起承転結の基礎はここにあり。4コママンガの幅狭く縦長い世界

4は天使の数字

いわゆる4コママンガをチョイスしました。最近の4コマはたまに4コマでなくなったりすぐするんで、基本的に4コマというか、通常営業が4コマというか、そういうようなところです。
短時間でオチをつけていくスタイル上日常系の作品がほとんどなわけですが、たまにそうではない作品もあったりする意外に懐の深いジャンルです。

日常系

【オススメ】あずまんが大王(あずまきよひこ)

ちよちゃん、大阪、榊さんといった個性的な女子高生がわらわら登場し、あれやこれやする学園4コマコメディー。
4コマ界において「以前・以降」という言い方がされるほど影響力のある作品で、萌え4コマの始祖といわれています。

一応話は連続するんですが、正直どの巻から読んでも問題ないかと。
ネタの作り方が上手く、もうこれはセンスなんでしょうか、そのへんの4コマと比較すると圧倒的に違います。絵柄も今とあんま変わんないですが、どことなく90年代。

ちなみに「あずまんが大王」と再構成版「あずまんが大王1年生」は、恐ろしい量の加筆修正により別物と化しているそうです(未読)。

試し読み めちゃコミック

彼とカレット(tugeneko)

週刊アスキー連載。以前は全部無料公開されてた気がしますが、現在は一部のみ無料公開。「彼」ことイケダくんと、家事をしない家政婦ロボカレット、およびその他の面々の交流が描かれます。

登場する男性は基本常識人なのですが、いかんせんほぼ全員変態であり、日常的にかなりダイレクトなセクハラを行います。3コマめでセクハラが行われ、4コマめでせっかんされている、というのがこのマンガの基本展開です。

ひとりセクハラを行わない男性もいるのですが、彼は常に女装していて、女性から常時セクハラを受けています。その関係で女性陣も高確率で変質者です。大体そんなようなマンガです。

試し読み 週アスコミック

ぴっぴら帳(こうの史代)

食堂で働くキミちゃんのと、セキセイインコのぴっぴらさんの穏やかでたまにシュールな日々を描く、こうの史代の初期連載作品。絵はこの頃から上手く、女の子は既に垂れ目です。

ぴっぴら帳

その4(1巻収録)より

実際に作者がインコを飼ってる状態で描いてらしたようなので、出てくるエピソードはかなり細々としていて、「こういう生物なのね」と思わせるものです。インコが好きな方ならマストバイと言っていいのではないでしょうか。

痛みを伴うような描写もなく、とても穏やかな作品です。古典的な4コマとしても高水準だと思います。

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【オススメ】翼くんはあかぬけたいのに(小花オト)

東京でシティボーイになることを夢見て、表参道のシェアハウスへ引っ越してきた少年、翼くん。そこで待っていたのはカフェの経営者、カリスマ美容師、アパレル店員という美男美女(ただし全員変人)揃いの同居人たち。
さらに新たな同居人やクラスメイトも現れ、全員全力で間違った方向へ突き進む共同生活の中で、翼くんはおしゃれの神髄を掴むことができるのか?

翼くんはあかぬけたいのに

EPISODE 09(2巻収録)より

かなりおすすめの作品で、きれいな絵とアレな人間性のギャップ、妙にバリエーション豊富な顔芸で着実に笑いをとりに来ます。
年がら年中ふざけてる分、たまに見せるまじめなシーンが妙に刺さる一面もあります。往々にしてその後、すべてぶち壊しにするオチがきますが。


基本横幅一杯の4コマで展開しつつ、時々普通のマンガの体裁になる作りです。
原型は「ヒバナ」で特別大賞をとった読み切り「ルームメイトはあかぬけない」。2015年に連載開始、同時掲載だったヒバナが2017年に廃刊となり、「マンガワン」で継続連載中。

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ロリクラ☆ほ~るど!(原作:Chihaya 漫画:KOMANDO-)

新しい学校へと転校してきた初日、絵を描くのが好きなので美術部に入ろうとモノローグを浮かべていた女子高生・たーにゃは同じページで突如シャイニング・ウィザードを喰らい、プロレス部へと拉致される。そこはプロレスオタクの少女たちの巣窟だった――

「闘魂列伝」等で知られるゲーム会社・㈱ユークスの社員が絵のうまい後輩をそそのかし、公式ブログに不定期連載されることとなったプロレスパンチラ日常系漫画です。

絵はかわいらしく、プロレス技は本格的。登場人物紹介では萌え絵の下に「平然と折りにくる」とかいう文章がしれっと入ります。知識ない人でも普通に読めますし、話の合い間に丁寧な技の紹介とかもあるので、「実はサソリ固めに興味あるんだけど、人に聞くのは恥ずかしい……」といった淑女の方にもおすすめ。

