架空戦記を扱ったマンガを集めました。「現実の戦争のIFを描く」タイプと「未来や異世界での戦争を描く」2タイプがあり、前者では一時期小説が鬼のように出ていましたが、最近では数も減り、他のジャンルに乗っかる形で出版されるものが多くなりました。
何かしら空想要素を含んで戦争してれば成立する性質上ファンタジー・SFにも大量の作品があるんですが、ある程度現実の戦争に則した面があることを紹介する前提としています。極大魔法でドカーンとか巨大メカでズドーンとかしてもいいんですけど、なんかこう兵站とか、用兵とか、開発とか徴兵とか間諜とか閣議とか訓練とかテロとかメンテナンスとかクーデターとかブービートラップとかのディティールでも魅せてくれるというか、ある程度一般的にイメージされるところの架空戦記を採用してるつもりです。「これ架空戦記じゃないだろ」というものも入ってるかもしれませんが、悪しからずご了承ください。
色々あって異世界に幼女として転生した元エリートリーマンの主人公は外見は幼女にして知能は老成し、元の世界の戦争に関する知識を有し、かつ軍人としてもトップクラスに優秀。
後方で安全な任務に落ち着きたい彼女? が色々誤解を招きながら結局最前線に放り込まれていくというまさかのコメディ仕立てで進む本格ミリタリーものであると同時に、空を飛んで魔法で攻撃する異世界ファンタジーとしての要素も兼ね備えています。
このサイトやってなかったら読んでなかったであろう作品は結構ありますがこれもそのひとつで、「各国を擬人化した幼女たちがなんか適当にゆるい戦争でもやるんだろう」ぐらいのイメージで読み始めたら全然違いました。まさか幼女が主人公ひとりとは……。
軍事国家ヴァイセンで出世コースに乗っていたベルント・バルツァーだったが、同盟国バーゼルラントの学校に教官として派遣されることとなる――軍事に限らず19世紀初頭の文化・食事・政治などに対する見識が深く、「騎馬突撃戦のあとにお馬さんを集め直す姿は牧歌的でいいよね」みたいなやたらマニアックな作者の目線も相まってミリオタ・歴史オタどちらも楽しめるお得な作品です。ファンタジー要素はなしで、19世紀後半ぐらいのドイツ周辺がモデル。
サッと読んでも面白いでしょうが、腰を据えて取り掛かると大変楽しく過ごせました。コラムも充実していて、個人的に満足度のとても高い作品です。「月刊コミック@バンチ」で2011年~連載。
試し読み コミックバンチWeb
始まりはひとりの大臣の遺体だった。史上最年少でトルキエ将国の13将軍の一翼をになう犬鷲のマフムート将軍は、軍事大国バルトライン帝国の陰謀を見抜き、侵略戦争を未然に防いだかに見えた。しかしそれは、大陸全土を戦火に包むルメリアナ大戦の嚆矢に過ぎなかった。
試し読み 月刊少年シリウス公式ページ
「将国のアルタイル」のスピンオフで、こちらの舞台は極東の島国、「元」日薙嶌国。大陸の大秦国に占領され、屈従の日々を強いられる武士たちの前に、国土奪還を果たさんとすべく死んだはずの皇子が現れる、といったあらすじ。
嶌国はアルタイルで戦略上重要な位置を占める「東弓」の原産国であり、本作でもキーアイテムとして戦況を(物理的にも)大きく揺るがすことになります。
試し読み 講談社コミックプラス
さながら中世のヨーロッパのような銀河帝国と、レジスタンス的な自由惑星同盟。宇宙航行不能領域と、細長い「回廊」を挟んで面するふたつの国家は、150年もの長きに渡る膠着した戦争を続けていた。
歴史は巡り、ラインハルトとヤンというふたりの天才の誕生により、大きな転換点を迎えることになる。
名作架空戦記としては言うに及ばず、ちょっと生きることに疲れてる人にもおすすめの作品です。
大陸公路の中心に座し、最強の騎兵を擁する王国パルス。14歳となった王太子アルスラーンは、侵略してきた異教国家ルシタニアとの戦への初陣に挑む。しかしそこには、驕れる獅子を屠らんとする罠が仕掛けられていた。
原作に比して大きくイメージを損なうこともなく、世界観を広げるこのコミカライズは成功と言っていいと思います。
1986年にスタートした原作小説も2017年末についに完結しました。間が開き過ぎたこともあり終盤は評判が悪く、原作で読むなら7巻で完結と思って読むことを薦めます。マンガ版もそのへんで完結するんじゃないかと。
試し読み マガポケ
異形の蛮族「ヅード」との不気味な紛争が続く辺境の孤島リズルに赴任した狙撃手ウルナ・トロップ・ヨンク。雪原の要塞から照準を練る彼女の胸には、美しい故郷の思い出があった。華々しい戦果をあげることになる彼女だったが、この戦争は見かけほど単純ではないことをやがて思い知ることになる――
割かし美女のウルナですが、あえて顎をたるませると「健康に育った田舎娘」感みたいなのが出るんですね。こういう記号もあるんだな、と勉強になりました。
試し読み eBookJapan
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