「単独の作家やグループにより発表された、独立したいくつかの作品をひとつの作品集としてまとめたもの」を指して、オムニバスと呼ぶようです。
文学作品におけるそれはアンソロジーであるが、単独の作家により記述されたものである場合のみオムニバスが用いられる。音楽作品でのそれはコンピレーションであり、オムニバスが用いられるのは日本だけである。
引用 – Wikipedia
というわけで面白かったオムニバス作品をまとめてみました。このサイトでは上記の短編集的な定義に加え、「基本的に毎回主人公(ないしは狂言回し)が違う」「連載作品、または最初から複数の話をワンセットとして描かれている」ことを基準としています。
随時更新予定です。
便宜的な区分けで、「ホラー多め」ぐらいの感じです。
ページをめくれば謎の美女ミザリィが、毎回あなたをアウターゾーンへ招待してくれます。
試し読み コミックシーモア
これはちょっと迷いましたが、入れさせていただきました。というのも、全15巻のうちオムニバスといえるのは5巻(文庫版では全8巻中3巻途中)までだからです。6巻以降は登場人物が固定し、メインキャラとして教師の九段九鬼子が追加され、話の方向性もだいぶ変わります。
そしてその次の回で普通にまた登場します。富江かおまえは
高橋先生の作品だと、なんだかんだ僕はこれが一番好きですね。改めて読むとオチが弱い話が多いんですが、白い床しか踏んではいけない悪魔とのゲームとか、謎の命令に従ってみんなで土を掘る話とか、妙に印象に残ってるエピソード・シーンが多い。
試し読み BookLive!
怪奇系オムニバス、全2巻。
アウターゾーンと似たような感じで、謎の美女2名がガイド役となり、実録都市伝説風ホラーが展開されます。
「とりあえず気持ち悪いやつ出しとけばいいんでしょ?」的な最近のホラーとはちょっと違う作風で、なんか懐かしい気持ちになるんですが怖い話はなかなか怖い。
もうちょっと続けば、こういうのももう少し出てきたのかもしれませんね。作者本人の心霊体験談も収録。
試し読み スキマ
「究極のからくり」と呼ばれる万能万物丸に招かれた人々は、謎めいた和服の少女・ナツメに誘われ、自らの精神世界をさ迷い歩く。心の襞に隠された素晴らしい「特性」は、万能万物丸のための得難い部品になる。「特性」を奪われた人間はあるいは明るい道へ舵を切り、あるいは破滅するかもしれないが、それはナツメの知ったことではない――奇妙なユーモアとペーソスが魅力のホラー系オムニバス。
Kindle Unlimited対象作品。この人は短編も面白いんですが、なんか惜しいというかB級感があるというか、万人受けする作風ではないのもたしか。2010年刊行、全1巻で中断。
試し読み COMICO
「幽☆遊☆白書」でも「禁句」の元ネタに使ってたり、冨樫先生は筒井康隆が相当お好きのようで、初回の主人公は山形の高校へ進学することになった筒井雪隆。
彼のもとに突然謎の男が現れ、とんでもないトラブルに巻き込まれることになります。この謎の男はレベルE全体に登場し、トラブルを解決することもありますが大体の場合作る側。
文庫版だと冨樫先生が巻末で鬼のように愚痴ってて、「ああ、こうして不満を貯めこんで、人は休載を繰り返すようになるんだな」と感慨にふけることができます。表紙はJC版のほうがかっこいいと思いますし、文庫版は「字が小さ過ぎる」という感想が多数あるようなので、そのへんはお好みで。
余談ですが、よく使われる「予想(想像)の斜め上」という表現はこの作品で発明された言葉なんだそうです。「週刊少年ジャンプ」で1995~1997年連載、全3巻(JC版)で完結。
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あとがきで先生自身も仰っていますが、これは実質的には連作SF短編集です。特にナビ役が出るでもなく、話に共通点があるでもなく、ただ「クレーター」というくくりの中で連載されていた様々な話が収録されています。
全3巻。ある意味では非常にオムニバスらしいオムニバス作品集。僕が個人的に好きなのは3巻収録の「風穴」、意外な結末を迎える「オクチンの大いなる怪盗」(2巻)も印象深いです。
SFショート・ショートの名作とされながらも入手の難しい幻の名作……だったんですが、再編集版、文庫版特別編集と三度の刊行に渡り、電子書籍化もされました(再編集版のみ)。そういうわけで今ではお手軽に入手できます。
未収録作とかもありますので、紙で買うのであれば文庫版がおすすめ。
個人的に好きなのは渡り鳥を介した奇妙な恋を描く「楽園への招待」、動物の習性を会社員になぞらえた「大きな角を持つ男」等。
1988~1996年「ビッグコミックオリジナル」等で連載。再編集版で全10巻、文庫で全7巻で完結。続編「アフター0 Neo」が2003年~「ビッグコミック増刊号」で連載、全2巻。
試し読み コミックシーモア
バイオ戦争による無軌道な遺伝子実験とその後の遺伝子改造により、今や家畜も野草も人みたいな顔をしている。それどころか、おれ自身ももう人ではなくなってないか――?