試し読み コミッククリア

モドキドモ(蒼川なな)

高校ではもう人と関わりたくない。どうすれば――そうだ、ヤンキーになれば孤立できる。閃いた元優等生・六条くんは髪を染めメッシュを入れマスクを被り、見事に周囲から浮くことに成功する。ただしひとつだけ誤算があった。優等生の皮を被ったヤンキー女・元木さんに正体を見破られ、執拗に絡まれていることだ……。

モドキドモ

#1″(1巻収録)より

キャラもテンポも良くギャグも面白く、ガンガン系の良質な4コマの流れに沿ったやつです。特に元木さん(↑)が人懐こい元ヤンで大変頼もしく、面白いヒロインです。

これも横長系4コマ。ひきこもり系の主人公とアクティブ系ヒロインという王道の組み合わせ。気楽で面白い4コマをお探しなら、割とおすすめです。

試し読み ガンガンONLINE

りふじんなふたり(松田円)

ヒロイン(?)はアラフォーにさしかかる乙女ゲー好きの営業事務・吉野里美。手違いから「本命」チョコを食われたことから知り合った飯島課長補佐は、「私が君の本命になれば丸く収まるんじゃないか?」とか序盤ほざくんですが「俺様系上司とOLの恋愛ものか!」と思いきや全くそういう展開にはならず、表紙百合っぽいですがそういう要素も一切なし。

りふじんなふたり

第9話(1巻収録)より

基本ただただダメな大人たちのアフター5をダラダラ実況中継するマンガです。キャッチーな方向へ安易に流れず、断固とした姿勢でダラダラします。

別に理不尽でもないし見切り発車感凄いですが、この意地でもゆるさを維持しようとする姿勢は読んでて悪くないです。「同級生が結婚したあたりから時間の流れが加速する」「同級生に孫が生まれた」といったアラフォーあるあるが、地味ながらも割と心をえぐります。

試し読み コミックシーモア

【オススメ】サトコとナダ(監修:西森マリー 漫画:ユペチカ)

日本からやってきたごく普通の女の子サトコと、サウジアラビアからやってきたムスリムの女の子ナダ。そんなふたりのアメリカでのルームシェア生活は意外にも相性抜群。気さくでちょっとお調子者のナダを通して紹介されるアラビアン文化を楽しみつつ、アメリカの大学生活も疑似体験できる、笑えてためになる異文化交流4コマ。

サトコとナダ

1巻より

「このマンガがすごい!」2018オンナ編3位。舞台がアメリカということで、サトコとナダ両方にとってアウェイ。パーティでふたりして「ドラマみたーい!」と目を輝かせたり、お互いに母国語を教え合ったりと異文化交流が微笑ましい。

ムスリムものだと「ペルセポリス」も僕は好きで、あと一作あればカテゴリ作れるな……と秘かにたくらんでますが、最近そういう汚れた目でしかマンガを見れなくなっている自分がちょっとつらい。

試し読み 最前線

ポイズンガール(瀬野反人)

清楚で心優しい少女薬丸桃子は毒蜘蛛に咬まれ、意思とは裏腹に人の心をえぐる超毒舌体質になってしまった! という設定でスタートしつつも、周囲の友人も彼女に対抗するかのごとく変人だらけで構成され、バランスとっていい感じの日常4コマへと遷移する辛辣なごやかなガールズコメディ。

ポイズンガール

POISON2(1巻収録)より

桃子の毒舌のキレは序盤特にすばらしく、「あっ、こういう時はこういう暴言がいいんだな」というイディオム的な意味で参考になります。概ね桃子の毒舌はオチ量産装置として機能していて、作中でさほど深刻に受け取る人間がいない(むしろ喜んでる人もいる)ので、同じ竹書房のポプテピピックのような殺伐とした空気は漂わず、途中からはよくも悪くも普通に面白い、という感想。

ザックリ切り上げて全3巻で完結。桃子の頭上になんか泡みたいなのが浮いてますけど、これはバブルスライムとかの「毒属性」を表現する記号のようです。なにげにストレートな暴言吐く委員長の頭上も浮いててよさそうなもんで、どっちかというと彼女の発現のほうが印象に残ってるものが多いような気も。

試し読み コミックシーモア

賭ケグルイ(仮)(原作・監修:河本ほむら 漫画:川村拓)

