人間やめますか?血を吸って眷族を増やす(増やさない人もいる)おすすめヴァンパイアマンガ

ニンニクマシマシ


いわゆる吸血鬼のみなさんのマンガを紹介するコーナーです。メジャーな割に表記が意外に統一されてない(バンパイアだったりヴァンピールだったり)んですが、一応うちのサイトではヴァンパイアで統一します。ブラム・ストーカーの「ドラキュラ」、レ・ファニュの「カーミラ」の2作が古典とされますが、夢遊病や狂犬病、埋葬後息を吹き返したケースなどから生まれるのか、世界各国で似たような民話があるそうです。
典型的な吸血鬼はニンニクと十字架を嫌い、心臓に杭を打ち込むと死ぬ、銀の銃弾で撃たれても死ぬ、招かれないと人の家に入れない、狼や蝙蝠に変化する、棺桶で眠る、日光を苦手とする(浴びると灰になることもある)、鏡に映らない、夜になると活動し血を吸った人間を眷族にする、眷族は犬歯が発達するといった属性を持ちます。あとは霧に変化するとか、眷族は自分の「親」であるヴァンパイアがどこにいるかを察知できる、怪力、流れる水の上を渡れない(あるいは聖水を苦手とする)、といった設定があることもあります。作品によって採用されてたりされてなかったりで、テーブルでも作ると面白いかもしれません。

近年ではホラー以外でもあらゆる場所に登場するメジャーモンスターとなり、「血を吸う」というグロテスクな設定との折り合いで苦労しているような作品もよく見かけます。例によって色々紹介していけたらなと思います。
ヴァンパイアはゾンビと共通点が多い(というかどっちかよくわからない作品もままある)ので、感染してお友達を増やすような作品はゾンビカテゴリでまとめて紹介しています。

【オススメ】ハピネス(押見修造)

世界は変わる、一日で。ダンプカーの走る車道に飛び出すことで、ナイフを持った男に目をつけられることで、そして鋭い牙を生やした女に血を吸われることで――気弱な少年・岡崎誠は激しい渇きとコントロールできなくなる自我に苦しみ、夜になればゴッホの油彩画のごとくゆらめく夜景の中を飛び跳ねる。大切なものがひとつずつ失われ、もう人の世界に帰れないことを薄々感じ取りながら。

精神を削るような押見諸作品の中、「直接的」暴力表現の多さが目を惹きます。「今回は痛快アクションホラー路線なのか」と思いきやそう甘くはない。押見先生の作品は作画のタッチが豊富ですが、今回は何人かの油彩画家へのオマージュが感じられ、洋風の質感が古典的恐怖譚の雰囲気を作り上げています。

ストーリーは既視感あり。技術的に成熟した職人的な作品とも言えますし、ちょっとマンネリ気味な部分もあります。とはいえ持ち味の尖ってたダークさに、より一層黒さが上塗りされたような鋭さもまた感じます。5巻までで一区切り、そこから新ステージという構成。

試し読み マガポケ

血海のノア(里見有)

鏡張りのレストラン、妙に嗜虐的なマジックショー、血液型の書かれたリストバンド。豪華客船に乗り込んだ乗客のうち勘のいいものは、しだいにこの船旅の異常性に気付き始める。しかしその時にはもう遅い……海上の閉鎖空間を舞台としたスプラッタ・ホラー。

ちょっと「屍鬼」味あり、段々雲行きが怪しくなっていく不気味さは正統派ホラーとしてかなり推せます。僕は読んでて宮沢賢治の某作を連想しました。

一応スプラッタとしたものの、あっさり目の絵柄もあってあんまグロ感ないです。仮にこれを実写化したら僕はたぶん見れないです。

試し読み WEBコミックガンマ

ソフトメタルヴァンパイア(遠藤浩輝)

銀の所有が禁じられ、国民に納血の義務が課せられる世界――16歳になった斎美井香(いつきみいか)は通学中の曲がり角でイケメン転校生とタックル気味に衝突するが、そいつはとんでもない変態で、しかも炭素族を操る不死身の吸血族だった――「吸血族を滅ぼす力」を持つ美井香に執拗する、「人類を滅ぼす力」を持つアラン・スナベの思惑とは? 複雑に陰謀と化学式が主導権を奪い合う、能力系ハイブリッドアクション。


ハードSFとミリタリーとバンパイアと格闘パンチラ女子高生とセカイ系に理系能力バトルまで付けて、豪勢かつ地に足がついていてなんとな~くアングラなマンガ。能力としては火の精とか水の精とかを使役するエレメント系のものに近いですが、彼らが使役するのはファジーで文系な精霊ではなくガチガチの「元素」。能力者同士の相性は元素同士の結合/分離の絶対法則に強く左右されます。

正直なとこ、遠藤先生の(申し訳ないですが)地味目な絵とこのゴージャスな話は微妙にミスマッチな気がします。そこでググッと引き込まれる感じは特にないんですが、その代わり肉弾戦や重火器、SFガジェット(ついでに体育会系下ネタ)との相性はベリーグッドで、訳わかんないギターソロの後ろで正確にリフを繰り返すベーシストのような渋さがあります。

試し読み モアイ

心臓に杭を打ちつけて(大宮嵐)

吸血鬼の名門ドラクル家に生まれながら、(味覚的な意味で)血を苦手とするやナルシストの青年・ブラム。従者ファニュに世話を焼かせながら絶賛ひきこもり中の彼だったが、突然交通事故的に遭遇したパリピJK・杏野れもんに引きずり回され遊びにでかけ、さらに学校にまで通うことになる。そうこうするうちにれもんが実は、彼にとって運命の存在である「聖女」の資格を果たしていることに気付くブラムだったが、こんなんが聖女であることに違和感をぬぐい切れない――

ぜんぜん吸血鬼らしくない吸血鬼とヤバたん女子高性の日常コメディ……と見せかけてのガッツリラブコメという感じで、ギャグありありの日常系でよくある感じかなーと思いきやコロッとストーリーが進展し、気が付くと結構引き込まれている自分に気付きます。

あと吸血鬼が全体的にかわいいというかなんというか、外面はかっこつけてるけど中身が妙にうぶだったりして人間サイドに翻弄され、そのスペックをぜんぜん活かしきれずに正面突撃していく様はまあなんつーか、純愛ものの正統派というかこれほぼ少女マンガですね。イケメンのヘタレが恋に目覚めてしまう姿をお求めの方向け。全3巻で完結。

試し読み S-Manga

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