オムニバス漫画とは
「単独の作家やグループにより発表された、独立したいくつかの作品をひとつの作品集としてまとめたもの」を指して、オムニバスと呼ぶようです。
文学作品におけるそれはアンソロジーであるが、単独の作家により記述されたものである場合のみオムニバスが用いられる。音楽作品でのそれはコンピレーションであり、オムニバスが用いられるのは日本だけである。
引用 – Wikipedia
というわけで面白かったオムニバス作品をまとめてみました。このサイトでは上記の短編集的な定義に加え、「基本的に毎回主人公(ないしは狂言回し)が違う」「連載作品、または最初から複数の話をワンセットとして描かれている」ことを基準としています。
随時更新予定です。
・アウターゾーン(光原伸)
・学校怪談(高橋葉介)
・怪奇まんだら(黒岩よしひろ)
・機巧童子(鯛夢)
SF
・レベルE(冨樫義博)
・ザ・クレーター(手塚治虫)
・アフター0(岡崎二郎)
・未来歳時記バイオの黙示録(諸星大二郎)
・宇宙のプロフィル(こがたくう)
ヒューマン・学園ドラマ
・空が灰色だから(阿部共実)
・1/11(中村尚儁)
・はてなデパート(谷和野)
・ちいさこの庭(小玉ユキ)
・淡島百景(志村貴子)
・うちのクラスの女子がヤバい(衿沢世衣子)
・臆病の穴(史群アル仙)
・アンデッド(井上和郎)
・ヒューマニタス(山本亜季)
・ニッケルオデオン(道満晴明)
・美咲ヶ丘ite(戸田誠二)
・リボン(榎本ナリコ)
・BEAST COMPLEX
恋愛もの
・回転銀河(海野つなみ)
・紅い実はじけた(高橋那津子)
・春と盆暗(熊倉献)
ギャグ
・空想少女(さと)
・青春の光となんか(平尾アウリ)
ショップ系
・幸福屋(姫神ヒロ)
・Bar白色天 女と男 欲望の百物語(森田智)
・マーダー・インカーネイション(原作:菅原敬太 漫画:稲光伸二)
・エルフ湯つからば(西義之)
ホラー
便宜的な区分けで、「ホラー多め」ぐらいの感じです。
アウターゾーン(光原伸)
ページをめくれば謎の美女ミザリィが、毎回あなたをアウターゾーンへ招待してくれます。
「週刊少年ジャンプ」で1991~1994年連載、全15巻で完結。昔の名作のリバイバルが流行っていた2011年に「アウターゾーン リ:ビジテッド」として復活し、2015年まで「コミック特盛」で連載、2016年「画楽ノ杜」で2話掲載。リビジテッドはコミックスとしては3巻までしか出ず、後半の数話は未収録。
試し読み コミックシーモア
学校怪談(高橋葉介)
これはちょっと迷いましたが、入れさせていただきました。というのも、全15巻のうちオムニバスといえるのは5巻(文庫版では全8巻中3巻途中)までだからです。6巻以降は登場人物が固定し、メインキャラとして教師の九段九鬼子が追加され、話の方向性もだいぶ変わります。
そしてその次の回で普通にまた登場します。富江かおまえは
高橋先生の作品だと、なんだかんだ僕はこれが一番好きですね。改めて読むとオチが弱い話が多いんですが、白い床しか踏んではいけない悪魔とのゲームとか、謎の命令に従ってみんなで土を掘る話とか、妙に印象に残ってるエピソード・シーンが多い。
試し読み BookLive!