上納金による階級制のギャンブル高校私立百華王学園を舞台に、個性豊かなキャラクターたちが知恵とイカサマと顔芸で競い合うヒット作「賭ケグルイ」。飛ぶ鳥を落とす勢いのうちにアニメ化・アンソロジー化などのメディアミックス、スピンオフとしては早乙女芽亜里を主人公にした「賭ケグルイ双」、生志摩妄にスポットを当てた「賭ケグルイ妄」、コレが発表されています。そしてコレだけ何か方向性がちがう。

いわゆる日常スピンオフ4コマにあたる作品です。美形キャラたちはぼたもちと化し、原作とのギャップだけで既に割と面白いという例のズルいやつです。
一応オリジナルギャンブルも登場したりしますけど、言うまでもなくそこは期待しないほうがいいかと(地味に本編のデスマカロンを先取りした展開もあったりはします)。

本編がこういう日常要素やギャグをあまり描かないので、これを読んでから本編読むとギャップがあってまた楽しいかもしれないです。

試し読み ガンガンJOKER公式サイト

ラブコメ

恋愛ラボ(宮原るり)

眉目秀麗才色兼備、一見非の打ちどころのない優等生にして、私立藤崎女子中学の生徒会長でもある真木夏緒。しかし彼女は恋に恋する乙女でもあり、素敵な出会いに憧れるあまり浮世離れした妄想と練習を繰り返していた――
会長の奇行に会長補佐の倉橋莉子がドン引きする日常を描く初期展開から、徐々に他の役員が登場し、生徒の秘密の恋愛相談にお答えする「恋愛ラボ(ラブラボ)」としての活動がスタートしていきます。

「僕らはみんな河合荘」ですっかり売れっ子となった宮原先生ですが、こちらは4コマ連載ということもあってボケとツッコミのストレートなギャグマンガです。ただし途中から徐々にラブコメ成分が増してきます。


恋に恋しているのは夏緒だけではなく、他の面子もたまに彼女の妄想に乗っかったりするのが妙におかしい。4コマとしては相当なロングランで2006年~2019年まで雑誌休刊をはさみつつ連載、2013年アニメ化、全15巻で完結。

試し読み pixivコミック

秋月さんは大人になれない(優風)

仕事はできるが中二病の残念イケメン秋月さんと、年下彼女で同棲中の遊佐さん。闇の力を秘めた右腕を包帯で封印する彼と、遊佐さんはどのように愛を育んでいくというのか……というような話。

秋月さんは大人になれない

第8話”秋月さんと風邪遊佐さん”(1巻収録)より

一言で言えばラブコメ(奇行種)です。
これも幅広系4コマで、絵柄と雰囲気から僕には合わないかな? と思いつつ読んだらかなり笑わされました。

黙って仕事をしていれば秋月さんはいい男ですが、おもちゃ会社の課長として彼の作る製品はなかなかにサイケデリックで、どうあがいても誰かがツッコまないことには話の収拾がつかない魔性の男です。全5巻。

試し読み 裏サンデー女子部公式サイト

【オススメ】徒然チルドレン(若林稔弥)

もともと若林先生が自身のホームページ(徒然チルドレン)で発表していた4コマ漫画ですが、なんだかんだで週刊少年マガジンで連載されるところまで上り詰めたという、色んな意味で出世作です。

主人公がたくさんいて、一話完結でまた別の人の話になるオムニバス寄りのラブコメ。若者たちがイチャコラするのを見てニヤニヤしたい方におすすめの作品となりますが、ギャグ漫画としてもシュールで面白いです。

個人的には本山くんがなかなかかっこいいと思いますけど、どうでしょう。全12巻、厖大な数の登場人物にひとりひとり決着をつけて堂々の完結。

おじょじょじょ(クール教信者)

雲を見るのが好きなぼっち庶民男子・川柳徒然とタカビーお嬢様・地獄巡春が出会い、なんだかんだ親交を深めていく話です。話の中核はラブコメで、孤立しがちなふたりがうまい具合に惹かれあっていく様を描く4コマです。

主にツンデレを見たい人向け。
後半で川柳くんの隠された過去が明かされますが結構な超展開でした。

シリアス要素もありつつ深刻になり過ぎない感じで、デビュー作だそうですが安定感あります。1巻だけでも独立したマンガとして読めるかも。全4巻。

川柳少女(五十嵐正邦)

一切喋らず言いたいことは札に書く少女・雪白七々子と、見た目チンピラだがある日突然川柳にハマった毒島エイジ。そして文芸部の部長片桐アマネの三名を中心に、ゆるーく学校生活を描きつつぬるーくラブコメもするマンガです。
よくある感じですが、七子の発言? が(緊急時以外)全部五七五になっているのが独特の変な空気を作っています。

基本嫌なことは起こさないスタンスのようで、非常~に平和な作品でしたが、巻が進むと意外とノー天気なだけのマンガではないことが明らかになっていきます。

ベースとしてはゆる系4コマが読みたい方におすすめ。

試し読み マガメガ

ぶっカフェ!(小林ロク)

型物で怖い顔の店長は臨済宗、広島弁のごうつく経理は真言宗、チャラいランチとスイーツ担当は浄土真宗。そんな寺カフェ「喫茶去」に店を潰すレベルのドジっ子属性持ち・薬師ルリがアルバイトとして入店し、お坊さんたちは彼女を雇い続けるかどうかを迫られることになるが……。仏教×カフェ×ラブコメのハートフル4コマ漫画。

ぶっカフェ!

