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恋人から家族へと移りゆく関係性。イチャラブしたりイラギスしたりのおすすめ夫婦マンガ

恋人はお互いを見て、夫婦はふたりで前を見て


というのはたしか尾崎豊でしたか、手に手を取って一本道を歩む夫婦マンガですが、うまくいってなければいかに関係修復していくのかとか、あるいは夫婦円満の秘訣ですとか、一般的ではないけどこれはこれで幸せなのかとか、幸せではないけどみんな頑張ってるんだなあとか、奥さんや旦那さんの魅力を再発見したりとかまあそんな感じで、僕が「おっ」と思ったマンガのご紹介となります。

Bread & Butter(芦原妃名子)

12年間続けてきた教師を辞し、おもむろに婚活を始めた34歳の深田柚季。なかなかうまい相手に巡り合えない日々の中、ふと彼女は自分が結婚に何を求めているかに気付き、衝動的に謎多き男・原洋一(39)にプロポーズをしてしまう――パンを買いにきただけだったのに。段々と明かされていくふたりの過去と、パンにまつわるエピソード、そして他の夫婦のありようを通じて人生の機微を描く。

Episode.2″ふすまパン(その2)”(6巻収録)より

主人公ふたりは婚約者ですが、親世代や知人など様々な夫婦が登場し、色んなバリエーションを見せてくれます。赤字パン屋の経営戦略的な部分も多く取り上げられ、お仕事マンガ要素もあり。

グルメものかと思って読んだんですが、いい意味で期待を裏切ってきた作品です。アラサー女性がほぼ恋愛期間が存在しないまま婚約してしまい、後からじわじわと「これでいいんだろうか?」と悩んだり、全体的に冷めたトーンで男女関係を描く作風はやや大人向け。「Cocohana」で2013~2020年連載、全10巻で完結

試し読み ココハナ

妻に恋する66の方法(福満しげゆき)

「僕の小規模な失敗」から一巻して登場する福満先生の妻も二児の母となり、体つきはふくよかとなり、御年35歳。まだかわいい、しかしもう若くはない、足は短い、メロンパンをよく食べる、そんな奥さんをネチネチと観察し後を尾け回してマンガにすることで家族を養い、ついでに家のローンに悩み将来に怯えほぼ外出せず子供の成長に驚く福満先生自身の姿も描く愛妻ショートエッセイ。

その20″妻に飲み物を差し出そう”(2巻収録)より

ジャンルで言うと「妻かわいい」マンガ(福満先生命名)。ほぼ「うちの妻ってどうでしょう?」と同じマンガと言っていいですが出版社がちがうのと、全体的に内容がマイルドになっている印象ですね。子供もついこないだ生まれたような気がしてましたがかなりでっかくなり、父親のマンガを読むほどの急成長を見せているので家族マンガと言ってもいいんですが、一応タイトルにある通り主軸は奥さんということで。


それはさておきこれ描いてる時点で4巻まで出てて、話数が60話まで来てますので66は5巻で超えそうですね。最初は2巻で打ち切り……とか言ってたマンガなのにいつの間にかそこまできたか、という感じです。マンガも変化してますがあとがきが段々と成長してる気がしてて、相変わらず寄り道しまくる文章なんですが徐々に洗練されてきているような気がします。

試し読み イブニング公式サイト

帷子しずくはリードしたい!(須賀達郎)

ガッシリした身体とイカツい風貌で周囲に威圧感を与える入団四年目投手・帷子ユウリ(22)。実はヘタレの彼と20歳の幼な妻・帷子しずくの関係はまだまだ発展途上。練習オタクで多忙の彼ともっとイチャイチャしたいしずくは、夫を積極的に「女房役」としてリードできるのか! という具合のベースボールラブコメで、ひたすらイチャコラしつつ意外と野球もちゃんとやります。



ゆるくて気楽でニヤれる良作……なんですが、まさかの1巻打ち切り。amazonには編集への怨嗟の声が立ち込めていて、刺さる人には内角エグめに刺さる作品なのだなと認識を新たにしました。いちゃ系ラブコメに割とガチな野球への愛を組み合わせた「こういうのもあるのか」的作品です。

