マンガ

愛らしく時に獰猛なけだものたちの祭典。読むと鼻が濡れてくる動物マンガセレクション

レッツゴー4WD

特に哺乳類に限らず、爬虫類でも両生類でもOKの動物カテゴリです。例によって溜まったら別カテゴリにしようかなーと思ってますが現状昆虫でも節足動物でもOK。
キャッツは数がハンパないので別カテゴリ、擬人化系動物マンガも別カテゴリとしています。

動物のお医者さん(佐々木倫子)

北海道の獣医学部に入学した西根公輝と飼い犬チョビを中心に、無表情なキャラクターたちのトボケたやりとりと写実的な動物の交流を描いて社会現象になった大人気作。

第42回(4巻収録)より

このカテゴリでこれ置いてないと嘘というぐらいメジャーな作品で、今読んでも全く古びない、あらゆる出来事をあるがままに受け入れて諦める心地よさがあります。主人公たちが諦念に満ちていることで、天衣無縫な動物たちの活躍が映えるというかわいそうな構造です。少女マンガですが恋愛要素は皆無。

社会現象化したというのは具体的に言うと北大の獣医学部希望者を爆増させ、シベリアンハスキーのブームを巻き起こしました。あんまりこういうことは書きたくないんですが、結果としてハスキー犬の殺処分数を爆増させた作品でもあります。それだけの影響力がある作品なわけですが、ペットを飼う時はマジで計画的にお願いします。
1987~1993年「花とゆめ」に連載、全12巻で完結。文庫版では全8巻、愛蔵版が全6巻となります。

試し読み 白泉社特設サイト

水族カンパニー(イシイ渡)

海の島水族館の新人トレーナー・七瀬真知子と、海獣に興奮し隙あらばイルカを舐めようとする変質者にして新任獣医・海崎直。新人同士ということで何かと絡む機会の多いふたりが、色んな海の仲間たちの生態系に触れつつトラブルを解決していく……というようなあらすじ。

第4話”ペンギンさんは反抗期!?”(1巻収録)より

絵がかわいく、勉強になる動物マンガらしい動物マンガです。同時に水族館の裏側を描くお仕事マンガでもあり、しっかり取材もされているようで面白くならない要素がないです。


amazonの関連商品見る感じ生物図鑑とか水族館の本とかと一緒に売れているようで、そーゆーのが好きな方だと満足度がより高いかなと思います。
「月刊!スピリッツ」で2017~2019年連載、全4巻で完結。

試し読み ビッグコミックBROS

へんなものみっけ!(早良朋)

市役所から博物館へ、3年の期限付きで出向された薄井透(26)は、道すがらカモシカの死体を背負う博物館研究員・清棲あかりに遭遇する。押しの強い彼女にそのまま足にされ、さらに初日から解剖の助手までさせられることに――完全素人の薄井の目を通して、ちょっと変でキラキラした動物研究者の日常を描く。

第1話”この出会い、運命カモシカ?”(1巻収録)より

哺乳類、鳥類、海棲生物と幅広く取り扱い、死体や標本の話題が多いのも特徴。
かなり「動物のお医者さん」ライクな作風で漫画的には手堅い作り。自身博物館で働いていた経験をフルに使い、聞いたことのない話題がぽんぽん飛び出すフィールドワーク的楽しさが強みです。軽く恋愛要素もあり。


https://twitter.com/michitomo1/status/786748323789103104?ref_src=twsrc%5Etfw

動物はかわいく知的好奇心も刺激され、雑誌に一個こういうのがあると嬉しい作品です。ヒロイン(?)清棲のさっぱりした可愛らしさとアクティブさも見どころ。
「週刊ビッグコミックスピリッツ」で2016年~連載。

試し読み ビッグコミックBROS.

秘密のレプタイルズ(鯨川リョウ)

若干ダメリーマンの海原入鹿はある日、ふとしたことからペットショップ「アニマーレ」に足を踏み入れた。そこで出会ったのは色とりどりの爬虫類と、哺乳類に敵愾心を燃やす目付きの悪い美女――?

実用本としても充実の内容で飼育初心者にもお薦めの、爬虫類(たまにそれ以外)の魅力が必要以上の熱量で詰まったやたら文字数の多いマンガです。虫注意。

第二類”カエルは爬虫類じゃないとか固い事言うな”(1巻収録)より



https://twitter.com/gujira4/status/889166890316087297?ref_src=twsrc%5Etfw

途中からまさかのラブコメ展開がブッコまれてびっくりしました。そういう話だとは思ってなかった。入鹿くんはぱっと見どーということもない平凡なキャラですが、いざという時に大人な一面を見せて話全体を締めてくれたところがあって、味のあるいい主人公だと思います。
「裏サンデー」「マンガワン」で2016年~連載。

試し読み 裏サンデー

犬神(外薗昌也)

