日記をつけていたらしく、トキワ荘の漫画家たちや当時の出版社など関係者事情、二十代とは思えぬ貫録の手塚先生、稿料、雑誌、依頼のされかた、当時の作品事情、世情の記録としても一級品。

漫画家ものとしての純粋な面白さで言えば後進に一歩譲りますが、そもそもこのジャンルがこの作品の上に発展してきたというか……。これ読まないと始まらない感はあります。
いろんな版がありますが、「あすなろ編」「立志編」「青雲編」「春雷編」までGAMANGA BOOKSで全10巻または文庫で全14巻、「愛…しりそめし頃に…」がビッグコミックスで全12巻または新装版全6巻が現在では手に入りやすいです。

試し読み 藤子不二雄Aデジタルセレクション

劇画漂流(辰巳ヨシヒロ)

戦後の日本で兄とともにこころざした漫画家への道、さまざまな出版社との関係、友人たちと競い合った「まんがでないまんが」のさまざまな実験――。
当時の世俗も絡めて「劇画」の萌芽を描く、裏「まんが道」的自伝作品。

第31話(下巻収録)より

当時の「まんが」に対して劇画の持っていた問題意識、マンガについての議論や実験が当時ならではで面白いです。「まんが道」に比べると出版社との軋轢などの話も多く、青春苦悩史的な味も。
多くの漫画家が登場、若い頃のさいとう・たかを先生もある意味活躍します。

「まんだらけマンガ目録」で1995~、「まんだらけZENBU」で1998~2006年連載、上下巻で完結。本作ののち活字で「劇画暮らし」が出版され、その後の顛末が語られます。
辰巳先生は日本ではあまり有名ではないですが、海外での評価が非常に高く、本作は短編と併せて2011年にエリック・クー監督により映画化されています。

怪奇まんが道(原作:宮崎克 漫画:あだちつよし)

古賀新一、日野日出志、伊藤潤二、犬木加奈子(敬称略)――怪奇マンガに魅せられ、多くの作品をものした名人たちはいかにして生まれ、何を思って作品を描いたのか? 怪奇漫画家たちのデビュー遍歴を丁寧な取材と作品のコラージュで彩る連作短編集。

第1話”古賀新一の恐怖”(1巻収録)より

別に奇想天外篇というのもあり、こちらは御茶漬海苔、諸星大二郎、外薗昌也、近藤ようこ(敬称略)。ホラー作家の私生活という時点でもう面白いんですが、あだち先生による各作品の模写がなにげに達者で、怪奇漫画紹介本としても秀逸。必要な仕事が全てしっかりした良品です。

一応この作品自体も軽くホラーにする意図があるらしく、作家自身の怪奇体験が入ってたり、なんとなく怖いこと言ったりするんですが味付け程度です。無印、奇想天外どちらも一冊完結。

試し読み S-MANGA

味いちもんめ 食べて・描く! 漫画家食紀行(原案:あべ善太 漫画:倉田よしみ)

「味いちもんめ」のキャラクター伊橋、ボンさんが色々な漫画家の自宅を訪ね、仕事場の様子や子供の頃の話、食事事情を聞いて回るインタビュー企画外伝。

2人目”川崎のぼる”(1巻収録)より

若干謎企画で、料理漫画の外伝にもかかわらず食事の話がほぼない回も多く、「味いちもんめ」である必要はあんまないです(逆に言えば本編未読でも支障ないです)。料理漫画描いてる人のところ行った時が本領発揮といったところか。
漫画家の話は興味深く、登場する作家も大御所ぞろい。一例をあげると萩尾望都、高橋留美子、浦沢直樹、日野日出志、高橋よしひろ、モンキー・パンチ(敬称略)など。谷口ジロー先生は2017年に亡くなられているので、結果的に晩年の記録となり、ファンなら必読。

2017~2018年「ビッグコミックスペリオール」で連載、このシリーズは全3巻で完結。なお、クレジットにあるあべ先生は無印の原作者で、連載時点で鬼籍。

類似作 田中圭一のペンと箸(田中圭一)

試し読み コミックシーモア

漫画学科のない大学(ゆずチリ)

東京大学に合格した瞬間、勉強したことは全て捨てた――「漫画家になる」ことを決定事項として掲げる大学生・くずチリと、彼の妄想の産物である女子高生の目を通して語られる、かなり実録っぽい東大生活マンガです。

あまり世間に出回らない東大の雰囲気もみどころですが、たまに暴発するゆずチリ先生のマンガ論が結構面白い。東大生なので当たり前ですが、基本的に頭がいい人だということがよくわかります。




ゆずチリ先生は在学中にデビューされてるらしいので、とりあえずそこまでの軌跡を描くようです。「アオイホノオ」とは似て大分非なるものですが、それほど絵がうまくない漫画家志望者が戦略や分析でどうにかしようとするあたりはちょっと似てます。
しれっと主人公にしか見えない人物が参加しているあたり何か思惑があるのかもしれませんが、何事もなくしれっと終わりそうな気もしないでもないですね……。単行本は6月発売予定。

試し読み サンデーうぇぶり

地を這う魚 ひでおの青春日記(吾妻ひでお)

