漫画界のキング・オブ・スポーツ。どうあがいても熱くなる名作揃いのおすすめ野球マンガ

まぶしくて目が痛いほどの青空


さすがに多いな、ということでスポーツカテゴリから独立の野球マンガセレクションです。マンガ業界の初期から登場し、数多くの人気作を排出して常時いくつかの人気連載が存在するマンガ界のドル箱的ジャンルで、「ザ・王道」的な熱血スポ根を読みたければ避けて通れません(そういう作品だけでもないですが)。
練習方法やマインドセット、ルールなんかも時代とともに移り変わってきたものの、白球に青春を捧げる若者たちの闘いは今も昔も変わらずに読むものの心を熱くさせてくれます。めちゃめちゃ面白い作品が多いのと同時に巻数がやたら多い作品も多いので、なかなか追加できないのは難点ですが……。

【オススメ】タッチ(あだち充)

うぇぶりのアプリで無料公開中ということで久々に読みましたがやっぱめちゃくちゃ面白いです。大御所あだち充の代表作。

あらすじとしては、ちゃらんぽらんな兄・達也と出木杉くんな弟・和也、それに幼馴染の南ちゃんがメインキャラクター。和也はエース投手として甲子園出場をかなえてくれそうなのに、南の心は達也のほうを向いていて――? というような具合、しかし途中例のシーンを経てこの関係性は変化を余儀なくされます。何も知らずに読みたかった。

あだち作品の大きな特徴として主人公がみんな同じ顔であること以外に言えるのは、極力台詞を使わずにキャラの心情や状況を説明することだと思います。安易なモノローグに頼らないことが映像的な効果を作品に与え、リーダビリティと品格を備えさせているように感じます。

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【オススメ】ダイヤのA(寺嶋裕二)

打てば空振り守ればバンザイ、投げてみせれば大暴投――廃校間近の赤城中学校最後の公式試合を終えた熱血ピッチャー沢村栄純は、しかし独特のフォームと逆境に負けない強靭なメンタル、そして彼自身にも予想のつかない軌道を描く投球というユニークな武器があった。

ラブコメではサンデー、SFとファンタジーでは集英社、そしてリアル目スポーツ漫画では講談社が強い印象がありますがその傾向を代表する作品。とにかく地道な努力を積み重ねてやがて「ダイヤの原石」としての頭角を現し始めるんですけど、ほんと長期連載でしか成立しないことをしている幸福な作品だなと思います。

バッターボックスの打者が吹奏楽部の演奏に合わせて試合中にちょっと歌ってるシーンとか好きですね。こういうささやかなリアリティは経験者じゃないと出せない味だと思います。無印では47巻かけて一年間を描き、actⅡで二年生に進級。

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おおきく振りかぶって(ひぐちアサ)

主人公は非常に自信がない、しかし抜群に正確なコントロールと「癖球」を武器とするピッチャー三橋廉。彼と若干正確がブラックな垂れ目キャッチャー阿部隆也、女性コーチの百枝まりあを中心に、高校野球の世界を独特の感性で描く人気作。

高校野球漫画としては異色作と言えますが、そこが高く評価された作品でもありますスポ根要素は薄めで、メンタル・トレーニングとか出てきます。

野球心理の描写が優れていますし、ホモ友情ものとしても魅力的です。阿部が三橋の境遇を知り、彼を認めるシーンがあるんですが、不覚にもちょっとぐっときました。

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群青にサイレン(桃栗みかん)

過去のトラウマから野球を放棄した吉沢修二は、高校で彼のポジションを奪った「あいつ」――イトコの吉沢空と再開する。しかし月日はふたりの間に体格差というハンデを作り、「今ならこいつに勝てる」と判断した修二は、再び野球部へ入部することを決意する。

「いちご100%」等の作品で知られる河下水希先生の別名義作品です。屈折した心理描写と、少女マンガらしからぬガチの野球描写でグイグイ引き込まれました。スポーツ漫画らしからぬドロドロぶり。

女性キャラはほとんど登場せず、どうやら過去作とは一線を画した路線のようです(読んでないけど)。ちょっとおお振りと似てるな、と思ったのでこの位置に配置しています。

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ちょっとまて野球部! ‐県立神弦高校野球部の日常‐(ゆくえ高那)

三年生が卒業し、新体制となった県立神弦高校野球部。センスとコミュ力は高いが学力は壊滅的な大堀、ホームランヒッターだが細かいことが気になり過ぎる秋本、マイペースで何考えてるのかよくわからん宮田の3バカを中心に、それほど強いわけでもなく、といって練習がヌルいわけでもない高校球児の日常を描く野球部コメディ。

レビューで保護者的な気持ちになるというのがあり「それな」と思いました。序盤からすれば意外とちゃんと野球漫画っぽくなっていくんですが、基本は食欲お化けで野球大好きな少年たちの和気あいあいとした絡みを楽しむ感じのマンガです。

2巻時点で早くも映像化されました。全4巻で完結。

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【オススメ】バトルスタディーズ(なきぼくろ)

野球強豪だが上下関係に厳しい「DL学園」に入学した一年生。それぞれ中学ではスター選手だった彼らは、練習はもとより炊事、洗濯、雑用に追われ、碌に睡眠時間もとれない寮生活の中で、少しずつ変化と成長を遂げていく。

切れ目なく面白いです。PL学園がモデルで、作者も同校出身とのこと。閉鎖環境でシゴき倒される学校生活とはどういうものなのか、実際の雰囲気が非常にリアルに伝わってきます。観察から生み出された膨大なディティールが作る空気感の魅力。

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BUNGO -ブンゴ-(二宮裕次)

