この中に廃課金、ミリオタ、腐女子、悪魔崇拝者がいたら、私のところに来なさい。
面白かった文化部系マンガを集めました。別に舞台は中学でも高校でも大学でも、なんなら社会人サークルでもいいんですが、やはり高校が多い印象ですね。
正統派の熱血ものから、ただひたすらにゆるい世界まで懐が広いカテゴリです。別にどれが正解ということもなく、それぞれ楽しそうにやっているので、「自分はどうなりたいのだろう?」と己を見つめ直すきっかけにもなったりならなかったり。
別にマンガに役に立つことを求めてはいませんが、様々な世界を紹介してくれるこういうのを読むと、実際勉強になるなと思ったりすることはあります。
面白いかどうかが一番重要ですけどね!
・ちはやふる(末次由紀)
・ナナマルサンバツ(杉基イクラ)
・シノハユ(原作:小林立 漫画:五十嵐あぐり)
文化・音楽系
・この音とまれ!(アミュー)
・青空エール(河原和音)
・とめはねっ! 鈴里高校書道部(河合克敏)
・お茶にごす。(西森博之)
・少年ノート(鎌谷悠希)
・コミカル!(下村トモヒロ)
・映像研には手を出すな!(大童澄瞳)
文芸・報道系
・じけんじゃけん!(安田剛助)
・セキホクジャーナル(小坂理絵)
その他
・サイコろまんちか(小出もと貴)
・あつまれ! ふしぎ研究部(安部真弘)
・手品先輩(アズ)
・マヤさんはうらめしい(土田ヒノギ)
・スクール×ツクール(原作:田岡りき 漫画:wogura)
・SKET DANCE(篠原健太)
ゲーム・競技系
ちはやふる(末次由紀)
題材は競技かるた。「これスポーツじゃん」と作中人物が思い、wikipediaにもスポーツ漫画と評されるとか書いてあるのでそっちに置くべきなのかとも思いましたが、今後穏やかなかるたマンガが登場しないとも限らず、線引きで余計な懊悩をしたくないので、ここは文化部という扱いにさせて頂いております。
一応少女漫画らしく恋愛要素もあるんですが、概ね登場人物は全員かるた狂いであり、そうでなかった人物も洗脳されてかるた狂いにされていく魔の循環が見られます。
登場人物もそれぞれキャラが立っていて、しばらく空けてから読んでも「こいつ誰だっけ」となることがあまりないというのが凄い。
ナナマルサンバツ(杉基イクラ)
題材はクイズ研究会。高校に入学した文学マニアの越山識が、部活紹介で壇上に上げられてクイズ戦に参加したことをきっかけに、奥深い競技クイズの面白さにハマっていく……というあらすじ。
競技クイズには答を確定できるポイントがあり、問題の読み方にもヒントがあったり、押し方にもコツがあったりと、潰しのきかないテクニックを磨き上げていくあたり「ちはやふる」に近い部分があります(とか思ってたら途中、かるたやるシーンがあったりする)。
というようにガチの勝負前提のクイズで、合宿したりもするんですが「目的地はおまけみたいなものだ!」とか言いつつ新幹線でクイズ始めたりするのはニヤリとさせられました。
ナナマル サンバツ (1) (角川コミックス・エース 245-4)
シノハユ(原作:小林立 漫画:五十嵐あぐり)
蒸発した母に自分を見付けてもらうために、大好きな麻雀の公式戦で勝ち続けることを目標とする白築慕。そしてライバルとして登場するのは、少女時代の「咲-saki-」シリーズプロ雀士たち――欲と金がうずまく麻雀をスポ根文化部ものへ変貌させた、大人気シリーズスピンオフ。
話作ってるのは同じ小林先生のはずなんですが、あぐり先生フィルターを通してほぼ別モノに仕上がってます。あとヒロイン慕ちゃんのかわいさが異常。
試し読みページで第0話(単行本未収録)公開中。
試し読み 月刊ビッグガンガン公式サイト
文化・音楽系
この音とまれ!(アミュー)
こちらもスポ根系文化部で、題材は箏曲部。つまりおことです。
物凄くスタンダードな王道という感じで、どっかで見たような展開も散見されるんですが、しかしこれも面白い。目を離せなくなります。
作者が相当がっつり箏曲をやってらしたようで、内容は本格的。
オリジナル作中曲は実際に作曲されて、動画として公開されています(動画内でネタバレあるので注意。ジャンプ公式サイト)。
青空エール(河原和音)
