またの名を「企画ものマンガ」とも(僕に)呼ばれる、漫画家自ら取材をし、それを記録するルポ漫画のおすすめコーナーです。自分から進んで行うものもあれば編集部の決定した企画に放り込まれることもあるんですが、後者の場合人があんまりやらないことをしないと面白くないということで代替ろくな目に逢わないですが、時々おいしい思いをしたりもしています。
私人としての漫画家が何かにどハマりしたり、何かに「なっちゃった」結果を発表する作品も含みます。「ネタを1から考えなくてもいい」という性質上、新人作家の修行場としても機能していますし、有名作家の意外な一面が見れたりすることもあります。実利・知識系のマンガは安定して人気が高いので、今後も比較的安定して作品が増えていきそうなジャンルです。
正式には「西本英雄のマガジン調査隊(仮) もう、しませんから。」。普段見れない週刊少年マガジンの作家たちの素顔を明かすとともに何かしらの企画ものに招待し、各人の私物を賭けた勝負に持ち込んだりサイン会に乱入したり大量のプリンを食わせたりしつつ、西本先生がサメの泳ぐ水槽に放り込まれたりヴァンダレイ・シウバに関節技をかけられたりと完全にバラエティのノリで展開されたマガジンの裏名物的作品。
幽霊話は好きだが心霊体験は皆無。それでも霊が見てみたい――熱い思いに駆られた漫画家ふたりと編集者たちが、全国各地の心霊スポットを練り歩く! という、参加したら凄く楽しそうな企画ものルポ漫画です。
ここまで笑える心霊漫画というのも珍しく、なんかそういうテイストのもの読みたいけど怖いのは嫌、というアンヴィバレンツな方でも安心の仕上がり。この作品の石黒先生はあくまで「P」ですが、ちょっとだけおまけを描いてます。全3巻で完結。
試し読み eBookJapan
ソレミテ 1巻―それでも霊が見てみたい (ヤングキングコミックス)
元サラリーマン・漫画家のよしたに(38歳)がフワッとしたタイトルで挑む、「連載中に彼女作って結婚する」体当たり玉砕系恋愛指南エッセイ。王道の服選びや笑顔の作り方はもとより、美顔、テーブルマナー、日サロにも挑戦。タメになるノウハウとアラフォー独身の心をえぐる発言が満載です。先生の過去の恋愛体験も収録。
色々体験する中で徐々に成長していくよしたに先生の姿は、恋愛に臆病な男性の心を動かす楽しさがあります。実践の効果もしだいに目に見えて現れていきますが、最終的によしたに先生の努力は実るのか? 全4巻で完結。
試し読み S-MANGA
漫画家は売れなくなったらどうなるのか? 誰しも一度は思うその疑問、黒咲先生も最初は別の仕事を考えたりしますが、最終的に下した決断は、家を引き払って四国遍路の旅に出ることでした。
この先生は身体を張ったおかげかこの作品を世に残せましたが、人知れず消えていった漫画家はどれくらいいるんでしょうね……。全1巻で完結、ラフですが続編「55歳の地図Again~虹の峠から~」も発表されています(全2巻)。
突然ふとマンガを描くことが嫌になり、原稿をほったらかして逃げ出した89年の吾妻先生。酒を飲んでは鬱になり、金もなくなったので山奥へ迷い込み、そのままホームレス生活に突入することに……。
暗く笑えない内容を明るく笑い飛ばし、忘れられた漫画家をメジャー作家に押し上げたホームレスルポ漫画の金字塔。
2005年発表。1992年の「夜の魚」あとがき及び2002年「お宝ワイドショー」連載作品に加筆、他描き下ろし。正直吾妻先生のマンガは良さがわからないものが多いんですが、このへんのルポものは非常に面白い。ホームレスの他ガス管工事の住み込み仕事やアル中時代の話も収録。2013年「失踪日記2」としてアル中病棟篇発表、全2巻で完結。
試し読み Renta!
これはですね、タイトルで損してるな、と思うマンガです。じゃあ他にどんなタイトルつければいいのかというと特に案もないんですが、パッとこれ見て興味を惹かれる人というのは結構少数派なんじゃないのか、という気がします(というか僕がそうです)。特に男性。
つってもめちゃめちゃ売れたそうなので、気のせいなんでしょうけど。レズ風俗ルポも興味深いところですが、メインは永田先生が「なぜそこに至ったか」という自分語りです。
こういう題材なのに絵がかわいくて愛嬌があり、終わり方も明るいのがいいですね。どこにも居場所がないと感じる人には、特におすすめしたい良書です。
試し読み ダイジェスト(マトグロッソ) pixiv
大阪在住の蛙野先生(30代、バツイチ)は友人との飲み会に参加し、AV業界の仕事を紹介されてホイホイと参加してしまう。エキストラのつもりが初回から一対一、しかしここで結果(?)を残した蛙野先生のもとにはその後もぽつぽつAV関連の仕事が舞い込むように――250本以上のAVに参加した男が振り返る、AV業界舞台裏ルポ。
試し読み くらげバンチ
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