1960年代末北海道から単身上京した吾妻ひでおはマンガ仲間たちと下宿でクダを巻き、金がないなりに青春を謳歌しながら漫画家デビューへの道を模索していた――金がないという割には、どうにか喫茶店へ行く金は捻出しているあたりが実に60年代ですが。

第3話”新天地にて”より

意味不明な世界を描く「魚」シリーズを踏襲し、謎の生物と疑動物化された人間の蠢く東京で「ガロ」を読む奇妙でどこか淡泊なデビュー前回顧録。

こういう昭和な世界観でシェアハウスする話は個人的に凄く好きで、「まんが道」は言うに及ばず「めぞん一刻」はもちろん好きですし、椎名誠先生の「哀愁の町に霧が降るのだ」なんか物凄い回数読み返しました。そういう琴線にちょっと触れる部分もあっての評価です。
金があるやつに容赦なくたかったりする描写が実に昭和。

連載終了! 少年ジャンプ黄金期の舞台裏(巻来功士)

かつて綺羅星のごとく才能の集まる全盛期のジャンプで、一際異彩を放つ編集部のつまみ者がいた――少年誌らしからぬエログロ描写で多くの少年たちにトラウマを植え付けた、怪作の名手兼打ち切り常連として一部の人に知られる巻来功士。そのデビューまでの長い道のりとデビューしてからのさらに長い坂道を「少年ジャンプ」の思い出とともに綴る、ひとりの漫画家の脱皮を描く回顧譚。
とはいえまだ景気がいい頃なので、なんだかんだでいい暮らしをできるようになるあたりは夢がある時代です。
登場する漫画家は同窓(九州産業大学)の北条司、ライバル的存在だった荒木飛呂彦原哲夫など。編集者も何人か登場し、内部事情を知ってる人だとかなり楽しそう。

第4章”破壊”より

一冊完結であったことを順番に並べてるだけなんですが、ちゃんと面白いのは思い出を一度突き放して見てるからでしょうか。苦労をサラリと描いて嫌味なく読ませるワザがあります。

最後に答え合わせのように「なぜ売れなくて、かつ編集者とも合わなかったか」が対談で語られるんですが、この対談も読み応えあります。そこで薦める本ではないですが、漫画家志望の人は一度読んでおくと得るものがある本な気がします。

明日のジョーに憧れて(川三番地)

「紫電改のタカ」「あしたのジョー」「のたり松太郎」「あした天気になあれ」……数多くの名作で知られたちばてつやの仕事場、その鉄のカーテンの奥が元アシの野球漫画家・川三番地によって明かされる! 詳細な記録によりちばてつやの素顔と仕事の流儀に迫ると同時に、今や忘れられつつある「アナログ漫画」の入門編としても機能する好作、全3巻で完結

川先生というかちば先生ファンなら必読。その作画へのこだわりと執念は凄まじく、その熱気が伝播しスタッフ全員が高い熱意で技術を磨く仕事場もまたちば先生の人柄がなせる技でしょう。アナログ漫画あるある技術の解説も丁寧で昔マンガ描いてた人とかは楽しく、デジタルでしか描いたことない人はほえ~となること請け合い。川先生がトーン職人へ至った理由もよくわかり、こういうの読むとアシ経験も良し悪しだなと思います。

個人的に「すげえ」と思ったのはダメにしちゃった原稿をホワイトで修復したエピソード。よく間に合ったなという以外に言葉がなく、川先生のなんというか……仕上げ職人としての技術の高さがよくわかります。あとちょっと連載当時の事情に関するちば先生へのインタビューもあり、ジョーのラストに関する話とかあってそっちも面白かったです。ちなみにちば先生は上であげた味いちもんめにも登場。

そしてボクは外道マンになる(平松伸二)

10代でデビュー、週刊少年ジャンプにて「ドーベルマン刑事(原作:武論尊)」を連載するや大ヒット、一躍人気作家となったマンガ界の「エリート」平松伸二。しかしその裏には暴力的な編集者や年下だとナメてかかるアシスタント、心無い読者からの手紙(カミソリ入り)に心蝕まれる苦闘の日々があった……いかにして平松先生は純朴な漫画青年から外道マンへと成り果てていったのか? 激動の70年代を生きたひとりの漫画家の回想記。

第1話”締め切りの恐怖”(1巻収録)より

現在から振り返ると飛行機を腕力で止めようとしたりボクシンググローブに藁人形を五寸釘で打ったり板垣の心が勃たなかったり、どうもネタ的な作家という印象の強い平松先生のきれいな時代→堕天を描く自伝です。
色々脚色されてたり変な自慢が入ってたりしますが名の知れた人がちょいちょい登場し、漫画家裏事情ものとして単純に面白いです。……が、ただの回顧録ではないようで。

平松先生のファンなら必読。そうでない人は、読むとどういうマンガ描いてきた人かがよ~くわかります。
「グランドジャンプPREMIUM」で2016~2017、「グランドジャンプ」で2018年連載。ものの見事に打ち切りをくらって全4巻で完結するも、第一部完とのことです。

試し読み グランドジャンプ公式サイト

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rokuro

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