題材は吹奏楽部。おそらくスポ根系文化部マンガの究極系がこれです。スポーツ漫画全般と比較しても、これほど体育会系メンタリティに満ち溢れた作品は類を見ません。
子供の頃に見た甲子園での応援に憧れて、吹奏楽の名門白翔高校へ入学した小野つばさ。トランペットを希望する彼女だったが、当然周りは経験者ばかり、練習は全国を目指すレベル。
すぐにくじけそうになる彼女だったが、甲子園を目指す野球部の山田大介に何度も励まされながら、少しずつ成長していく――
ハードで理不尽な部内の人間関係はかなりリアルです。作者の方もきつい部活にいたんじゃないかと思います。実は小野には隠された才能があって、いきなり物凄く上手くなったりもしません。
ついでに、取捨選択が上手い印象があります。これだけの長期連載で余計なことをほとんど描いてないのは凄い。
とめはねっ! 鈴里高校書道部(河合克敏)
題材は書道部。一時期流行ったひらがな四文字タイトルの懐かしい、書道マンガの名作です。
河合先生はやっぱり非常に上手くて、ストーリーテリングの引き出しが多い。軽い掛け合いを織り交ぜつつ、書道の奥深い魅力に触れることができます。
主人公はガチャピンみたいな顔をしたまじめな高校生で、河合先生のマンガとしては割と新鮮なタイプです。
ヒロインは柔道の達人にして書道の初心者で、彼女のご縁で「帯をギュッとね!」のキャラもゲスト出演したりします。書道の基本解説書としても秀逸。
お茶にごす。(西森博之)
題材は茶道部。「悪魔(デビル)まークン」の異名を持つチンピラ・船橋雅矢は、喧嘩に明け暮れた生活から抜け出し、平和な暮らしへ移りたいと考えていた。高校の新入生部活勧誘で「部長」の心の広さに感じ入った主人公は、茶道を通じて人間らしい心の獲得を目指すことに決めたのだが……。
なにしろ西森先生なので茶道の神髄を掴むべく血道をあげたりはしないですが、ある程度ツボは抑えてあります。
あれこれ悩みながら少しずつ変化していく主人公、周囲との関係、あと部長への恋心など青春要素は詰まっていて、コメディとしても良質。
主人公の心情はもしかすると、従来の路線から抜け出そうとする作者の心境を反映しているのかもしれません。
少年ノート(鎌谷悠希)
題材は合唱部。音に対して繊細な感覚を持ち、人並外れた表現力を持つ少年、蒼井由多香。歌うことが好きな彼は、中学校の合唱部に入学することになった。
しかし「天使の歌声」と呼ばれるボーイ・ソプラノは、いずれ声変わりとともに失われる宿命を持っている――二度と戻ることのない時間の中で、歌に魅せられた人々の織りなす群像ドラマ。
2巻ぐらいまでは、あんま面白くないです。展開はご都合主義的で強引、主人公も人形みたいで全然魅力を感じなかったんですが、ある人物の登場から少しずつ彼の内面が変化し始めると、徐々に引き込まれていきました。
あと地味に各話合間のカットが面白い。
コミカル!(下村トモヒロ)
題材はマンガ部。たとえば二人が別々の単語を描き、それを組み合わせてひとつの話を作る……よくあるエピソード作りの方法を、キャラ立ちしまくった漫画女子たちがやるとどうなるか? 笑いと毒とパロディのガールズ・ショートコメディ。
ジャンプSQ19で連載してた「コミカル!」です。
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— 下村トモヒロ@チルピル1巻発売中 (@Tomo_shimomu) September 21, 2018
最終回は結構衝撃的でした。いや……まさかな……? と思いつつ、ページをめくるのが怖かったです。
あんまりマンガ部関係ない話もちらほらありますが、一応どこかで必然性つけてくるあたりが律儀。全2巻で完結。
試し読み S-MANGA
映像研には手を出すな!(大童澄瞳)
題材は映像研究会(実質アニ研)。水の上で増改築を繰り返した九龍城みたいな高校で、設定厨・読モ・金の亡者の三人が出会い、ガレージみたいな部室であれやこれやしながら宮崎駿チックなアニメを作っていく……という話。
「一秒8枚として、80枚描けば10秒動かせる」とか、当たり前のこと言ってるんですけどはっとさせられます。
— 大童 澄瞳 Sumito oowara (@dennou319) 2019年5月8日
試し読み ビッグコミックBROS.