”安らぎのお店”(1巻収録)より

それぞれ別方向にズレてるキャラがわちゃわちゃしてマンガとして楽しく、その上で仏教知識もうまく絡めて「寺カフェならではの話」がしっかり織り込まれています。普通に勉強になるし、あまり縁のない仏教的な考え方に自然と触れ合える、作中で言う「現在ならではの仏教」を体現したかのようなマンガです。


絵とキャラの立ち位置的にはなんとなく「月刊少女野崎くん」っぽい? 基本毎日twitterで更新されますのでそちらで追うもよし、ツイ4でまとめて読むもよし(無料です)、追加エピソードありありのコミックスで読むもよし。次にくるマンガ大賞2018Webマンガ部門4位。

試し読み ツイ4

【オススメ】トモちゃんは女の子!(柳田史太)

無敵だった子供時代を終え、相沢智は女子高生になった。幼馴染の久保田淳一郎に恋心を覚える彼女だったが、相手はなにしろ付き合いが長い。完全に親友扱いされ、ボディータッチは無頓着そのもの、割と最近まで智を男だと思っていたらしいこの男に、どうやって自分が「女」だと意識させればいいものか。というか、女扱いされることを彼女は本当に望んでいるのか?

最強系女子高生のラブコメです。高校生まで成長しても空手部で男子含めて敵無し、久保田くんにも超えるべき壁扱いされる始末で、親友(ライバル?)から恋愛対象へどうやってスライドしていくのか、というのがメインの見どころ。ある意味単細胞な智に比較して、親友のみすずのエピソードはちょっと陰があり、彼女が何を考えて行動しているかはちょっとした謎としてストーリーを立体的に盛り上げます。

そしてもうひとりの親友キャロルの圧倒的キャラ萌え力。出てきた瞬間にぴったりと欠けたピースに埋まり、そのまま必要以上に圧をかけてきます。彼女の見どころは6巻あたり。
画力は相当高く、表情の描き分けも精妙。ちょっと辻褄の合わない部分もありますが、常に楽しさを提供して読む手を切らさない中毒性の高い作品です。

試し読み ツイ4

その他

ポプテピピック(大川ぶくぶ)

掲載するだけで某アドセンスに提携打ち切られそうな表紙がイカした、最近話題になったようなそうでもないような4コマ界の風雲児です。何かというと竹書房を破壊することで有名。

ポプテピピック

1巻より

概ね今時のシュール系ギャグですが、手当たり次第に時事ネタとパロディをブチ込む風化を恐れない姿勢は一陣の風のようで清々しいです。何か既視感があると思ったらやる夫だコレ。

ネットでも読めます(ポプテピピック)(セカンドシーズン)し、amazonの訓練されたレビューを楽しむのも一興です。ちょっと色々疲れた時にでもどうぞ。

ゴスロリJK無人島漂流記(青田めい)

危機感ゼロの前髪ぱっつんゴスロリJK・姫野美幸と、まじめさと勉強が取り得で運動神経ゼロの吉崎知恵。修学旅行中に船がどうにかなり、無人島に投げ出されたふたりの暮らしは、癒し度マックスのヤギ(?)・んみちゃんの登場とともにサバイバル漫画として紹介するのがはばかられるほどゆるく、突拍子もないものとなっていく。

ゴスロリJK無人島漂流記

第10話”続・美食への旅”(1巻収録)より

絵のかわいさの割にキャラが結構強気で、ちょっとした毒が随所に感じられます。ゆるいとはいえさすがに食糧事情の話が多く、しかし「かわいいのは食べられない」が通用するあたりはやはりゆるい。んみちゃんの圧倒的な可愛さも見どころで、きらら系のキャラでも屈指のあざとさ。

「住」および「衣」の話も出てくるので、そこでここぞとばかりにゴスロリの話をガンガンします。サバイバルというより流離譚的な印象。
「まんがタイムきららMAX」2016~2018年連載、全2巻で完結。

試し読み コミックシーモア

他にもこんなマンガが4の倍数で落としたりひねったりしています

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