怪奇まんだら(黒岩よしひろ)
怪奇系オムニバス、全2巻。
アウターゾーンと似たような感じで、謎の美女2名がガイド役となり、実録都市伝説風ホラーが展開されます。
「とりあえず気持ち悪いやつ出しとけばいいんでしょ?」的な最近のホラーとはちょっと違う作風で、なんか懐かしい気持ちになるんですが怖い話はなかなか怖い。
もうちょっと続けば、こういうのももう少し出てきたのかもしれませんね。作者本人の心霊体験談も収録。
試し読み スキマ
機巧童子(鯛夢)
「究極のからくり」と呼ばれる万能万物丸に招かれた人々は、謎めいた和服の少女・ナツメに誘われ、自らの精神世界をさ迷い歩く。心の襞に隠された素晴らしい「特性」は、万能万物丸のための得難い部品になる。「特性」を奪われた人間はあるいは明るい道へ舵を切り、あるいは破滅するかもしれないが、それはナツメの知ったことではない――奇妙なユーモアとペーソスが魅力のホラー系オムニバス。
Kindle Unlimited対象作品。この人は短編も面白いんですが、なんか惜しいというかB級感があるというか、万人受けする作風ではないのもたしか。2010年刊行、全1巻で中断。
試し読み COMICO
SF
レベルE(冨樫義博)
「幽☆遊☆白書」でも「禁句」の元ネタに使ってたり、冨樫先生は筒井康隆が相当お好きのようで、初回の主人公は山形の高校へ進学することになった筒井雪隆。
彼のもとに突然謎の男が現れ、とんでもないトラブルに巻き込まれることになります。この謎の男はレベルE全体に登場し、トラブルを解決することもありますが大体の場合作る側。
文庫版だと冨樫先生が巻末で鬼のように愚痴ってて、「ああ、こうして不満を貯めこんで、人は休載を繰り返すようになるんだな」と感慨にふけることができます。表紙はJC版のほうがかっこいいと思いますし、文庫版は「字が小さ過ぎる」という感想が多数あるようなので、そのへんはお好みで。
余談ですが、よく使われる「予想(想像)の斜め上」という表現はこの作品で発明された言葉なんだそうです。「週刊少年ジャンプ」で1995~1997年連載、全3巻(JC版)で完結。
試し読み eBookJapan
ザ・クレーター(手塚治虫)
あとがきで先生自身も仰っていますが、これは実質的には連作SF短編集です。特にナビ役が出るでもなく、話に共通点があるでもなく、ただ「クレーター」というくくりの中で連載されていた様々な話が収録されています。
全3巻。ある意味では非常にオムニバスらしいオムニバス作品集。僕が個人的に好きなのは3巻収録の「風穴」、意外な結末を迎える「オクチンの大いなる怪盗」(2巻)も印象深いです。
アフター0(岡崎二郎)
SFショート・ショートの名作とされながらも入手の難しい幻の名作……だったんですが、再編集版、文庫版特別編集と三度の刊行に渡り、電子書籍化もされました(再編集版のみ)。そういうわけで今ではお手軽に入手できます。
未収録作とかもありますので、紙で買うのであれば文庫版がおすすめ。
個人的に好きなのは渡り鳥を介した奇妙な恋を描く「楽園への招待」、動物の習性を会社員になぞらえた「大きな角を持つ男」等。
1988~1996年「ビッグコミックオリジナル」等で連載。再編集版で全10巻、文庫で全7巻で完結。続編「アフター0 Neo」が2003年~「ビッグコミック増刊号」で連載、全2巻。
試し読み コミックシーモア
未来歳時記バイオの黙示録(諸星大二郎)
バイオ戦争による無軌道な遺伝子実験とその後の遺伝子改造により、今や家畜も野草も人みたいな顔をしている。それどころか、おれ自身ももう人ではなくなってないか――?
皮肉の効いた管理SFから幻想世界へと滅びゆく一冊完結オムニバス。
個人的には「養鶏場」がホラーっぽくもありバカっぽくもありで割と好き。
宇宙のプロフィル(こがたくう)
巨大な角を持ち、大木に住むおとなしい人々。宇宙飛行士である「他人」の夢を見る女子校生。滅びゆく地球で空を見上げる一台のロボット――様々な場所と時間で綴られる、広大で時として残酷な5つの物語。
個人的には「ハッピーエンド」が好きですが、「京子の夢」も印象に残ります。
同じくデビュー作の「ヒューマニタス」(後述)ほどの衝撃はなかったですが、一冊完結のSFマンガでなんかということであれば十分自信を持ってお勧めできます。
試し読み WEBヤンマガ
ヒューマン・学園ドラマ
空が灰色だから(阿部共実)