やや偏執狂的な性格を持ち、相手もいないのに壁当てを三年間続けた結果、素人なのにかなりの速球を身に着けた少年・石浜文吾。
守備も打撃もからきし、センスに欠けるが同じことの繰り返しに強い文吾の投球は、やがて実戦の中で爆発的な進化を遂げていく。


中学生が主人公の野球もの。高校野球と比べて「一年と三年のフィジカルが全然違う」「選手が恐ろしい勢いで成長する」といった特徴が強調されています。最初から県内トップレベルの選手が登場し、かなり早い段階でクライマックスレベルの熱い勝負が繰り広げられる展開で一気に人気作へと躍り出たなかなかにパワフルな作品です。

率直に言ってストーリーに粗は目立ちます。しかし細かいことはいいんだよとばかりに試合の面白さという一点尖った武器で読者を惹きつけ先を読ませる剛腕は文吾の投球スタイルそのもの。

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グラゼニ(原作:森高夕次 漫画:アダチケイジ)

プロ野球の世界を舞台にカネの話をするという、斬新なコンセプトの作品。主人公の凡田夏之介は中継ぎ投手として年棒1800万円を稼いでいるが、「これでは全然駄目なんです」とのたまう。それはなぜなのか?

金、引退後の進路、結婚、好不調の波、移籍。ビジネスマンとしての野球選手たちは何を考え、いかにして日々を過ごしているのか。

野球界の日常を描く淡々とした前半から、後半は恋愛だの進路だの色々盛り上がってきます。気付くとハマっているスルメのような作品です。

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ONE OUTS(甲斐谷忍)

野球でカネというとこの作品も忘れてはいけません。
主人公の渡久地東亜は投手として球威こそ平凡、変化球も持たないものの、天才的な勝負師としての勘と思想、そして怜悧な頭脳を持っていた。彼はプロ野球チーム「埼京彩珠リカオンズ」に入団することになるが、その際交わされた契約は非常に奇妙なものだった。

「野球版カイジ」として企画が提出されたという本作は野球漫画として異様の一言で、読者の興味はチーム対チームではなく、むしろ東亜対オーナーという構図に誘導されます。

なぜそうなるのか、それが「契約」のなせるワザなのですが……。
「ライアーゲーム」も面白いんですが、こっちのほうが完成度が高い気がします。

試し読み コミックシーモア

WILD PITCH!!!(中原裕)

夏の高校野球、あと一勝すれば甲子園というひとつの天王山で、プロ注目の強打者・猪俣力と対峙した左腕ピッチャー・城戸拓馬。そこで結果を出した彼はスカウトをアテにしてプロ志望届を出すが、調子に乗った鼻っ柱は思い切りヘシ折られ、漠然としていた野球に対する姿勢への問いを突き付けられることになる。

試合の尺はさほど長く取らず、一社会人、一個人である城戸のいざこざや恋愛模様や成長を描き、スポ根的でありつつ人情マンガのような風情もあります。

主人公は微妙にモテたりで常に「ちょっと幸せ」な状態にあり、それを振り捨てて次のステージへ進めるのか? という果断さを問われることになります。よくある「不器用でまっすぐ」とかではない、野球マンガではちょっと珍しいタイプの主人公です。

試し読み 小学館eコミックストア

野球部に花束を(クロマツテツロウ)

かつて中学生活を野球に捧げた黒田鉄平は、既に野球熱が冷めていた。高校ではモテたいと髪を染めて登校するが、周りの席の人間がなぜか野球部ばかり――。ここから紆余曲折を経て彼は野球部に入部するのですが、その過程がいい感じにリアルです。

日常系野球部理不尽物語とでもいうんでしょうか。ちょっと引いた目線から「野球部あるある」を弄り回す隠れた名作です。

具体的に言うと「バトルスタディーズ」の陰あたりに隠れてます。野球部出身の方だと特に楽しめる作品だと思います。

僕はまだ野球を知らない(西餅)

野球が大好きだがとにかく運動神経がなく、有り余る情熱を野球の「分析」に向けた物理教師・宇佐智巳。ひょんなことから浅草橋工業高校野球部の監督をすることになった彼は、ここぞとばかりに最先端技術と統計学をグラウンドに持ち込み、弱小野球部を甲子園へと導く革命児となる――のか?

前作(「ハルロック」)で見せた電子工学知識とゆるいノリは健在、これとPDCAを回すスポ根部活ものが共存するミスマッチが段々馴染んでいくのが心地いい作品です。他の野球ものではまず見られないガジェットがうじゃうじゃ出てきて生徒たちを改造していく過程が楽しい。

部内でも色々あったり試合でも戦略があったり、意外と(?)野球マンガとしても正統派。

試し読み モアイ

大正野球娘。(原作:神楽坂淳 漫画:伊藤伸平)

男もすなるという謎のスポーツ、「野球」を練習することになった9人の乙女たち。世は大正時代、女子がスポーツをする風潮も必然性も大会もない状況、まずは勝負相手を調達しないといけないが――小説原作をギャグテイストにした変調コミカライズ。全5巻で完結(原作は4巻で中断、未完)。

原作、アニメ版とはほぼ別物。まともな野球は小説とアニメにおまかせ! とばかりに野球1割恋愛2割、漫才7割ぐらいの調子で進展するので原作未読でも全く問題なく、むしろ知ってると違和感アリアリです。本作の最大の売りはテンポのいい漫才的会話劇と、それにより立つ生き生きしたキャラクターです。

有名どころだと「究極超人あ~る」とかのノリに近い(トサカ先輩みたいなのもいる)。スジは原作準拠らしいですが、だいぶ自由です。
ただまあ、3巻あたりから野球比率増えてきますんで、普通に野球もの読みたくて買った人も満足できる作品にはなってます。

試し読み pixiv(設定集)

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