明日があり過ぎる安心感と救われなさ。おすすめ不死身・不老不死マンガの無限に続く物語

ネバーエンディング・ストーリー

死にたくても死ねない不老不死・不死身マンガカテゴリです。別に不老と不死の両方満たす必要はないんですが、兼ねてる場合が多いですね。基本的には主人公が不死身であることが多いんですけど、「不死を目指す」マンガもあればここに入れるつもりです。バンパイア・ゾンビなどは一応別カテゴリですが、境目が曖昧なのもあります。

【オススメ】3×3EYES(高田裕三)

伝説の妖怪「三只眼吽迦羅」の生き残りであるパイと、彼女により不死者「无」とされた藤井八雲――日本・中国からエジプトやチベットにロンドンから異世界まで飛び回り、神話を組み込んだ壮大な物語へと発展する伝奇系アクションの名作。


八雲は何されても復活するのでたいへん頼りがいがあるのですが、そのせいでしょっちゅう血だるまのベチョベチョのグログロになり、その他ミイラにされたり無酸素状態に放置されたりよく発狂しないなと思うほどエグい目に頻繁に遭うハメになります。でもぜんぜんめげない鉄メンタルがこの人の最大の武器かもしれないですね……。

作中の生命力を消費して獣魔を召喚する「獣魔術」にはそれぞれ中国語で名前がついていて、一般的中二とはまた一味違うゾクゾク感があり男の子におすすめです。

未だに林原めぐみの声を聞くとパイ(このマンガのヒロイン)の声に聞こえるぐらいには親しんだ作品。糸目キャラを漫画界に定着させたマンガでもあります。残念ながら途中から失速し、「ハマってたけど最終回は知らないマンガ」としてよく名前が出る作品でもありますが……。
全40巻で完結、その後も続編として外伝、「幻獣の森の遭難者」、「鬼籍の闇の契約者」が発表されています。

【オススメ】兎が二匹(山うた)

稲葉すず、職業・骨董修復。日課・自殺。御年398歳――「死ねない」体質の女と、毎日彼女を「殺す」役割を負わされた19歳の青年・宇佐見咲朗。強い絆で結ばれたふたりはいかにしてそこへ至ったのか、そしてこの先は――? WEBコミックとして発表された短編から連載化された話題作。

兎が二匹

第1話″兎が二匹”(1巻収録)より

ありそうで少ない「不死の絶望」を描く作品で、第1話から2話に進んだ時にグッと胃の中に鉛を押し込まれたような鈍いショックがありました。そもそも連載用に描かれた作品ではないので1話のすずの行動に違和感があったんですが、読み進めるうちにそれを解消し、彼女の抱える深い孤独と自殺願望の理由に読者を共感させる手管が見事。


そして迎えるラストシーンは、ハッピーエンドととるべきかどうか……。
1話/2話以降の構成はインタビュー読む限りウキウキしながら考えていらしたそうで、そういう趣味性お持ちの方ですと今後の作品も期待大です。「このマンガがすごい! 2017」オトコ編9位、全2巻で完結

【オススメ】ミル(手原和憲)

飼い猫のミルが、唐突に東京で一人暮らしをする大学生・副島アキのところにやってきた。ただし見た目はどう見ても女子高生、というのも彼女は実は化け猫で、実年齢は86歳らしい――猫で女子高生でおばあちゃんという不思議な存在・ミルとの楽しくてやがて寂しい奇妙な同棲生活、そして数多く登場する猫たちとたわむれる大学生活を描いた、手原和憲のデビュー作。

この作品に限った話ではなく、手原先生は基本「自分が体験したこと」「自分がよく知っているもの」「興味があるもの」について熱弁することで面白さを獲得するタイプの作家で、このマンガではとにかく猫の柔らかさ、生態をしっかりと観察しています。
元が読み切り作品ですが、連載を重ねることにより年をとらない(不死ではない)化け猫と人間の生活は段々と不自然なものとなり、ふたりはやがて訪れるであろう別れをどのように受け入れるのか……というのが作品のメインテーマとなっていきます。

基本描写はコミカルで、それとの対比もあって重くも軽くもなり過ぎず、1~6巻(完結)まで安定して面白い。こういうちょっと一般的でない価値観を描くような作品は難しいですがラストまできれいにまとめ、不思議な読みごたえを残します。
割とミルがやきもち妬きで、しょっちゅうふてくされた猫の描写があるのも良かったです。ふてくされた猫はぼた餅みたいでかわいい。

試し読み ソク読み

アンデッドアンラック(戸塚慶文)

