きさま!見ているなッ!世界のルールに気付いてしまうおすすめメタフィクション系マンガ

こんなまんがにまじになっちゃってどうするの

メタ系マンガのおすすめコーナーとなります。メタ(超)フィクションというのは「読者と作品」の間の境界線を壊してくるフィクションを指し、よくあるのは次のようなパターンです。

A.登場人物が自分が映画/小説/マンガの中の登場人物であることに気付いている/自分が登場している作品の傾向やルールについて言及する
B.作者や読者、編集者が作品内に登場し、物語に絡む。あるいはナレーションなどで意思表示をする
C.フィクションの中にフィクションが登場する、あるいは現実が実はフィクション

色んなタイプがありますが、要は作中人物が「今週はあと2Pしかない。急がないと!」とか言うあの感じです。昔のギャグ漫画は頻繁にこういうことしますけど、メタにある程度自覚的な作品をなるべく選びたいと思います。

絶対BLになる世界VS絶対BLになりたくない男(紺吉)

自分がBLマンガ世界の住人と気付いてしまったノーマルの男。彼は世界の不文律を学び、次々に襲いかかるイケメンたちとのフラグを危機一髪かわしていく。あるあるネタが満載のBLメタギャグ漫画。


あるあるものなので数読んでる人のほうが楽しめることは言うまでもないですが、「そういうのもあるのか」的発見もあるので学習? にも使えます。BL興味なくてもメタギャグ好きなら楽しめる作品。

自分の身代りに他の男をイケメンの毒牙に放り込んで「幸せになれよ……」みたいなモノローグが入るマンガ、というと一番わかりやすいのかも。 

試し読み pixivコミック

僕がモブであるために(目野真琴)

ハードボイルドに登場することに憧れつつも、しぶしぶ三流恋愛マンガ「どっきん☆パイナポー」にモブキャラとして出演する中田。あてもなくノド(見開きの綴じ側部分)のあたりを歩いていた彼は、そこで今まさに自分が出演している「どきパイ」の原稿用紙を拾い、毒舌色情狂のモブ仲間小泉とともに原稿の改変を始める――自分が出てもいいと思える作品にするために!

僕がモブであるために

第1話”変えなきゃならない”(1巻収録)より

咳き込むぐらい笑いました。よかれと思ってふたりが少女マンガにタイ人の密売人だのポールダンサーのクソビッチだのを投入する展開は最高にファンキー。後半は中田が「主人公」として活躍し、ストーリーも結構面白いです。

自分たちが属する世界を誰でも改変できるという世界観、マンガ内のモブキャラが漫研に所属していて自分の出るマンガを自分で描くという設定からしてまず異常。もうひとりのモブ・小泉が実にいいゲスキャラで、こっちはこっちで裏主人公感あります。
ニコニコ静画「月刊のアクション」で2016~2018年連載で完結、ただ売れ行きは捗々しくなかったようで、単行本は1巻しか出ず中断

類似作 クソゲーって言うな!(原作:おもちさん 漫画:野愛におし)

試し読み ニコニコ静画

漫画の森から女子高生(美川べるの)

「漫画家を目指しています!」と自称するものの、絵は壊滅的、話も壊滅的、悪知恵と過剰な自信は一流の女子高生・桜卯咲良と及川葵衣。ふたりはなんだかんだで知り合った漫画家やその編集者を巻き込みつつ、自虐ネタとメタにあふれた暴走を繰り返す。

漫画の森から女子高生

第7話″資料集めをしよう”(1巻収録)より

べるの先生の漫画家ものだと他に「レジデン都市505」というのもあり、こちらが後発。ツッコミ不在の魔空間に引きずり込まれるがごとき作風でメタと作中作ギャグ好きなら読む価値はある作品ですが、途中からネタ切れ感が濃厚に出てくるのが難。同じ路線なら野崎くんのほうがおすすめではあります。

「まんがライフSTORIA」で2015~2019年連載、全3巻で完結

類似作 レジデン都市505、月刊少女野崎くん(椿いづみ)

試し読み ストーリアダッシュ

もう卵は殺さない(香魚子)

この世のあらゆる物語の主人公が待機する謎の空間「主人公斡旋所」。世に出される主人公の前には扉が現れるが、売れ線とは言えないストーリーのために、笹木綾子はいつまでも呼ばれることがない。他の「幼稚な」作品を小馬鹿にする彼女だったが――(”もう卵は殺さない”)
没になった過去作の主人公へささげる表題作の他、「きょうはなんの日」「茉莉花にくちなし」「亘理くんとふれたなら」を収録。

“もう卵は殺さない”より

上の画像の「男と女が好き合うだけの話」は「亘理くんとふれたなら」のこと。正しいメタ系ギャグを見た、という思いです。
他三作は(ヒロインが悪霊だったりはしますが)割と正統派の少女マンガで、表題作が頭ひとつ抜けてる印象。とりあえず「少女向け」の垣根はゆうゆう超えてると思います。

ちなみに即お呼ばれしていた探偵話、普通に読みたいんですが実在しないようで残念。全1巻で完結(短編集)。

試し読み 集英社公式サイト

我らひとしくギャルゲヒロイン(じゅうあみ)

唐突にギャルゲ世界の中で自我を獲得した「幼なじみ」「委員長」「義妹」「親友」の四人。冷静な目で見てみると、髪の色とか制服とか、この世界はツッコミどころだらけ。リプレイのたびに巻き戻される世界の中で、彼女たちは主人公に攻略されてしまうのか? 代原から地味に人気となりコミックス化されたメタゲー4コマ。

我らひとしくギャルゲヒロイン

EPISODE 02(1巻収録)より

「オーバーロード 不死者のOh!」でもメタ回の面白さに定評のあるじゅうあみ先生がひたすらメタ話をするマンガですが、あとがき読む感じ編集さんが話作ってるのかも。
「月刊コンプエース」で2015~2018年不定期掲載。代原=他の作家が原稿落とした時に代わりに掲載される作品という性質上、連載作品かどうかすらあやふやな状態ながらも結構続き、PVまで作られ、スピンオフ「我らひとしくソシャゲヒロイン」も「ヤングエースUP」で2016年連載。扱いがいいのか悪いのか。


全2巻で完結。2巻は「我らあらぶるギャルゲヒロイン」というタイトルでナンバリングなし(ソシャゲ編はこっちに収録)。なんでちがうタイトルなのかもしっかりメタ解説してくれるし、なんなら裏事情全部ぶちまけてくるスタイルです。

類似作 まとめ★グロッキーヘブン(みたおでん)、絶対BLになる世界VS絶対BLになりたくない男

試し読み ComicWalker

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