皮肉の効いた管理SFから幻想世界へと滅びゆく一冊完結オムニバス。
個人的には「養鶏場」がホラーっぽくもありバカっぽくもありで割と好き。
巨大な角を持ち、大木に住むおとなしい人々。宇宙飛行士である「他人」の夢を見る女子校生。滅びゆく地球で空を見上げる一台のロボット――様々な場所と時間で綴られる、広大で時として残酷な5つの物語。
個人的には「ハッピーエンド」が好きですが、「京子の夢」も印象に残ります。
同じくデビュー作の「ヒューマニタス」(後述)ほどの衝撃はなかったですが、一冊完結のSFマンガでなんかということであれば十分自信を持ってお勧めできます。
試し読み WEBヤンマガ
ポップな絵と心をえぐられるような展開で話題を呼んだ阿部先生の出世作。ほっとするような話もありますが……。
試し読み コミックシーモア
中学卒業とともにサッカーをやめようと考える少年・安藤ソラの前に、ある少女が現れることから物語はスタートしする。結果として、彼女はソラのサッカー人生に大きな変化を与えることになるのだが――複数の視点と時系列で語られる、ソラにまつわる物語。
試し読み コミックシーモア
そのデパートでは、時折不思議なことが起こる――訪れたお客さんや従業員が遭遇する、ほんの小さな奇跡の物語集。
ハートフルな作品で鳴らす谷先生の三作目。かわいらしいですがちょっと大人びた絵が魅力的です。
いくつかの挿話を経て、ちょっと予想していなかったところにストーリーは着地します。どっちかというと女性向け。
子供の手に乗るほど小さく、何十年も同じ姿で生き続ける不思議な生き物・ちいさこ。彼らを見ることができるのは、恋を知らない人間か、あるいは――童話風味のオムニバスファンタジー。
上の「はてなデパート」は小玉先生イチオシの帯が付いてましたが、本作との共通点を感じないでもないです。「月刊flowers」で2017~2018年連載、全1巻で完結。ただその後も新作が発表されているので、続刊が出るかもしれません。
試し読み コミックシーモア
主として歌劇学校の寄宿舎を舞台に、少女たちにまつわるエトセトラを綴る群像劇です。作品内の時間軸は結構長く、少女がお母さんになったりとかもあり。
試し読み 太田出版公式サイト
主として思春期の女子にのみ現れる、コントロール不能で役にも立たない特殊能力「無用力」。その無用力を持つ女子が集められた1年1組では、今日も不思議で奇天烈だが大騒ぎするほどでもない事件が巻き起こる――
試し読み マガジンエッジ公式サイト
twitter上で発表した1Pマンガ(「今日の漫画」
絵柄が物凄く昭和で、永井先生とか吾妻先生とか色々混じってる感じです。レトロリノベーション物件とゆーか。うらぶれた物語とこの絵が非常にマッチしていて、逆に言うと絵が今風だったらこれほど評価されてないと思います。流行から外れたニーズを直撃したところにこの人の妙味がある……のかも。
全体に粗削りですが読ませます。僕が好きなのは8話の「じろう」。全2巻。
試し読み コミックシーモア
突如人類に降りかかった怪現象。この世に未練を残した死者たちが、意識を持ったアンデッドとして再び動き出したのだ! だがその多くは害がなく、受験勉強や恋愛、仕事など「やり残したこと」を仕上げるべく、腐りかけた肉体に防腐剤を打って「生」を全うしようとする。
口当たりはあくまでも軽く、それでいて重いテーマを読者へ突き付ける変調ヒューマン系オムニバス。
いわゆる「ゾンビ」ではなく、人を襲わないし感染もしないようです。表紙からこれは絶対ホラーだろと思ったら全然違いました。