ポップな絵と心をえぐられるような展開で話題を呼んだ阿部先生の出世作。ほっとするような話もありますが……。
多くの場合主人公は少女で、人間的ななんらかの欠点、驕り、コンプレックスなどをうちに秘めています。知的水準が若干低いこともままあります。
— 阿部共実 (@ab_t) 2018年8月3日
有名なのは2巻の「ネガティブスリーパー」、「信じていた」など。「週刊少年チャンピオン」で2011~2013年連載、全5巻で完結。
試し読み コミックシーモア
1/11(中村尚儁)
中学卒業とともにサッカーをやめようと考える少年・安藤ソラの前に、ある少女が現れることから物語はスタートしする。結果として、彼女はソラのサッカー人生に大きな変化を与えることになるのだが――複数の視点と時系列で語られる、ソラにまつわる物語。
なお、3巻でオフサイドのルールについてとてもわかりやすい説明があります。「なぜこのルールが作られたのか」から始まり、僕はこれを読んでやっとオフサイドという概念を理解することができました。
「ジャンプSQ.19」で2011~2012年、「ジャンプスクエア」で2012~2014年連載、全9巻で完結。
試し読み コミックシーモア
はてなデパート(谷和野)
そのデパートでは、時折不思議なことが起こる――訪れたお客さんや従業員が遭遇する、ほんの小さな奇跡の物語集。
ハートフルな作品で鳴らす谷先生の三作目。かわいらしいですがちょっと大人びた絵が魅力的です。
ちょっと不思議なデパートにまつわるオムニバス短編集。谷和野さん、お話も絵もよりいっそう磨きがかかっていて隙なし!!全話ハズレなし!!!“いい話風”の物語に辟易している方にこそぜひ読んでもらいたいです。
はてなデパート 谷和野 小学館 pic.twitter.com/17QFiYkTo3— ザ・リブレット栄地下街店 (@lib_sakae) 2016年4月13日
いくつかの挿話を経て、ちょっと予想していなかったところにストーリーは着地します。どっちかというと女性向け。
ちいさこの庭(小玉ユキ)
子供の手に乗るほど小さく、何十年も同じ姿で生き続ける不思議な生き物・ちいさこ。彼らを見ることができるのは、恋を知らない人間か、あるいは――童話風味のオムニバスファンタジー。
上の「はてなデパート」は小玉先生イチオシの帯が付いてましたが、本作との共通点を感じないでもないです。「月刊flowers」で2017~2018年連載、全1巻で完結。ただその後も新作が発表されているので、続刊が出るかもしれません。
試し読み コミックシーモア
淡島百景(志村貴子)
主として歌劇学校の寄宿舎を舞台に、少女たちにまつわるエトセトラを綴る群像劇です。作品内の時間軸は結構長く、少女がお母さんになったりとかもあり。
【淡島百景③巻】本日発売しました〜。COMIC ZINさんでお買い上げの方には表紙絵のイラストカードが特典として付くようです。どうぞ宜しくお願いいたします。 pic.twitter.com/gB1ppRP8gi
— 志村貴子【告知用】 (@takakoshimura) 2019年3月14日
「娘の家出」にしっとり湿気を含ませて朝顔と一緒に一晩のすことで香りをつけたようなマンガ。登場人物がある程度固定されていて、特設サイトでは主要人物紹介とかもされてます。
試し読み 太田出版公式サイト
うちのクラスの女子がヤバい(衿沢世衣子)
主として思春期の女子にのみ現れる、コントロール不能で役にも立たない特殊能力「無用力」。その無用力を持つ女子が集められた1年1組では、今日も不思議で奇天烈だが大騒ぎするほどでもない事件が巻き起こる――
視点はさまざまな女子の間を移動し、少しずつクラスメイトの能力と発動条件がわかっていくあたりはミステリ系能力もの的な風情もあります。人生狂わされるような無用力も一部あり、話の振り幅は結構大きい印象。恋愛ものがちょっと多いかな。
クジで席替えした二年生 pic.twitter.com/GBONERnKG2
— 衿沢世衣子 (@knutknut) June 27, 2021
絵は簡素ですが女の子の体つきとかすごく上手い(変な意味じゃなく)。名画をあしらった表紙も目を惹くデザインで、全体的にセンスいいマンガだと思います。
「月刊少年マガジンエッジ」で2015~2017年連載、全3巻で完結後、2021年トーチWebで続編連載。
試し読み マガジンエッジ公式サイト