文芸・報道系
じけんじゃけん!(安田剛助)
題材はミステリ研究同好会。一見大人っぽく才色兼備、しかしミステリ絡みになるとすぐいじけたりテンションが上がったり情緒不安定になったりする白銀先輩が立ち上げたミス研で、後輩の戸入君が彼女の用意した密室トリックに挑んだり、謎のミステリ講義を聞かされたりする話。
小ネタも面白く割と好きな作品なんですけど、白銀先輩が用意するトリックはどっかで見たようなものばかりでミステリマニアとして気概がねぇな……とか思ったりもします。それは求めすぎだろう、とは自分でも思うんですけど。
また1巻の重版が決まったみたいです!( ´▽`)ヤッター!! 5刷目だそうです。これも応援してくださった皆さまのおかげです(>_<) 2巻も好調だそうですので、引き続き百合子先輩たちをよろしくお願いします~!https://t.co/oCc4vwi4Z8 pic.twitter.com/ggk4xXqp9P
— 安田剛助「じけん」「草薙先生」連載中 (@YasudaK00suke) 2017年7月13日
twitter拝見しましたが、このマンガの扉を毎話2頭身デフォルメで描き直してて、安田先生のサービス精神にびっくりしました。
「ヤングアニマルArasi」で2016年~連載、「ヤングアニマル」に移籍して2018~2020年連載、全7巻で完結。
試し読み ニコニコ静画
セキホクジャーナル(小坂理絵)
題材は新聞部。関北高校で霊感体質の宮野柚枝を中心に、オカルト事件に巻き込まれたり謎の怪新聞の犯人を追ったり、ダイエット勝負やったり気になる男の子との関係が縮まったり広がったりするやりたいことと流行りを全部ブチこんでみました系学園コメディ。
90年代の少女漫画誌「るんるん」で人気作でしたが、雑誌廃刊にともない全4巻で完結。現在は絶版ですがマンガ図書館Zで読めます(無料)。→セキホクジャーナル
その他
サイコろまんちか(小出もと貴)
顔は良くないしコミュ力も低め、しかし心理学の知識と問題創設能力は群を抜く髪の毛ボサボサ女子・伊東。イケメンだが「なぜかモテない」阿部くんにベタ惚れの彼女は、ためになる心理学を餌に彼を「心理学研究部」へと誘い込む。そう――すべては阿部の心を手に入れるために。そのために一緒の部活でチャンスを狙いたいし、そのためにはとりあえず部員が5人と顧問がいないといけない――
笑えてためになってちょっとエッチな心理学コメディ。
連載は「マンガボックス」。これも何も知らんで読んだら面白くてびっくりした作品です。自分の「ダメさ」と斜め上の方向で向かう伊東も凄く魅力的なヒロインで、彼女の言動の一部は痛いところを突かれたというか、肚に刺さるようなところがありました。
顔芸・パロネタも多くて、個人的に「ハルバースタットの実験」のオチが一番笑いました。「月刊少年ライバル」「マガジン・ラボ」で2014年、「マンガボックス」で同年~2015年連載、全3巻で完結。
類似作 マンガで分かる心療内科(ゆうきゆう/ソウ)
試し読み 講談社コミックプラス
あつまれ! ふしぎ研究部(安部真弘)
部員が集まらないオカルト・催眠術・マジックのそれぞれ「ふしぎ」を研究したい女子生徒が合併して作った寄せ集め部、それがふしぎ研究部。彼女たちが生息する元倉庫の部室にうっかり足を踏み入れた五領大祐が催眠術をかけられて入部させられ、てんやわんやする日々を描くまったり系部活コメディ。
出来のいい日常系はどんだけ疲れててもするする読ませますが、これもそんな感じ。
手品先輩(アズ)
題材は奇術部。手品が大好きだけど人前だと緊張してしまい、失敗するたび巨乳に縄が喰い込んだりミニスカートがめくれたりする「先輩」と、なんやかやで部室に出入りするようになった「助手」くん。さらにわがままボディの新部員がふたりも現れて……!? アニメ化もされた手品フル日常コメディ。
ネタを作りやすいのか手品の解説が多く、その他和妻・変面・化学手品・バーベット・心理学など色んな話題を取り上げます(ちなみに過冷却の話ありましたが、炭酸凍らせて強い衝撃与えると破裂することがあるので注意)。この路線なら「サイコろまんちか」とかのほうがおすすめではあるものの、こっちのほうがヒロインは
「週刊ヤングマガジン」で2015年読み切り掲載、2016~2021年連載、全8巻で完結。2019年アニメ化。
試し読み ヤングマガジン公式サイト
マヤさんはうらめしい(土田ヒノギ)
題材はホラー研究部。たまーに新入部員が来るものの、部長の荒木麻弥が人を怖がらせることに本気過ぎるため、なかなか人が居着かない部室に、突然現れた入部希望者・黒井弦人。さっそくあの手この手で黒井を怯えさせようとする麻弥だったが、対応がどことなくプロっぽい黒井のオーメンお面のような無表情はピクリともせず、むしろ自分で自分の首を絞める結果に……。
黒井が特殊過ぎて見過ごしそうになりますが麻弥も相当な変人で、怖がらせるためだけにロボ研に依頼して西洋人形を動き回るように改造するとか、冗談みたいな行動をとることのできる反則的なキャラクター。
明けましておめでとうございます!