第1話”スキンシップとバッテリー”(1巻収録)より


アーススターの最終話を読むと、まず1冊分連載して、単行本の売れ行きで続きを「契約更新」するかどうか決める、というスタンスだったようです。

試し読み コミックアーススター

家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。(原作:K.Kajunsky 漫画:ichida)

ヤフー知恵袋にある日掲載され、多くの人の笑いを誘ったひとつの質問。あまりにも反響が大きかったためにその質問者はブログを開設することになり、さらにそのブログからマンガが生まれ、さらに映画化まで果たすことになる。すべては、ある日家に帰ったら妻が死んだふりをしていたことから始まった――

質問するぐらいですので、「実は妻の行動には、こんな隠された理由があった!」とかはありません。単に奥さんがエキセントリックなだけです。この愉快な奥さんとの日常を綴ったブログを原作にそのままマンガにしてますが、見比べるとものによってはエピソードを追加・補足してより面白くしようとしているものも見受けられます。



元のエピソード自体が人気ブログになるぐらいなのでどれも面白く、マンガとしても的確な仕事ぶり。ちょっと変わった夫婦の日常生活を描く楽しい作品ですが、一冊の中のマンガの分量は少なく(ブログを転載したページが多い)、思い入れのない人にとって1000円前後の定価に見合った価値があるかというとやや疑問。
全3巻で完結、2018年の映画化記念で描き下ろし付きのより抜き編も出版されました。同じichida先生の「家に帰ると妻がカフェをやりたがっています。」はこの作品とは無関係ですので、一応注意。

試し読み pixivコミック

ラララ(金田一蓮十郎)

リストラ→すかさず彼女に捨てられるコンボを喰らい、友人と別れてひとりバーでやけ酒を飲む桐島士朗(24)は、妖艶な美女・石村亜衣に声をかけられ、一緒に飲みながら自分のところで働かないかと口説かれる。酔いも手伝ってろくに確認せずに契約書にサインをした彼だったが、その契約書は婚姻届だった。
いきなり専業主夫となり、慣れない家事に苦戦してはダメ出しをされる日々のスタートに戸惑いを隠せない士朗だったが、亜衣は結婚生活にも、士朗にも興味があるわけではないらしい。そんな彼女の目的とは?


性格以外は超ハイスペックな奥様の下でヒモ生活スタート……的に始まる話ですが、この性格部分が強烈で、逆にだんだん好きになる亜衣のキャラクターが最大の魅力。恋愛関係に興味ゼロ、余計な人間関係を「めんどくさい」でバッサリ断ち切る姿はある種爽快です。

また積極的に社会問題などを組み込もうとしているようで、ただの(変な)ラブストーリーに留まらずストーカー、ネグレクト、医療過誤といった重いテーマも扱われ、何かの問題に直面するたびに人間的に、あるいは夫婦として関係性を変化させていく家族ものでもあります。
思ったほど専業主婦・主夫については触れられませんが、冒頭の士朗の台詞を受けて亜衣が内心何を考えたかを思うと心温まるものがありますね。

試し読み ebookjapan

おさな妻の星(後藤羽矢子)

母親はまだ30代、その母親もまた若く、その母親の母親もご存命の女子高生・山川富(16)。そんな彼女の夢は子供を作ること、なぜならその子は世にも珍しい来孫(きしゃご)となるから。お見合いの席でそんな持論をぶつけられ、丁重にお断りした大南西太(34)だったが、富は押しかけ女房として転がり込んできて……。

1巻より

成年コミックと勘違いされてAmazonから削除されたりもしたらしいですが、アダルトなマンガではないです。後藤先生はちょっとHな作品からシンプルなラブコメまでいろいろ描かれる人で、本作はその中間地点という感じ。幼妻が生々しいことを言うギャップがお好きな人にはたまらない?