臆病の穴(史群アル仙)
twitter上で発表した1Pマンガ(「今日の漫画」に収録)が話題となり、ヤバい勢いで有名になったアル仙先生の商業デビュー作。
作品は全体的にダウナー、一筋縄ではいかない「愛」にまつわる物語集です。
絵柄が物凄く昭和で、永井先生とか吾妻先生とか色々混じってる感じです。レトロリノベーション物件とゆーか。うらぶれた物語とこの絵が非常にマッチしていて、逆に言うと絵が今風だったらこれほど評価されてないと思います。流行から外れたニーズを直撃したところにこの人の妙味がある……のかも。
全体に粗削りですが読ませます。僕が好きなのは8話の「じろう」。全2巻。
試し読み コミックシーモア
アンデッド(井上和郎)
突如人類に降りかかった怪現象。この世に未練を残した死者たちが、意識を持ったアンデッドとして再び動き出したのだ! だがその多くは害がなく、受験勉強や恋愛、仕事など「やり残したこと」を仕上げるべく、腐りかけた肉体に防腐剤を打って「生」を全うしようとする。
口当たりはあくまでも軽く、それでいて重いテーマを読者へ突き付ける変調ヒューマン系オムニバス。
いわゆる「ゾンビ」ではなく、人を襲わないし感染もしないようです。表紙からこれは絶対ホラーだろと思ったら全然違いました。
ヒューマニタス(山本亜季)
15世紀のメソアメリカ、冷戦下のソ連、貿易船時代の北極圏――それぞれの時代で、今とは異なる暮らしがあり、それぞれの命を賭した闘いがあった。
デビュー作、かつ過去に例がないオムニバス短編集でのマンガ大賞2017を受賞で大きな注目を集めた骨太な人間ドラマ。
拙作『ヒューマニタス』重版出来しました!POPも新しく作っていただきました。ありがとうございます!書店やネット、とらのあなさんでもお取り扱いいただいておりますので、よろしければ是非!https://t.co/0PxzwgE8Nn pic.twitter.com/Fka7oLIsMV
— 山本亜季「賢者の学び舎」1〜3巻発売中 (@_aki_0623) 2016年12月22日
イヌイットのちんまい少女を描く「エナ」が人気あるようですが、僕はソ連の収容所でチェスを学ぶ「ユーリ・シルバーマン」が一番好き。人のいい青年が物凄く不幸な目に遭いつつも一点尖った才能を発露していく話で、展開も熱い!「ビッグコミックスペリオール」で2015~2016年連載、全1巻で完結。
試し読み BookLive!
ニッケルオデオン(道満晴明)
刊行順序は「赤」「緑」「青」。一話完結のショートショート集で、ゆる~く各話つながりがあったり、話の続きが描かれたりします。
道満先生(作者名はどうまんせいまん、と読みます)は「大人の童話」と評されるエログロあり不可解現象ありの変な話を得意とされていて、その特性を存分にふるう8Pの寓話を寄せ集めたのがこの作品。
『ニッケルオデオン』道満晴明氏描き下ろしのパンチラTシャツが、ヴィレッジヴァンガードオンラインで発売! 詳細は6/1以降にこちらで。http://t.co/wWPjPU82Q4
道満氏は現在「やわスピ」で『花とアリス殺人事件』連載中。 pic.twitter.com/zB2Do1ZYCg— IKKI編集部公式アカウント (@comic_IKKI) 2015年5月30日
一応どの巻から読んでも問題ないです。僕は「緑」が一番好きかな……。魔女にヤドクガエル(猛毒持ち)に変えられてしまった女の子にキスを迫られる「かわずカース」、悪魔に願いをかなえてもらう(難易度によるポイント制)「契約」なんかがお気に入りです。
試し読み 小学館公式ページ
美咲ヶ丘ite(戸田誠二)
どこにでもある平凡な街、美咲ヶ丘で繰り広げられる様々な人間ドラマ……と、「スキエンティア」からSF要素を抜いた(つまり現実世界的な)ような「街もの」オムニバス。おまけマンガ以外で各話に繋がりはなく、話の内容も家庭内不和や夢への挫折、初めての恋人、あるいは失恋と誰にでも訪れる可能性があり、それだけに感情移入しやすいものです。
1巻だと「マイライフ・ウィズ・ア・ドッグ」と「臆病者」、2巻だと「マイ・ルーム」とか好きですが、大体どれも面白いです。「ブランド」なんかはまだ×××が普及する前のこの時期だから描けた作品ですね。
「月刊IKKI」で2006~2009年連載、全2巻で完結。
試し読み BookLive
リボン(榎本ナリコ)