15世紀のメソアメリカ、冷戦下のソ連、貿易船時代の北極圏――それぞれの時代で、今とは異なる暮らしがあり、それぞれの命を賭した闘いがあった。
デビュー作、かつ過去に例がないオムニバス短編集でのマンガ大賞2017を受賞で大きな注目を集めた骨太な人間ドラマ。
試し読み BookLive!
刊行順序は「赤」「緑」「青」。一話完結のショートショート集で、ゆる~く各話つながりがあったり、話の続きが描かれたりします。
道満先生(作者名はどうまんせいまん、と読みます)は「大人の童話」と評されるエログロあり不可解現象ありの変な話を得意とされていて、その特性を存分にふるう8Pの寓話を寄せ集めたのがこの作品。
一応どの巻から読んでも問題ないです。僕は「緑」が一番好きかな……。魔女にヤドクガエル(猛毒持ち)に変えられてしまった女の子にキスを迫られる「かわずカース」、悪魔に願いをかなえてもらう(難易度によるポイント制)「契約」なんかがお気に入りです。
試し読み 小学館公式ページ
どこにでもある平凡な街、美咲ヶ丘で繰り広げられる様々な人間ドラマ……と、「スキエンティア」からSF要素を抜いた(つまり現実世界的な)ような「街もの」オムニバス。おまけマンガ以外で各話に繋がりはなく、話の内容も家庭内不和や夢への挫折、初めての恋人、あるいは失恋と誰にでも訪れる可能性があり、それだけに感情移入しやすいものです。
1巻だと「マイライフ・ウィズ・ア・ドッグ」と「臆病者」、2巻だと「マイ・ルーム」とか好きですが、大体どれも面白いです。「ブランド」なんかはまだ×××が普及する前のこの時期だから描けた作品ですね。
「月刊IKKI」で2006~2009年連載、全2巻で完結。
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死を望む男と、人を殺してみたい女子中学生。ネットで知り合ったふたりは男の運転する車で、青木ヶ原樹海を目指していた。お互いの目的を果たすために――(第1話”死出の旅路”)
「なぜ人を殺してはいけないのか?」という問いが作中2度に渡り提出されますが、これに対して明快な回答を示しつつ、その回答を援用する形でダイナミズムのあるストーリーを見せる最終話が僕は一番好き。あまり大っぴらに友人に勧めるようなマンガではないですが、なかなかこれはいいです。
ビッグコミックスピリッツ増刊「漫戦」「Casual」で2003~2004年連載、全1巻で完結。
試し読み コミックシーモア
知性を持った肉食獣と草食獣が、社会を営み共生する社会。その維持のために肉を食うことが禁止され、しかし本能にあらがえず食獣の罪を犯してしまうものもいる。根源から歪みを抱えた世界を舞台に、獣同士の関係性を描いた「BEASTERS」世界のオムニバス短編集。
試し読み コミックシーモア
男性にもおすすめの恋愛系オムニバスマンガ。最近ドラマが当たった「逃げるは恥だが役に立つ」の作者さんですが、僕はこの作品のほうが好きかもしれないです。
「One more Kiss」で2003~2005年、「kiss」で2003~2008年、「Kiss PLUS」で2008~2009年不定期連載。正式に完結はしてないですが、全6巻で完結と言ってよいかと思います。
試し読み BookLive
人生は時として苦く、時として甘い。
負け続けのボクサー、演劇部員に文学少女、婦警さんにビールの売り子、さまざまな人々の人生に訪れる鮮やかな変化を描くオムニバス。