耳年増で一般論としての性知識はぜんぜん抵抗なく話すのに、いざそれを自分に当てはめるといきなり照れる富はなかなか妙なヒロイン。排卵とか基礎体温とかの解説とかもあるので、あまりそのへん学ぶ機会のない男性は一回読んどくと地味に勉強になります。
「主任がゆく! スペシャル」で2013~2018年連載、全3巻でまとまり良く完結

試し読み BookLive

未熟なふたりでございますが(カワハラ恋)

愛があり過ぎてなかなか一線を越えられない、クールな養護教諭・佐伯澄花と目つきの悪い事業家・育馬。なんだかんだで仲良くやりつつ時々軽く焦ったりもする、ちょっとアダルトな新婚ラブコメ。

第9話”カラダに刻んで”(2巻収録)より

描写はマイルドですがやや性的要素強め。夜の営み的な縛りが1巻はあり、だんだん「それはさておき……」みたいな感じで日常ラブコメが多くなってきます。ひったすら男女がイチャコラする話なのでまずラブコメ読みたい方向け、さらに女性目線で言えば目つきの悪い眼鏡(ちょっとスケベ)、男性目線で言えばクーデレ白衣美女がお好きならうむとなる可能性が高いかと。


ちなみにpixivで元ネタ公開されてますので、お好きな方はそちらもどうぞ。ふたりの過去の話なんかもあります。

試し読み 講談社コミックプラス

いとなみいとなめず(水瀬マユ)

純岡清、26歳。飛鳥馬澄、18歳。夫婦になったふたりは、まだキスもアレもソレも未経験。奥手で言葉足らずなふたりが、いわゆる「夫婦のいとなみ」に到る日はやってくるのか? というかそれ以前に、彼女は彼のことが本当に好きなのか? 結婚と同棲から始まるラブストーリー。

episode9″お出かけ”(2巻収録)より

旦那の清はカマトトぶってる上に落ち着きがなく、ラブコメなのに妙なストレスがあります。その未熟さも含めての作品でしょうけど、見かけによらず人を選ぶ作品だと思います。
どちらかというと物語のキーは澄側にあり、彼女が夫をどう受け入れ思いを育んでいくか、というのがそのまま夫婦生活の進展に繋がっていきます。感情読めないですが意外とコメディリリーフで、何気に彼女絡みのギャグはかなり面白いです。


https://twitter.com/minasemayu/status/1133218717683240960?ref_src=twsrc%5Etfw

こちらも甘々イチャイチャものが好きな人向けで、やや女性向けの作品だと思います。特にマスコットっぽい旦那が好きな人。男性なら「未熟なふたりでございますが」のほうがおすすめかな……。「漫画アクション」および各種電子媒体で2018年~連載。

試し読み ダ・ヴィンチニュース

新婚のいろはさん(ÖYSTER)

新しい街で新しい暮らしを始めた、漫画家の新妻始と、その奥さんの新妻彩葉。シュールギャグとラブコメを得意とする作者が「普通の新婚夫婦」を描く、日常4コマ歳時記。

第7回”ラーメン屋に行こう”(1巻収録)より

4コマとしての面白さはさすが。かつ、生活の中でしか浮かばなそうな発想が随所に落とし込まれているのも好みです。ライジ先生が描いた4コマがちゃんと「よくわからない」んですが、これはÖYSTER先生の過去作のスタイルで、なるほどこういう会話があったのかな、とか思ったり。

作中に時間軸があり(一冊でひとつの季節)、最初はややぎこちない関係だったふたりが、だんだん「夫婦らしく」なっていく過程が描かれるのも見どころ……と美点が多く、かなりおすすめ。


https://twitter.com/OYSTER_tenten/status/1343947198497583105?ref_src=twsrc%5Etfw

恋人をすっ飛ばして急に夫婦になったふたりにはいろいろと語られないドラマがありそうですが、この作品の場合、そこは匂わせる程度に済ませているのが妙にリアルです。
「まんがタウン」で2016年~連載。

試し読み ニコニコ静画

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rokuro

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