漫画業界は割とパロディに寛容な伝統があります。梅津先生のあの顔とか、ガラスの仮面のあの顔とかは既に一種の「記号」として定着した感があり、細かく見て行けばパロディを全く使わない作家のほうが珍しいといえるかもしれません。
特に公式、非公式は問わず、いわゆるスピンオフも含まれています。大雑把な基準としては「悪ふざけ」もしくは「風刺」目的で他作品をマネしている作品ということになります。パスティーシュは小説で言うと文体を模倣することで、マンガで「パスティーシュしてるけどパロディではない」作品はあまり見ないので一緒くたにしています。
玩具メーカーに勤めながらギャグ漫画家としてデビューした田中先生が、この一作を以て色んな意味でブレイクした色んな意味で記念碑的な作品。「(主に)手塚先生の絵で下ネタをかます」という明快すぎるコンセプトで当時大変話題になりました。
内容は大体全部オリジナルで拍子抜けしたものですが、そのオリジナルが普通にひどい。この作品が業界に与えた「あ、これアリなんだ」というインパクトは健在です。日本の下ネタ漫画、またはパロディ漫画を語る上では外せない一作です。語らないなら別に外していいと思います。
「おっ、田中先生の新作かな?」と思ったら違う人というこれまた個人的にびっくりした一作。タイトル頭の#はtwitterのハッシュタグで、そっちでこっそりマンガ描いてたら手塚プロに呼び出されて公認となった、というような経緯で出版されたなりあがり系BJパロディ。
試し読み スキマ
「カイジ」に登場する帝愛グループ幹部・利根川幸雄を中心とした公式スピンオフで、パロディにも関わらず「このマンガがすごい! 2017」で第1位を獲得し、悪魔的売り上げをあげてるらしい話題作です。福本先生は色んなところでパロディ化されている(「神罰」にもあった)弄りやすい作風が特徴ですが、ガチでやるとここまで大ヒットするとは正直意外でした。今後パロディ作品が流行したらたぶんこの作品のせいです。
「作風」そのものをギャグにしているので竜頭蛇尾になることもなく、ネタのセンスも良く、実際考えてみると欠点らしい欠点がない名作です。本編がアレなのでいかにして完結するのかはちょっと楽しみですが。
ハイ、タイトルと表紙見ただけで絶対面白いとわかるやつです(原作
原作読んでた時は雪夜叉伝説のトリックに「いや、これひとりでどうやるの?」と思ったものですが、その謎がついに明かされるかと思いきや一番ヤバそうな土台部分がサラッと流されててガクッとなりました(その後の苦労は笑いましたが)。マジでどうやんだろこれ。
試し読み 講談社コミックプラス
一方本家コンビもなんかやり始めました。
数々の難事件を祖父譲りの推理力で看破する元高校生名探偵・金田一一。連続殺人犯相手にも物怖じせずに推理を披露していたのは遠い昔、37歳となった彼はうらぶれた旅行会社の主任となり、高慢な顧客にペコペコ頭を下げる毎日を送っていた。
だがそれでいいのだ、もう謎なんて解きたくないのだと大人の対応を繰り返していた彼だったが、今度の随伴リゾート地は一味違った。過去3度に渡って「オペラ座館」殺人事件の発生した歌島を舞台に、彼は無事に推理をせずにツアーを終えることができるのか?
トリックも基本相変わらずな感じですが、嵐の孤島でもネット使って情報が手に入るようになったり、加齢とともに時代に即した作りとなっています。新しくレギュラーキャラもちょいちょい出して、割と長く続けるつもりのようです。
試し読み コミックDAYS
時は199×年、世界は核の炎に包まれ、弱肉強食の世界の中で若者は就職難にあえいでいた。そんな中見付けた「住み込み三食付き・誰にでもできる簡単な仕事です」というわかりやすい甘い罠に誘われ、ひとりの若者が訪れた就職先は拳王軍。彼が目にした、個性豊かなザコたちの生きざま及び死にざまとは――「北斗の拳」公式スピンオフギャグ漫画。
気軽に笑えてちょっと黒いのが読みたければどうぞ。原作も半分ギャグ漫画みたいなところはありますが、にしても北斗の拳のパロディの多さはなんなんですかね。お嬢の浴室とかの影響もあるのかな。
試し読み マンガほっと
都立雀中学校で巻き起こるさまざまなトラブルを体を張って解決し、心揺さぶる名言と18000点のロン上がりで生徒を仕留める名物教師、その名も一八(インパチ)先生! 初掲載が2012年、2019年に至ってもいまだ危険過ぎて単行本化されない「近代麻雀」最凶の問題作。
試し読み キンマweb