「Fellows!」「ハルタ」で2009~2014年不定期連載、全2巻で完結。最後に各話のキャラクターのその後を描いたエピローグが収録されています。僕は煮え切らない脚本家と主演女優をくっ付けようと演劇部員が暗躍する「ライスボール王子とプラム姫」がお気に入り。
試し読み eBookJapan
恋愛系オムニバス……といっていいんでしょうかコレは。全1巻。不思議系少女たちと、ちょっと大人しめの男の子たちが出会い、それぞれに何やら独特な交流をしていくという話。
それをするっとストーリーの中に滑り込ませますが、あまり違和感がなく、むしろそれで飛躍する物語の継ぎ目を接着しているようなところがあります。
試し読み 講談社コミックプラス
タイトルから「最近流行りの女の子が妄想するコメディかな?」と思って読み始めたんですが、大分違うシロモノでした。
試し読み championタップ!
平尾先生の作品はたまによくわからないシュールギャグが差し挟まれて独自の味を出すのが魅力のひとつですが、そのシュールギャグだけを凝縮させるとどうなるか、というのがコレ。
一部の話は一応連続してますがその繋がり方もおかしいし正直どうやっておすすめしていいのかわからないです。すごく笑えるでもないしオチもつかなかったりしますが勢いだけで読まされました。濁流に呑まれたい方はどうぞ。
試し読み ストーリアダッシュ
アウターゾーンも一応そうなんですが、ガイド役が各回違うタイプの人に接近し、何がしか願いをかなえたりするタイプのオムニバスというのも結構あります。
「幸せのキッカケいかがですか?」――突然現れて「人を幸せにする」ためのアイテムを授ける謎の男・幸福屋のシド。
「人気者になりたい」「彼を振り向かせたい」という根源的な欲望を刺激する魔性の道具に魅入られた女たちが迎える、それぞれの結末とは――
うまく使えば本当に幸福になれるものもありますが、道具には大体罠があります。個人的に好きなのは「友情のブレスレット」の章。構成がとてもきれいです。
「ザ・マーガレット」で2007年頃連載、全2巻で完結。
試し読み コミックシーモア
記憶力が良くなりたい、美しくなりたい、好きな人の本音が知りたい――シガーバー「白色天」では、さまざまな欲望をかなえる不思議な葉巻が手に入る。幸福屋とちがって嘘も罠もなく、言ったとおりの効果が手に入り、店主は純粋に客の幸福を願っている。それでも幸せになれるかどうかは当人次第……。
試し読み 月刊office YOU公式サイト
愛する人を失った人々の前に、少女が現れてこう告げる。24時間以内に3人の人間を殺せば、その人を蘇らせることができる、と。あまりにも大きい犠牲に躊躇いつつも、しだいに思考は「誰を標的にするか」へとすり替わっていく。しかし死者が蘇る時、そこには思わぬ展開が――
稲光先生作画としては貴重な? ギャグとかエロとか抜きの作品。実験的なマンガだったのか、キャラも背景もすべてフル3Dで作成されているあたりも見どころです。全2巻で完結。
試し読み LINEマンガ
1分浸かれば体力全快、5分浸かれば夢の世界。その番頭は強く美しいエルフの「ユフ」。危険な旅を続ける冒険者たちの間で囁かれる、伝説の移動風呂「エルフ湯」は、今日も50Gで旅人のあらゆる垢と傷、さらには固定観念までも洗い流す。謎に満ちた美女と巡るファンタジー野外風呂オムニバス。
類似作 薬菜飯店(小説、筒井康隆)
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