死を望む男と、人を殺してみたい女子中学生。ネットで知り合ったふたりは男の運転する車で、青木ヶ原樹海を目指していた。お互いの目的を果たすために――(第1話”死出の旅路”)
「なぜ人を殺してはいけないのか?」という問いが作中2度に渡り提出されますが、これに対して明快な回答を示しつつ、その回答を援用する形でダイナミズムのあるストーリーを見せる最終話が僕は一番好き。あまり大っぴらに友人に勧めるようなマンガではないですが、なかなかこれはいいです。
ビッグコミックスピリッツ増刊「漫戦」「Casual」で2003~2004年連載、全1巻で完結。
試し読み コミックシーモア
BEAST COMPLEX
知性を持った肉食獣と草食獣が、社会を営み共生する社会。その維持のために肉を食うことが禁止され、しかし本能にあらがえず食獣の罪を犯してしまうものもいる。根源から歪みを抱えた世界を舞台に、獣同士の関係性を描いた「BEASTERS」世界のオムニバス短編集。
デビュー作の短編連載『BEAST COMPLEX』から、"ラクダとオオカミ"
代表作ではないけど、現在連載中の『BEASTARS』の指針となった漫画なので。(1/7) #平成最後に自分の代表作を貼る pic.twitter.com/WSEjMd9oCP— 板垣巴留🐺BEASTARS (@itaparu99) April 29, 2019
僕は肉食獣と草食獣が料理番組をやることになる「ワニとガゼル」が好きで、大きい肉食獣が男性、小さい草食獣が女性役をつとめて見た目にも現実に近く、感情移入しやすくて好みです。ワニさんの色々屈託をふっ切ったキャラクターも毒があって良いです。「週刊少年チャンピオン」で2016~2017年短期連載後、BEASTERSを挟んで2021年~再連載。
試し読み コミックシーモア
恋愛もの
回転銀河(海野つなみ)
男性にもおすすめの恋愛系オムニバスマンガ。最近ドラマが当たった「逃げるは恥だが役に立つ」の作者さんですが、僕はこの作品のほうが好きかもしれないです。
個人的に好きなのは5巻収録「クロニクル」。実にいい話で、構成も面白い。
「One more Kiss」で2003~2005年、「kiss」で2003~2008年、「Kiss PLUS」で2008~2009年不定期連載。正式に完結はしてないですが、全6巻で完結と言ってよいかと思います。
試し読み BookLive
紅い実はじけた(高橋那津子)
人生は時として苦く、時として甘い。
負け続けのボクサー、演劇部員に文学少女、婦警さんにビールの売り子、さまざまな人々の人生に訪れる鮮やかな変化を描くオムニバス。
「Fellows!」「ハルタ」で2009~2014年不定期連載、全2巻で完結。最後に各話のキャラクターのその後を描いたエピローグが収録されています。僕は煮え切らない脚本家と主演女優をくっ付けようと演劇部員が暗躍する「ライスボール王子とプラム姫」がお気に入り。
試し読み eBookJapan
春と盆暗(熊倉献)
恋愛系オムニバス……といっていいんでしょうかコレは。全1巻。不思議系少女たちと、ちょっと大人しめの男の子たちが出会い、それぞれに何やら独特な交流をしていくという話。
それをするっとストーリーの中に滑り込ませますが、あまり違和感がなく、むしろそれで飛躍する物語の継ぎ目を接着しているようなところがあります。
試し読み 講談社コミックプラス
ギャグ
空想少女(さと)
タイトルから「最近流行りの女の子が妄想するコメディかな?」と思って読み始めたんですが、大分違うシロモノでした。
6/26更新 さと『空想少女』 第7話 http://t.co/tKZ1J2n9Ff
高校デビュー☆を果たそうとするシズカの所へ現れたのは…!? 大好評オムニバス! #ChampionTap pic.twitter.com/g6FED7rmfB— Championタップ! (@Championtap) 2015年6月25日
あらすじも訳わかんないことになってますが実際こういう話なので仕方ない。
他寝相の酷い女子と念動力者の戦いを描く「がんばれ!超能力者」、読んだマンガの演出に憑りつかれる「マンガ病」など。笑える話だけではなく、いい話もよくできてたりするので侮れない。「もっと!」で2013~2014年、「Champion タップ!」で2014~2015年連載、全1巻で完結。
試し読み championタップ!
