まだやることが残っている。招かざる訪問者との攻防を描く闘病・病院系おすすめマンガ

死は怖くない。苦しいのは怖い

主人公あるいはそれに近しい人が病気や怪我となり、たいていの場合はそれにあらがう過程を描く闘病系マンガのご紹介となります。その他整形手術や不妊治療など、通院ものはひととおり範囲内。内容によっては病を受容する作品も対象とします。医者/看護師ものは別カテゴリ、パンデミックも別カテです。
フィクションでも可、病気も架空のものでもよしとしますが、作者自身の体験談がやはり多く、かつ資料的価値も高いです。僕自身も親族に多い病気とか持病とかあるので、割と「人ごとではないな」とか思いながら読んだマンガもあったりなかったり。

【オススメ】腸よ鼻よ(島袋全優)

漫画家を夢見るティーンエイジャー・島袋全優は、一万人にひとりの難病特定疾患・潰瘍性大腸炎と診断される。日常生活に支障をきたす重病にも関わらず、病室でマンガを描き連載まで持ち取材と称して緊急入院を繰り返す漫画家の特殊な日常を描く、漫画家デビュー×闘病ギャグルポ漫画。

腸よ鼻よ

6指腸″あなたはいずこへ”(1巻収録)より

安部総理の持病として有名な病気ですが、健康体でもハードな漫画家という職業をこの病気持って続けてること自体尊敬に値します。かなりエグい闘病生活を俯瞰し、ギャグとして再構成するメンタルの強さが普通ではない。恨みつらみとか自己憐憫がもっと出てもおかしくないのに、カラッとしたギャグに徹底しているのがクールです。


それでも出てくる重たいエピソードのまあ壮絶なこと。子供がいる人が読んだら高確率で泣くと思います。僕の知る限り最も休載に説得力のある作品。
同病に罹患した方や大腸全摘の情報が欲しい方、あとは消化のいい食べ物を知りたい方など参考になる情報も満載。

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霊能者ですがガンになりました(原作:斎 漫画:小林薫)

「あなたが体験した怖い話」でドS霊能力者として活躍し、数多くの霊障を解決してきた斎先生。ある日脇の下に謎のしこりを発見した彼女は、とりあえず見なかったことにして通院から逃げ回る。しかし年貢の納め時、近所の病院の乳腺外科を訪れた彼女は乳がんと診断され、長い闘病生活を送ることに――ムカつく主治医、治療にともなうウィッグや下着の購入、副作用。がん患者のひとつのリアルを描く闘病記録。

霊能者ですがガンになりました

第1話”発病”より

一応霊能マンガなので幽霊もちょいちょい出てくるものの、基本はガッツリ闘病記。落ち込んだりもしますが基本あっけらかんとしていて、明るくタフで、全編にわたってギャグも多いです。

「強制除霊師・斎」の番外編。斎先生は連載途中の2018年に亡くなり、その結果を知ってなお描かれた結末はなんとも言えない読後感を残します。本編未読でも問題なし、全1巻で完結

試し読み スキマ

目の玉日記(小林よしのり)

はじまりは、何もないのに目からいつも涙が流れることだった。徐々に世界は色を失い、輪郭はぼやけ、文字を読むことすら難しくなる。ついには線がかすんで仕事ができず、「失明状態だ!」と悲鳴をあげる小林先生は、やむなく手術を決意するのであった――
追い詰められた漫画家の白内障治療を描く、エンターテイメント闘病記。

視力の話なのでマンガは非常に適した媒体で、こういうルポものに慣れた作者であることもあり、臨場感ある筆致で発病~治療までの過程をあますところなく描いています。手術中も意識があるので、治療中(目にメスが入ってる間)どんな感じに見えてたかといった描写もあったりして、患者側からの手記としても克明な部類に入ると思います。

僕はゴー宣とかはほとんど読んでないんですが、これは独立した作品として普通に読めますし、結構面白いです。白内障は結構ありふれた病気らしいので、気になる方も参考になるかと。全1巻で完結

不妊治療、やめました。~ふたり暮らしを決めた日~(堀田あきお/堀田かよ)

漫画家・堀田あきおと、漫画原作者(兼アシスタント)の堀田かよ。晴れて夫婦となりビジネス上もパートナーのふたりだったが、かよの子宮内膜症による入院をきっかけに突然かつ真剣に妊娠を考えることになる。しかしそれは予想だにしないほど険しく辛い不妊治療の始まりとなり……デリケートなテーマを赤裸々に描く、夫婦共著の「子作りを諦める」までの旅路。

不妊治療、やめました。

十九.”米米肉肉クラブ”より

随分つっこんだところまで描くんだな、と驚くほど治療の内容、その時その時の心情が詳しく語られます。特に旦那側でそれ描いたらまずいんじゃないの? と思うような発言が記録されていて逆に好感持てますね、奥さんとバランスとってる感じがするというか。

これは似たような境遇の方、同様の経験をお持ちの方に特におすすめ。これから不妊治療を始める方にも相当参考になると思います(この作品に関してはそのあたりの感想が多くamazonとかにあがっているので、申し訳ないですが僕の文章よりそっち読むほうがはるかに参考になります)。
といってどっちでもない管理人も面白く読みましたので、まあピンとくるようであれば。個人的には漢方医(↑)の話がすごく面白かったです。全1巻で完結

試し読み コミックシーモア

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち(田中圭一)

50歳の誕生日になったら死のう――サラリーマン兼業漫画家として華やかな成功を収めた田中圭一は、実はそこまで追い詰められていた。何がきっかけで、彼は長い長いうつのトンネルに入り込んでしまったのか?
さまざまな人々、大槻ケンヂや宮内悠介、内田樹など各界の著名人も登場し、自らのうつ体験とその「治り方」について振り返る。
うつヌケ

田中先生ですが普通に真面目な内容です。軽いタッチでさらさらっと読めて、体験者ならではの知見もあり。「うつは甘えだ!」と思ってる人も読んでみると得るところがあると思います。

反面、レビューでさんざん書かれている通り登場人物は成功者ばかりで、「これはアッパークラスの人でないと参考にならない」という感想を持った人も多いようです。noteである程度無料で読めます。全1巻で完結

他にもこんなマンガが身体の不調を訴えています

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