昨年は初めての連載をいただけて、充実した一年でした。
今年は原稿以外にも色々描いたり行動したりしようと思います。
本年もよろしくお願いいたします! pic.twitter.com/Nva5r337bv— 土田ヒノギ (@tsuchida_hinogi) December 31, 2018
黒井がただの中二病だったらどうしよう……とドキドキしながら読んでましたが、そのあたりは謎のまま全10話で完結、単行本は1巻のみで6~10話は収録されず(2021年時点ではpixivで全話読めます)。「月刊コミックフラッパー」で2018~2019年連載。
表紙およびタイトルと中身にギャップが多少あり(まずマヤさんが生きてると思わなかった)、本来こういうの好きな層にアピールできてない印象が若干。人気出ても全然おかしくなかった作品だと思います。
類似作 ドレッドノット(緋鍵龍彦)
試し読み pixivコミック
スクール×ツクール(原作:田岡りき 漫画:wogura)
気弱な文芸部員・中原奈子は捨ててあった棚をもらってきたことをきっかけに、謎のDIY女立川きずくに目をつけられ、なしくずし的に文芸部室にさまざまなガラクタ材料を運び込まれる。多種多様な工具でさまざまなものを作るきずくと一緒にいるうちに、奈子もしだいに自分の欲しい家具を作れる楽しさに取り憑かれていき……。
本日発売のゲッサン4月号に『スクール×ツクール』第12話載せていただいております。よろしくお願いします! pic.twitter.com/08WbiwCWmF
— wogura🧸スクール×ツクール②巻発売中 (@wogura) March 12, 2020
というか、「梯子が欲しい」「机が欲しい」と思った時に、自分で作る選択肢がある状態がもう既に結構楽しいと思います。電子工作でもプログラミングでもなんでもいいんですが、「こういう道もあるぞ!」というマンガ。
「ゲッサン」で2019年~連載。
類似作 ボクと師匠の秘密工房(横山知生)
試し読み ゲッサン公式ページ
SKET DANCE(篠原健太)
開明学園のあらゆる「困った」にお答えする頼れるサポーター集団、その名はスケット団(学園生活支援部)。ゴーグルを装着すると高い集中力を発揮するボッスン、喧嘩無双でツッコミ担当のヒメコ、知識と情報とボケかぶせのスイッチ。三人が難事件に取り組んだり、落とし物を探したり、妙な薬を飲まされて人格が変わったり、マンガのアシをしたり、先生のお見合いに同行したり、やることがないので部室で折り紙を折ってたりする姿を生き生きと描く、基本ギャグ・時々シリアスのなんでもあり系学園ドラマ。
「週刊少年ジャンプ」で2007~2013年連載、全32巻で完結。これ文化部なのかもうよくわかんないんですが、演劇、クイズ、ゲームに音楽と様々な題材を思うままに取り扱い、推理要素があったりアクションしたり実に自由。部室から一歩も出ないで喋り倒して終わることもままあります。
最初期は打ち切られそうな雰囲気ビンビンですが、1巻で浪漫を出せたのがかなりでかい。
シリアス展開、特に5巻はなかなかに衝撃的で、作者もライナーノーツで「やらかした」みたいなことを書いていますが、それが最終的に感動的なラストへと収束していく様は見事の一言です。まとめ読み推奨。
試し読み コミックシーモア
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