幸福は売っている、しかし売り場がわからない。懐から零れ落ち天下を廻るお金・経済おすすめマンガ

みんな銭ゲバズラ!

とある実験によると、人間は行動に対して「なんの意味もない数値が増える」だけでモチベーションが励起されるそうで、ましてやその数値がものを買える意味のあるものなら嫌いになれるわけもなし? 下手をすると人生で最も大切なものにランクインしかねない、人の欲の結実する「金」をテーマにした作品カテゴリです。
ギャンブルもの(オリジナルゲームデスゲーム麻雀など)などは別カテゴリですが、投資・投機や経済マンガはこっちで扱います。

【オススメ】定額制夫の「こづかい万歳」 ~月額2万千円の金欠ライフ~(吉本浩二)

「ブラック・ジャック創作秘話」をはじめなんとなく気になるマンガを連発し、現代の漫画界で少なからぬ存在感を示す漫画家・吉本浩二。だがその小遣いは月2万1千円……! 酒もタバコもやらないし昼飯代も含まない、それでもカツカツだというのに、なんならもっとシビアな他の小遣い夫たちは、毎月どうやってやりくりしているのか? 禁断の秘部を暴くリアル小遣いドキュメンタリー。

定額制夫の「こづかい万歳」 ~月額2万千円の金欠ライフ~

第15話より


一応余暇の過ごし方、お金の使い方が主題なのですが、題材上必然的にせせこましい・涙ぐましい節約術を描くのでプロレタリア文学的な悲哀が滲みます。
吉本先生の本前にも何冊か買いましたが、一冊買うと数十円漫画家の収入になるはずなので、「僕の買った分の印税がこのお菓子になったのか……」とか勝手に思いながら読みました。

他人の貧しい懐事情を覗き見るゲスい野次馬根性を満喫できる作品です。SPA!とか読んでる感覚に近い。ステーションバーの回はとりわけ「うわっ……」という感じで、ネットでも話題に。


僕は結構縛りプレイみたいなの好きなので、共感する部分も多かったです。なんか登場人物のA型率高そう。
家庭を持つということの現実を描いた作品でもあり、同じような境遇の人にとっては救いになるかもしれません。「モーニング」で2019年~連載。

類似作 1日外出録ハンチョウ(原作:萩原天晴 漫画:上原求/新井和也)

試し読み Renta!

FX戦士くるみちゃん(原作:でむにゃん 漫画:炭酸だいすき)

大好きな母は、相場の魔物に取りつかれ変わってしまった。喪ったものは取り戻せない――しかし、福賀くるみは自分なりの意地として、母が奪われた2000万円を自分の手で取り返すことを誓う。しっかりと勉強し、順調に資金と死亡フラグを伸ばすくるみだったが……FXの夢と恐ろしさを描き、リアル過ぎる心理描写で読者の胃を震撼させる話題作。

FX戦士くるみちゃん

第3話(1巻収録)より

マジできつい。2巻以降読み続けられる自信がないですが、とりあえずサスペンスとしての盛り上がりは一級品だし、FXやりたい人は一度読むべき作品だとも思います。
カイジとかなら「自分から遠い」のでそうでもないんですが、このマンガの場合共感してしまうし、賭け代は家族の信頼とか現在の生活とかだし、一瞬で人生が破壊されそうなのが見てて本当につらい。


原作は新都社掲載、2021年~「コミックフラッパー」で商業化。でむにゃん先生「FXでは勝ち組になれなかった」とのことですが、それでこれを描くメンタルはただものではない。

試し読み コミックフラッパー公式サイト

マネーハンター(玄太郎)

ジャパン・アズ・ナンバーワンの80年代、日本が経済の高騰に踊っていた時代――しかし当時の市井の人々はそんなことは知らず、当たり前に仕事をこなし、家計を管理し、人によっては投資で損をしたり得をしたりと今とあまり変わらない生活を送っていた。銀行員、おせっかいな婆さん、経済コンサルタントなど、様々なキャラクターが描くバブル期経済・マナー指南オムニバス。

マネーハンター

Vol.6”楽しい借金”(1巻収録)より

1986~1987年「ビッグコミックオリジナル」で連載。今読むと内容はもちろん古いんですが、その代わりにバブル期日本の経済感覚や銀行の日常を味わえる記録としての面白みがあります。当時の定期預金は今から見ると垂涎もの(聞いた話だと8%くらい。かつ一定額利子が非課税)なのに預金集めに苦労していたり、祝儀で2万が普通だったり、エンゲル係数がやたら高かったり……。

後半はほぼ学習マンガですが、マナー回、税金回、節約回など色々出てきてなかなか楽しい。
経済指南作品から一転、バブル崩壊後は玄先生エロコメを手掛けているんですが、気になるようなならんような。全3巻で完結

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