忠義と現実、怒りと打算、日本への思惑が交差する幕末・維新・新撰組オススメマンガ

おもしろきこともなき世をおもしろく

江戸時代が260年程続き、太平の世にすっかり慣れ切った日本に嘉永6年(1853年)、ペリー率いるアメリカの黒船が江戸湾内海に来航しました。目的は開国・自由貿易。
普通に領土侵犯ですが止める術はなく、欧米諸国との間に大きく軍事力・国力差があることは歴然としており、まず蒸気船からして初見。さらにインド、清国の前例もあり、ひとつ間違えば(あるいは間違えなくても)植民地化される可能性が非常に高い――というのが、基本的な幕末の時代背景。
いつまでも江戸近海に居座る、傍若無人な外国人を排斥すべきか? あるいは開国して、海外の技術を取り込んでいくべきか? といった各人の思想により派閥が生まれ、巨大な内乱に拡大していくダイナミズム、そして歴史に名を残す偉人・怪人たちのキャラクターの個性と生き様、華やかでやがて悲惨な戦争と非常に人気の高い題材です。当然のことながらマンガも多く、埋もれないためには残された資料をもとにしたアレンジのセンスも問われます。

人斬り龍馬(石川雅之)

以上に厳しい隊規により、士道に背く隊員を次々に切腹に追いやる新撰組――対外的にはそうしておかなくてはいけない。次々と犠牲者を出す闇討ちに頭を悩ませる局長・近藤勇だったが、ついに犯人の手掛かりを見付ける。下手人の名は才谷梅太郎、またの名を坂本龍馬――(”人斬り龍馬”)

人斬り龍馬

「二本松少年隊」第二話”大壇口の二勇士”より

「もやしもん」作者の初期歴史短・中編集で、表題作は土方も沖田も名前が出てこない珍しい新撰組もの、他に「二本松少年隊」「とどかぬ刃」「神の棲む山」を収録。特に二本松少年隊は敵味方ともに破滅と敗北の美学に満ち溢れ、なんともやるせない読後感を残す佳編。
wiki見ると60年代ぐらいに二本松少年隊はずいぶん人気あったようで、おじいちゃんとかにオススメすると喜ばれるかもしれません。

石川先生お得意のギャグはほぼなく、ハードボイルドな時代劇がお好きならおすすめ。
初出は竜馬、二本松が2004年、「とどかぬ刃」は2005年に「コミック乱」掲載とのこと。「神の棲む山」は2003年モーニング掲載(1999年のちばてつや賞準入選)。全1巻で完結旧版のギチギチした表紙絵好きなんですが、Kindleないので新装版のリンク貼っときます。

類似作 カタリベ(石川雅之)

試し読み BOOK☆WALKER

【オススメ】アサギロ 〜浅葱狼〜(ヒラマツ・ミノル)

時は黒船来航前夜の幕末、天然理心流を学ぶ惣次郎は既にその天才を見せつつも、十二歳の少年に過ぎなかった。しかしやがて時代は変わる――急務三策により京の治安警護にあたることになった仲間たちは、次第に新撰組という殺戮組織の幹部へと姿を変えていく。沖田総司を主人公とした新撰組顛末記。

アサギロ

第95話”浪士組最強の男”(15巻収録)より

純朴で傲慢、ちょっと意地悪で三枚目な総司のキャラクターが新鮮。ゴジラみたいな局長始め他のキャラクターもそれぞれに存在感があり、ちょいちょい史実と異なる脚色入れつつ各キャラの掘り下げもあり、これぞ時代劇という重厚な読み応え。

展開はゆっくり目というか、試衛館での話がかなり長いです。話が新撰組っぽくなってくるのに10巻近くかかり、芹沢鴨ともじっくり付き合うことになります。
「ゲッサン」で2009年~連載。

類似作 レッド(山本直樹)

試し読み サンデーうぇぶり

幕末紅蓮隊(本宮ひろ志)

世は幕末。京では新選組が闊歩し、時代の傑物たちが日本の未来を案じた時代にも、時代の流れと無関係に争い合う人々がいた。ふいに世間に放り出され、腕ひとつ口八丁で多くの無法者を虜にした無頼漢、安馬の十蔵の立志伝を通じて語る、侠客から見た幕末維新劇。

概ね本宮節というか夢の世界というか、「大したことやってないけどみんな褒めてくれてモテる」展開でアーハン? という感じ。途中から十蔵がひねくれてきてからは引き込まれ、幕末の偉人の描写もなんか他の人とズレてて楽しまされました。6話のツイストは謎。

そういえば清水の次郎長と新選組が両方出てくるマンガって他に見たことない気がします。というか清水の次郎長自体がほとんどもう見ないですが、ご存じない方は広沢虎造の浪曲なんかもおすすめです。昭和初期~中期を代表するエンタメ作品のひとつで、絶品です。
全4巻、最終巻に政治ドラマ「悪党」を収録。

試し読み S-MANGA

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