詩をこよなく愛し、明日世界が終わればいいと願う地味な少年・島崎史樹。近所の工場跡で詩を読みふける彼は、人語を解し、詩をせがむ一匹の巨大な野良犬と出会う。詩的な作品を描いていた外薗先生が大きく舵を切り、その後の作風を決定づけた挑戦作。

第1話”出会い”(1巻収録)より

同じアフタヌーンの寄生獣とちょっと似てますが、こちらはさしずめ「擬態獣」。ミギーとちがって犬が痛い目見てるとしみじみと哀しくなってしまうあたりが一番違うかも。「ウォッチャーズ」とか「アイアムレジェンド」とか、ホラーアクションと犬は相性いい気がします。

犬(狼)の作画は気合入っててどんどんかわいくなっていきますし、序盤、特にラッキーのエピソードは強烈でした。後半はふろしきを広げ過ぎ、典型的な「説明で手一杯の作品」になりますが。
全14巻で完結。「犬神・改」というのもありますが、続編ではなく加筆修正の入った新装版のようです。

試し読み リイドカフェ

針棘クレミーと王の家(唯根)

動物と話す力を持ち、レトリバーのポルカ、黒猫のボニートとともに暮らす英国紳士のアーサーの家に、庭のハリネズミ・クレミーがやってきた。牧歌的な生活の中で時折出会うふしぎな存在、おかしなゲーム。動物の目から見た世界の面白可笑しさを描く、絵本のような動物コミック4コマ。

needle2.”国民”(1巻収録)より

トーンを使わないはっきりした線、適度にデフォルメされてるけどツボを押さえた動物の骨格、外国の絵本の挿絵みたいな落ち着いた画風が魅力的。その中で妖精や動物がユーモラスな行動を見せる作品でちょっとちがうけどディズニーがまあ近い。作中に登場するファンタジー要素はイギリスの伝承を元にしているそうです。


https://twitter.com/TakeShobo4koma/status/1034051505534332928?ref_src=twsrc%5Etfw

そこはかとなくおすすめ。掲載誌「月刊まんがライフMOMO」休刊により全3巻で完結。

試し読み コミックシーモア

マドンナはガラスケースの中(スガワラエスコ)

爬虫類にしか興奮しない爬虫類性愛(オフィディシズム)……の、はずだった32歳のペットショップ従業員、山本裕也は、ある日店に訪れた少女・九由莉に心を奪われる。後日彼女が小学生であることを知った彼は、精一杯優しいお兄さんを演じようとするのだが――

第4話”手のひらの上”(1巻収録)より




爬虫類(時々虫)飼育知識がメインで、その背後で危険な歳の差恋愛もじわじわと進展していきます。九サンが12歳にして魔性の魅力を備えていて、かわいいんですが末恐ろしい。5年後ぐらいの話も見たいような見たくないような……。

飼育環境に関する知識は限定的ですが、デュビアやコオロギの飼育などお好きな方には参考になりそうな情報もあります。ロリコンに拒否感ある人は読まないほうが無難。全2巻で完結。

試し読み pixivコミック

ウーパールーパーにっき うぱ子はじめました。(楠見らんま)

機嫌が悪いとエラが動き、ご飯が欲しければ踊りだす。感情表現豊かなウーパールーパー「うぱ子」の成長と生態を飼い主である作者が綴る、両生類飼育4コマ。

両生類に「自己主張が強い」「飼い主になつく」というイメージを持ったことがない(飼ったこともない)ので、こんなんなんだ! という興味的面白さが強かったですが、4コマとしても良作です。野生では絶滅危惧種らしいですがさもありなんという、手足は短いし動きは遅いし反応も悪いアホっぽさが逆にかわいい。


https://twitter.com/BUNKA_4COMA/status/658547526497206272?ref_src=twsrc%5Etfw

ウーパーは1980年代に一度ブームがありましたが、今でも結構人気があるらしいです。興味のある方、飼っている/飼ったことのある方だと特におすすめ。全2巻で完結。

試し読み BookLive

クマ撃ちの女(安島薮太)

駆け出しフリーライターの伊藤カズキは「売れる」題材を求めて、単独でヒグマを仕留めた狩りガール・小坂チアキに密着取材を申し込む。紆余曲折を経て承認されるも、山中の同行は想像以上に過酷……。狩りの楽しさと恐怖、そしてチアキの危うさを描く、北海道の山中狩猟モキュメンタリー。

第17話より

狩猟シーンは言うにおよばず、道具や整備などのtips、狩った獲物の調理や食レポ、狩猟中の心理状態なども描かれ読み応えあります。しかし本作の真骨頂はそれだけにあらず……。


多くは語りませんがクマ注意。油断して読んでたら変な汗出ました。通り魔みたいな「すごい回」が時々あって、しかも凄さのバリエーションがいくつかある、かなり衝撃的な作品です。
安島先生は連載デビュー作、監修はハンターの佐藤一博氏。

試し読み コミックバンチweb

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rokuro

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