青春の光となんか(平尾アウリ)
平尾先生の作品はたまによくわからないシュールギャグが差し挟まれて独自の味を出すのが魅力のひとつですが、そのシュールギャグだけを凝縮させるとどうなるか、というのがコレ。
#青春の光となんか 配信開始されました。 平尾アウリ先生が描く青春コメディ!|まんがライフSTORIA´ https://t.co/DhZVhdWDs6 pic.twitter.com/awsTjNPTwi
— まんがライフSTORIA編集部(竹書房) (@storiatakeshobo) 2017年6月16日
一部の話は一応連続してますがその繋がり方もおかしいし正直どうやっておすすめしていいのかわからないです。すごく笑えるでもないしオチもつかなかったりしますが勢いだけで読まされました。濁流に呑まれたい方はどうぞ。
試し読み ストーリアダッシュ
ショップ系
アウターゾーンも一応そうなんですが、ガイド役が各回違うタイプの人に接近し、何がしか願いをかなえたりするタイプのオムニバスというのも結構あります。
幸福屋(姫神ヒロ)
「幸せのキッカケいかがですか?」――突然現れて「人を幸せにする」ためのアイテムを授ける謎の男・幸福屋のシド。
「人気者になりたい」「彼を振り向かせたい」という根源的な欲望を刺激する魔性の道具に魅入られた女たちが迎える、それぞれの結末とは――
うまく使えば本当に幸福になれるものもありますが、道具には大体罠があります。個人的に好きなのは「友情のブレスレット」の章。構成がとてもきれいです。
「ザ・マーガレット」で2007年頃連載、全2巻で完結。
試し読み コミックシーモア
Bar白色天 女と男 欲望の百物語(森田智)
記憶力が良くなりたい、美しくなりたい、好きな人の本音が知りたい――シガーバー「白色天」では、さまざまな欲望をかなえる不思議な葉巻が手に入る。幸福屋とちがって嘘も罠もなく、言ったとおりの効果が手に入り、店主は純粋に客の幸福を願っている。それでも幸せになれるかどうかは当人次第……。
📖月刊オフィスユー 7月号
発売中です‼️「Bar 白色天」は今回で最終回となります。
ご愛読くださり、本当にありがとうございました。一話一話が私の宝物です。
電子書籍でしか出ておりませんが、過去作が一話でも多く皆様に届きますように。😄↓カラー原稿のアナログ作成工程はこちら pic.twitter.com/bVqnayAf7m
— 森田 智 Tomo Morita (漫画家) (@hakushikiten) May 25, 2019
「月刊office YOU」で2010年~2019年連載、全16巻で一度完結後、同年再開の続編「Bar 白色天 Resurrection」が連載中。基本電子書籍のみで、無印1巻と「R18 禁断の迷宮 Bar白色天」のみ紙書籍があるようです。
試し読み 月刊office YOU公式サイト
マーダー・インカーネイション(原作:菅原敬太 漫画:稲光伸二)
愛する人を失った人々の前に、少女が現れてこう告げる。24時間以内に3人の人間を殺せば、その人を蘇らせることができる、と。あまりにも大きい犠牲に躊躇いつつも、しだいに思考は「誰を標的にするか」へとすり替わっていく。しかし死者が蘇る時、そこには思わぬ展開が――
『マーダー・インカーネイション』のフランス語版届きました。 pic.twitter.com/fB532ko8fP
— 菅原敬太 (@keitasugahara) 2015年10月23日
稲光先生作画としては貴重な? ギャグとかエロとか抜きの作品。実験的なマンガだったのか、キャラも背景もすべてフル3Dで作成されているあたりも見どころです。全2巻で完結。
試し読み LINEマンガ
エルフ湯つからば(西義之)
1分浸かれば体力全快、5分浸かれば夢の世界。その番頭は強く美しいエルフの「ユフ」。危険な旅を続ける冒険者たちの間で囁かれる、伝説の移動風呂「エルフ湯」は、今日も50Gで旅人のあらゆる垢と傷、さらには固定観念までも洗い流す。謎に満ちた美女と巡るファンタジー野外風呂オムニバス。
ただ展開が素直過ぎるというか、ファンタジーなのに上二作よりファンタジー感ないのが難といえば難。
「月刊モーニングtwo」で2016年~不定期連載。2021年時点で1巻のみ刊行、たぶんこれで完結になりそうです。
類似作 薬菜飯店(小説、筒井康隆)
試し読み モーニング公式サイト
他にもこんなマンガがオムニバス形式を採用しています
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