触れた相手に死をもたらす「不運」の持ち主出雲風子は誰とも触れ合えない人生に絶望し、死を選ぼうとしていたところで謎のマッチョ男・アンディと出会う。電車に轢かれても首を切り落とされてもすぐ再生する「不死」のアンディは、風子ならば自分の長すぎる人生に終止符を打ってくれると期待し、免疫のない彼女に執拗な濃厚接触を試みる。
世界に否定される「否定者」の能力の謎と、トリッキーなバトルを描くブラック異能バトル。

アンデッドアンラック

No.001″不死と不運”(1巻収録)より

設定が少年誌らしからぬネガティブさで結構好き。演出も空中に罅が入ったり水で階段ができたり、能力もの特有のケレン味がしっかりあります。フランケンシュタインとロロノア・ゾロの中間みたいな主人公も珍しいタイプのデザインだし、キャラの掛け合いも楽しい。能力の詳細に対する推理要素もあって、この手のマンガのおいしいところが抑えられてる印象です。その上で否定者の持つドラマ性もしっかり展開。

llowfullscreen>

なお不死者ものではあるあるですが、主人公が隙あらば局部を露出してきます(PV参照)。そこを前面に出してくる不死者ものは初めて見ました(ダブルミーニング)。
DBだと衝撃波を喰らってもズボンだけは残り、「地球より硬いパンツ」とか揶揄されてましたが本作ではズボンは無事でも局部だけは解放。謎のこだわりを感じさせます。
「週刊少年ジャンプ」で2020年~連載。

類似作 概念ドロボウ(田中一行)、不死の楽園 -13人の異能-(冬坂あゆる)

試し読み 少年ジャンプ+

不死の猟犬(八十八良)

人が死ぬと健康体として復活する世界――人は風邪を引けば自殺薬を飲み、身体が動かなくなれば頭を撃ち抜いて日常生活を営んでいる。しかし許されざる存在、「ベクター」と呼ばれる人種を「愛する」と、「RDS」と呼ばれる感染症によりその復活機能が失われ、永遠の眠りにつくことになる。
ベクターに大切な人を奪われた警察官・剣崎真一が対ベクター特別班班長として復讐を誓う一方、彼の宿敵「逃がし屋」風鈴は剣崎を始末するために一般人を装って接近し、RDSに感染させるために彼をデートに誘うことに――

何かのシナリオスクールで「現実と少し違う世界を考える」というのがあるそうですが、なかなかこういうのは出てこないだろうというオリジナリティのある設定です。
なぜ風鈴は逃がし屋としての活動時セーラー服なのか? この現象はなんなのか? いくつかの謎の解答は6巻で明かされ、そのへんからグッと面白くなってきます。

アクションシーンは見開きをふんだんに使った派手なもので、可能なら紙媒体か大画面推奨。映像化すると映える作品だと思います。

類似作 亜人(桜井画門)

試し読み eBookJapan

亜人(桜井画門)

「不死者」として人ではないとされる亜人。囚われれば表向きは保護されるが、その実人体実験のモルモットとなる。交通事故から自分が亜人であることを知らされた永井圭は友人を頼り山中へ逃れるが、同じ亜人の佐藤と遭遇したことをきっかけに、血みどろの抗争に自ら足を踏み入れていく。

亜人

File:02″1日目、深夜の事象について”(1巻収録)より

厳密には亜人は不死ではなく、寿命はあるようです。死なないこと以外にも「IBM」と呼ばれる人型の幽霊を生み出す能力がありますが、スタンド戦ではなく亜人本人も戦闘に加わるミリタリーもののような戦闘が売り。ひとり対数十人の白兵戦やゲリラ戦、「侵入できない」場所へ侵入する亜人の特性を利用した鮮烈なトリックは迫力満点で、人気が出るのも納得のいく作品です。


反面主人公のキャラブレがかなり大きく、その他も感情移入できないキャラクターが多いです(特に田中)。バトルものとしては高評価ですが、ストーリーは添え物ぐらいの感じ。会話もたとえ話ばっかりしててクセっぽい。
1巻のみ原作者として三浦追儺のクレジットあり。「good!アフタヌーン」で2012~2021年連載、全17巻で完結

類似作 不死の猟犬(八十八良)

試し読み モアイ

【オススメ】不滅のあなたへ(大今良時)

その球体は、周囲の状況と刺激から学習し、新しい形を獲得しながら旅を続ける。形態模写の条件は、オリジナルが死んでいること――長い時間をさ迷い、出会う人々や獣たちのドラマを経て、フシという名前を得た不滅の物体は何を目指し、どこへ辿り着くのか?

不死ものらしく話のスケールも時間経過は大きめ、大今先生のエグい部分が効いた大河ダークファンタジーです。

ちょっとスロースターター気味で、4巻ぐらいまで読むと話の輪郭がハッキリしてすごく面白くなってきます。7~9巻あたりでハマった感覚がありました。

試し読み マガメガ公式サイト

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする