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この「能力」をどう使う? 特異点たちが衝突する、おすすめ異能力系マンガ

まえがき

異能力マンガということで、能力が一種類だけだったり、一般的に知られる類の超能力だったり、種族ごとに決まっていたりするのは省きます。もっとこう際限なく、複数いる能力者がそれぞれ別々の能力を持っていて、「今回登場したこいつは、一体どういう能力を持っているのか」という好奇心が推進力のひとつになりうる、というのがおおまかな基準です。キャラクター同士で能力がかぶるのはOK。
バトルものが多いですが、最近は亜種みたいなのも増えてきました。結果として他のカテゴリと作品の取り合いになりがちなジャンルではあります。

ジョジョの奇妙な冒険(荒木飛呂彦)

ここに来てくださってるような方は大体読んでるような気もしますが、能力系バトルの大御所です。
「読んだことなァーい。でも気になるゥゥーッ!」という方向けに書くと、JC版で12巻からが第3部、ここがジョジョで一番メジャーな部分で、世界を旅する旅情系能力バトルマンガです。
御多分に漏れず僕は3部と4部派で、特に4部の都会的なセンス、渇いた線はたまんないですね。2部も嫌いではなく、大体ドラクエと同じような状態です。

展開の面白さもさることながら、能力を擬人化した「スタンド」を発明したのが非常にでかい。今や能力を体現したキャラクターを出すと自動的にスタンド呼ばわりされるという、特権階級的な位置を占めています。


第4部が29巻から、47巻からの5部と続き数字をリセットして6部がストーンオーシャン、7部がスティールボールラン、8部がジョジョリオン。3部までが結構短く、1部2部からそして伝説へ……という展開なので、当サイトとしましてはなるべく続きで読むのをお勧めします。

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ib インスタントバレット(赤坂アカ)

周囲から孤立する喧嘩っ早い、どこかの生徒会長にクリソツな少年深瀬クロはクリスマス・イブに突如黒い化け物と遭遇し、たまたまその場に居合わせた少女と協力して化け物を撃退することになる。
少女(セラ)は「手榴弾をポケットの中に生み出す」能力を持っており、黒い化け物を「人類の敵」として「世界を救うための」戦いが始まったのだと目を輝かせた。

第1話(b)”悪者とヒーロー”(1巻収録)より

ありふれていて特別なボーイ・ミーツ・ガール、正義と悪の単純な争い。たしかに一瞬そう見えた。しかし物語はここから、一般的に予想される展開とは大きく違った方向へ舵を切ることに――


https://twitter.com/akasaka_aka/status/360708985227190272?ref_src=twsrc%5Etfw

かぐや様でラブコメ界に一大旋風を巻き起こすちょっと前に描かれた、シリアスで詩的な描写と唐突なギャグの落差が読むものを混乱させる、「世界の終わり」を巡る能力もの。ちょっと感情移入が難しい話ですけど、細かいことはさておいて面白いのでいいのです。コメディタッチの描写もふんだんにあるので、かぐや様好きな人も楽しめるかと。全5巻で完結。

魔都精兵のスレイブ(原作:タカヒロ 漫画:竹村洋平)

突如出現した「魔都」で得られる桃は女性のみに異能の力を与え、魔都から現れる怪物「醜鬼」との防衛戦は女性たちに委ねられた。魔都へ迷い込んだ少年・和倉優希は女性防衛組織「魔防隊」の羽前京香と合流するも依然窮地。そこで京香が優希に申し出たのは、彼女の異能によって優希を奴隷として使役し、敵包囲網を突破すること――その戦果は京香を驚かせるほどのものであり、優希は彼女専属の奴隷兼魔防隊の下っぱとなるが、奴隷化の能力には働きに応じて「褒美」を与えないといけない代償があった。

第1話”スレイブの誕生”(1巻収録)より

褒美とは……わかるな? というアレです。また優希くんの嗜好がちょっとマニアックで、ジャンプ系の歪んだ性癖を受け継ぐ正当後継者感あります。もはやどっちが奴隷なのやら。
それでいて普通に少年マンガとしても面白い。エロコメと異能バトルが両輪という変な駆動ですが、意外とこれが悪くない、というか全然いい。


これ読んだので「アカメが斬る!」も読んでみようかな、と考える程度には高評価です。ただ竹村先生の作画あっての面白さな気もしてて、アクション・女性描写いずれもきれいで、非常に画面が見やすくスッと入れます。
2019年~「少年ジャンプ+」で連載。

試し読み 少年ジャンプ+

極黒のブリュンヒルデ(岡本倫)

