舟は編み物
なにげにカッコいい仕事として若者の憧れを集めつつ、その激務ぶりでも知られる出版業界の仕事系マンガです。とりあえず編集者メインですが校閲とか雑誌記者とか印刷とかもあれば放り込んでいこうかなと。
クセのある人物が多く登場し、骨太な人間ドラマが描かれることが多い他、未曽有の出版不況ということもあってか、出版業界そのものに疑義を入れるような内省的な内容も多いです。業界を志す方にも参考になる作品が多いと思います。
重版出来!(松田奈緒子)
オリンピックを目指しつつも怪我のために夢を挫折せざるを得なかった新入社員・黒沢心が、週刊漫画誌「バイブス」の編集者として人生の再スタートを切り、漫画家や営業、校閲、印刷といった様々な人々と出会い、多くのトラブルを持ち前の体力で突破する――という具合の編集群像劇。ポップでキュートな表紙から想像もつかない編集もの屈指の名作で、マンガ編集の難しいところ、でも面白いところをうまーく切り取り夢中にさせます。
うぇーい!ネームでけたー。そして恒例の「もうすぐ新刊出るよ!記念前集の発売記念ペーパーを見てくれ!」でございます。お時間ある時にでもどぞー。最新刊『重版出来!11』5/11頃発売⭐️よろしくお願い致します! pic.twitter.com/dgljZW2Ec4
— 松田奈緒子 12集 発売中! (@mazdanaoko) 2018年4月29日
キュートなのはいいんですが、率直に言って表紙で損してる作品だと思います。エッセイマンガか何かだと思ってました。
作中作として思わぬ大物が作画してたりするのでお見落としなく。
編集王(土田世紀)
明日のジョーに憧れてプロボクサーとなった桃井環八。網膜剥離により引退した彼は編集者青梅広道に誘われ、漫画雑誌「週刊ヤングシャウト」へアルバイト入社することになる。
しかしそこで出会うのはまともに仕事をしない大御所作家や、作家の生き血を啜る編集者たち――持ち前の反骨精神と熱血ぶりで次々とトラブルを巻き起こすカンパチと、それぞれの漫画への思いを抱えた人々の激突が織りなすマンガ編集ドラマ。
取り扱われる題材はデータ・アンケート至上主義、同人誌や有害コミック、書店委託に再販制度等の出版業界の慣例。編集者としてカンパチは「嫌々描きたくもないマンガを描かされる新人」「天才だが時間にルーズな漫画家」それに上でも書いた「仕事をしない大御所」などと絡むわけですが、各エピソードの熱量がとても高く、引き手を切らない面白さ。毎回心を抉られるので、次に進むのにちょっと躊躇したりもしますが。
働きマン(安野モヨコ)
松方弘子、28歳、独身。週刊『JIDAI』編集部勤務、夢は30歳までに編集長になること。美人でおしゃれもバッチリだけど、最近彼氏とはギクシャク気味。
本気になると男スイッチが入る彼女を中心に、さまざまな「働きマン」たちの生き様を描く作品。アニメ化・ドラマ化されるなどヒットした作品ですが、現在休載中。既刊4巻。
作中で採用されている、キャラクターがインタビューに答える形式で心情を語る手法は一瞬流行った気がしますが、この作品では「誰がインタビューしてるのか」さえ謎です。しかしそれで成立しているので、うまいというかいい加減というか。
仕事相手が常に上機嫌とは限らない、みたいな話が妙に印象に残っています。
マンガに、編集って必要ですか?(青木U平)
「ぶっちゃけ、編集っていらなくないスか?」――中堅漫画家の佐木小次郎(45)は、新しく自分についた新人編集者、坂本涼(24)の終わりない雑談にいささかうんざりしていた。この出版不況、まともなヒット作もない今、一刻の時間も惜しいというのに。しかし、取引先に大きな時間を「投資」して分かり合おうとしてくれること、それは責められることなのか……さまざまなキャラクターの間で繰り広げられる、漫画家と編集者のありかたについてのいくつかの「会話」をおさめた作品。
青木先生の他の作品に比べると落ち着いた作品。1巻の終わりで急展開しますがまだ続くようです(作者twitter調べ)。
試し読み くらげバンチ
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