見たもの全てを記憶する能力を持つ主人公・村上は、かつて自分のせいで幼馴染の女の子(クロネコ)を死なせてしまった記憶に苦しみながら、彼女との約束を守るべくNASAの研究員を志していた。
どこか空虚な日々を送る彼の前に、クロネコそっくりな少女が現れ、奇妙な忠告をするのだが……。

個別の能力を持つ「魔女」が次々に登場しますが、魔女には時間制限のある絶望的な制約が課されていて、通低音のように常にサスペンスを盛り上げてくれます。

このサスペンスは突然訪れる「予知」と容赦ない展開でさらに加速、ラブコメとかギャグとかを挟みつつ10巻まで張りつめ続けます。特に6巻の展開はびっくりしました。後半は一難さってまた一難、ちょっと駆け足になった感があります。全18巻で完結。

試し読み コミックシーモア

うえきの法則(福地翼)

主人公の植木耕助は「ゴミを木に変える」能力を与えられますが、この能力で能力者以外の人を傷つけると、才能(才)がひとつずつ消えてしまう。
しかしそれを気にもかけない彼の「正義」が気に入った神候補の男は、好きな才能をひとつ手に入れることができる「空白の才」をめぐる、他の能力者たちとのバトルゲームに彼を参加させることを決める……というあらすじ。

能力バトルというと大抵名前があがる作品です。神候補が与える能力は全て「AをBに変える」ものですが、途中で追加要素もあります。
能力をうまく応用したり限定条件を逆手にとったりするアイデアは多く、柔軟でオリジナリティが高いです。反面ストーリーに細かいところで不明点が多かったり、キャラクターに全く感情移入できなかったり、ご都合主義な決着をしたりすることも多いです。

「才」を失った植木は以前ほど上手く物事をこなせなくなりますが、その姿を通じて「才能があるかどうかはさほど問題ではない」というメッセージを発信していて、そのへんがグッド。良くも悪くも少年誌、という印象です。

金色のガッシュ!!(雷句誠)

高過ぎるIQを持て余し、他人を見下す中学生・高嶺清麿のもとに現れた、口から雷撃を飛ばす魔物の少年ガッシュ・ベル。いくつかの事件を通して絆を深めたふたりだったが、他の魔物が次々と姿を現し、既に魔物の王を決める争いに巻き込まれていることを知る。デスゲームをファンタジーと融合し、大好評を博した雷句先生の代表作。

LEVEL.1″清麿、正義の味方”(1巻収録)より

王道の能力バトル×バトルロイヤルでありつつ異種族の友情を描くジュブナイルでもあり、変なギャグ、歌と踊りの謎の中毒性も見逃せないセールスポイント。変に先延ばしせず、魅力のあるキャラを退場させる思い切りの良さも好印象。細かいツッコミどころは多いですが、作品全体に大きな一貫性、風格があります。

ひねりの効いたバルゴ×ゾフィス戦と、フォルゴレの過去がビターで印象深いです。最終回も素晴らしく、作品全体をパッケージングして格をひとつ上げるような終わり方でした。
ただ簡単に泣き過ぎ。序盤どうも話に乗れず、昔一回挫折しました。「Vector Ball」がある意味強烈だったので再読。


作品連載後編集者とのゴタゴタが発覚したことでも有名な作品。
「週刊少年サンデー」で2001~2008年連載、全33巻で完結。描き下ろし(ガッシュカフェ)が追加された完全版(全16巻)が出てるので、今から読むならそっちで買うのがおすすめです。
2021年に無料の20周年ブック(電子のみ)刊行、後日談収録。

試し読み BookLive

出会って5秒でバトル(原作:はらわたさいぞう 漫画:みやこかしわ)

現実世界で死亡した人間たちが謎の空間に集められ、そこで個別の能力を与えられてバトルすることになる、というド直球派能力バトル漫画。何がしたいのか明快で良いです。全体的なテイストがH×Hっぽく、ハンター試験やグリードアイランドの展開が好きな人は「あー、これね」となるでしょう。

現状主人公の能力がチートですが、今後どう化けるかは未知数。画力のレベルが非常に高く、表現の難しい能力も見事に漫画化されています。

マンガワンで好評連載中の作品ですが、元々原作があって(出会って5秒でバトル)、それをリメイクしているようです。
というか原作が追いつかれてますので、タイトル全然関係ない展開になってますが、そこから先は新たに書き下ろしてるみたいですね。

サツリクルート(原作:MITA 漫画:吉宗)

就活に失敗すると即座に死ぬ、という奇抜な設定で話題を呼んだ作品。
財閥の御曹司として育てられた主人公は、その瓦解とともに就活生として企業面接に挑むことになる。そんな彼の前に現れた悪魔は彼に「直前の発言をなかったことにできる」能力を与えてくれるのですが、この代償として冒頭のペナルティが課せられることとなり、しかも他にも能力者たちが次々と現れ、互いの命を賭けた就活デスゲームに巻き込まれていくことに――

こちらもマンガワンで読みましたが、コミックスだと前日譚なんかも入ってるようです。ネタマンガかと思いきやしっかりと面白く、なにげに能力の使い方も上手で、「そういう使い方があるか」と感心するようなことを結構毎勝負――というか、面接とか入社試験とかで見せてくれます。

設定は殺伐としていますがあんまり人がゴロゴロ死んだりはしません。むしろなんかほのぼのとしています。これから就活の始まる人、今まさに苦労している人が読むと、ぜんぜん参考になりませんが一服の癒しは得られるかもしれません。全7巻。

アビス(長田龍伯)

主人公は突如見知らぬ建物で目を覚ます。手には謎の機械。
そこには”イートマン(イーター)”と呼ばれる化け物が巣食っており、わかっているのはとにかくそれをなんとかしないといけないということ、そしてここで出会う人間たちは、それぞれ「トリガー」と呼ばれる機械を使うことで、何かひとつ能力を使うことができること――

No.1″イートマン”(1巻収録)より


能力系スプラッタサバイバルとでも言えばいいんでしょうか。表紙が素敵ですが、中身と絵の雰囲気が大分違うので注意。
やや珍しい点としては、それぞれ別の能力を与えられていることに「誰かの思惑」が感じられます。B級ホラー寄りの作風で、エログロ描写が多く、虫も大量に出てきます。

4巻のトラップハウスではチェーンソー持って襲ってくる豚の仮面を被った男とか出てきて、個人的には結構そそるものがありました。仮装して襲ってくる殺人鬼はなぜか男心をくすぐるものなのです。

試し読み マガメガ

無能なナナ(原作:るーすぼーい 漫画:古屋庵)

その孤島にある学校では、約五十年前に襲来した「人類の敵」との闘いに備え、多種多様な能力を持つ子供たちが集められていた。
同級生に小馬鹿にされている「無能」の少年中島ナナオは、転校してきた「心が読める」少女と関わりをもったせいで、学校内の争いに巻き込まれることになる。そこで明かされたナナオの「能力」とは――

どう見ても某ヒーローアカデミアです。本当にありがとうございました……と思ったんですが、全然そんなことはありませんでした。すいません。ポスト能力ものとでも言うべきか、「その手があったか」みたいなことを仕掛けてきます。

最近のガンガン系は攻めてる感じがあっていいですね。ニトロプラス的なラディカルさを感じます。

発症区(いとまん)

どこにでもいる普通のフリーター・安田敦は、高熱で一週間寝込んだあと妙な力に覚醒していた。ものを浮かし、意のままに操る能力で小銭稼ぎをたくらむ彼だったが、能力者を秘匿する集団によって拉致されそうになってしまう。
そこに現れた気色悪い生物を操る美女との出会いをきっかけに、安田は数々の能力者と行動を共にし、あるいは対立することになる――

#01″安田敦と暮井亜紀”(1巻収録)より

出てくる能力といいキャラクターといいダークテイスト。最初は小悪党だった安田がだんだんものを言える根暗に成長? していくのがなんとなく快感でした。

全3巻で打ち切りっぽく完結。さすがに布石全回収とはいかないですが、割ときれいめに片付けて終わります。最後のコマで「何がしたいんだおまえは」とちょっと笑ってしまった。
彼のやや地味な能力が最強の敵への切り札になる展開とかに無理がなく、ストーリーテリング相当上手いと思うんですがほんとなぜ打ち切ったのかと……。

試し読み アフタヌーン公式サイト モアイ

疾刻少女(つくすん)

突然教室に現れた車椅子の少女によって、異能に「感染」してしまった黒星琴美。能力は代償として脳を蝕み、一年程度で体を使い潰してしまう。生き残る方法は、他の感染者の肉体を奪うことのみ……?

第1話”幸先”(1巻収録)より

能力ものサバイバルですが、連続する悪趣味なグロ表現と駆け足の展開のせいでクセの強さがすごい。あと終わり方が説明を放棄していて、それを理由に一回紹介するのやめたんですが、しかし物語終盤で明かされる「ある真相」があまりにも陰惨かつ僕好み。随所に独創的な部分があり、そのとんがった魅力は否定しかねます。




作者はもともと「魔法少女の刑」などで知られるリョナ・ゴア系WEBマンガ家。作風はその頃からある意味安定してるので、そっち見ると大体自分がこの人のマンガに合ってるかどうかは判断できると思います。「月刊ドラゴンエイジ」で2016~2017年連載、全2巻で完結

試し読み 富士見書房公式サイト

超人X(石田スイ)

「東京喰種」作者の新作。背景、効果などすべて一人で描いている(一部例外あり)とのことで作画は少し抑え目、その代わりに「たまたま見付けた効果をうまく使えるシーンを考えた」ような、実験的な効果線などの使い方が目立つ作品です。ネットではかなり賛否両論。

第7話”broiler”(2巻収録)より

2022年頭時点で1~15話(2巻まで相当)が無料公開されているのは編集部もそういう認識なのか、1巻だけだと微妙です。2巻終わりまで読むことで主人公に方向性が見え、サブキャラにも肉付けがされ、もうちょっと先を読んでみたいような……という感じになってきます。
DBとか寄生獣とかのオマージュっぽいシーンがありましたけど、アヅマがいまいち話に絡んでこないのはもしかして亜人オマージュ?(そのうち絡んでくるでしょうけど)


個人的には嫌いじゃないです。また変に壮大な話にならないといいな、と願うばかり。
「となりのヤングジャンプ」で2021年~連載。同名の映画がありますが無関係。

類似作 チェンソーマン(藤本タツキ)、亜人(桜井画門)

試し読み となりのヤングジャンプ

バイオーグ・トリニティ(原作:舞城王太郎 漫画:大暮維人)

穴は身体ではなく、心に開く――クローンのような警官が街を警邏し、巨大で危険な生物が日常に溶け込んだこことは違う世界。榎本芙三歩が好き過ぎて死にそうな主人公・藤井は、ある日自分の手のひらにバイオ・バグと呼ばれる「穴」を発見する。

それは自分の欲しいものを体に取り込める特殊な力、そして複雑怪奇な物語への直通トンネル――圧倒的画力のアクションと「あ、そういう話だったんだ」という驚きで読者を惹きつける、セカイ系異能力高校生バトル漫画。

大暮先生の絵は相変わらず凄まじく、かつ実験的で脳髄に来ます。伏線の回収も上手く、話自体もこの枠組みでそういう発想はなかったなーという感じで好きなんですが、ちょっと理解できない部分も多かったです。
舞城王太郎らしさみたいなのは全開、好きなら買いです。

試し読み BookLive

概念ドロボウ(田中一行)

新人女刑事・有馬ハルがタッグを組むことになったのは、人の「欲」を盗む異能の探偵如月ウロ。次の被害者は「何」を盗まれたのか? 法では裁けない、概念を盗むドロボウたちを追う不気味な捜査劇。

第1幕”タンテイトデカ”(1巻収録)より

不可解な状況に対して人は何を盗まれるとこうなるのかという謎で好奇心をそそり、そして犯人が現れてからは異能バトルじみた展開も楽しめます。


限定された条件の中で、解答に意外性がありつつ、言われてみると納得する答を用意しているのは「エンバンメイズ」同様で素直にすごいです。全3巻で完結。

試し読み モアイ

不死の楽園 -13人の異能-(冬坂あゆる)

感染症により、さまざまな異能を持つ「奇蹟の使徒」を収容するための施設、「パライゾ」。検査で陽性反応が出た神代理久は施設に強制連行され、不可解な現象の起こる施設で新たなる生活を始める、かに見えたが――あらゆる活動を強制的に「禁止」できる主人公が激変する状況に巻き込まれていく、謎成分多めの異能バトル。

第3話”詰み”(1巻収録)より

1巻の表紙で理久が手から何か出してますが、そんなわかりやすい能力ではなく大分トリッキーです。異能の限定条件や弱点を細かく把握していき、それを踏まえて作戦を考えられる徹底したルール策定はかなり好み。異能ものとしてスピーディに理解が進む半面、ガチャガチャした状況の説明はゆっくりめで、「説明すると見せかけてしない」みたいなこともしてきます。


https://twitter.com/f_ayuru4789/status/1122153596563275776?ref_src=twsrc%5Etfw

ルール部分にピンとこないならお薦めしませんが、戦略ものとかデスゲームとか好きな人だと気に入る可能性が高いです。ちょっとグロ要素あり。
2019年~「サイコミ」で連載。

試し読み サイコミ

他にもこんなマンガで能力者たちがドヤ顔をしています

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rokuro

管理人:rokuro 読んだマンガを紹介する人です。基本的にすべての記事が随時更新で、時々内容が追加されます。 あくまで「自分が面白いと思った」マンガを紹介しているので、世評が高い作品でも紹介しないことがよくあります。 連絡先:painted.dog.66★gmail(★を@に変えてご利用ください)