【時代劇マンガ常連】二十八歳没にして暗君として名を轟かせる、徳川忠長(国千代)公の生涯

なぜこの人はしょっちゅうマンガに出てくるのか

ちょいちょい記事中でも言及することのある、忠長公についてのお勉強コーナーです。今見たら去年末にランキング作ってから半年間、26回連続でマンガのカテゴリ追加してたんですね。我ながらよーやるわ。たまにはこういう企画ものやりたいと思ってるんですがなかなか腰が重い。
時代劇もののマンガ読んでるとこの人(及び家光公)は結構な頻度で登場するんですが、これには以下のような理由があるように思います。

宮本武蔵と同時代の人間である

武蔵(1584? ~1645)の他、柳生宗矩(1571~1646)および柳生三厳(十兵衛)(1607~1650)あたりが絡む話を書こうとすると大体家光が絡み、忠長もかなり高確率で登場します。

徳川政権がまだ不安定

江戸幕府の成立は徳川家康が征夷大将軍に任官した1603年から(厳密な時期については諸説ある)。高齢の徳川家康は「江戸幕府は徳川家の世襲制である」ことを示すためすぐに二代目将軍秀忠に席を譲り、1615年に武家諸法度を布令しその翌年には亡くなっています。この秀忠も1623年に引退し、かなり短期間で3代目(家光)まで進みます。この時点でまだ過去の遺恨や野望、戦国時代の荒々しい気風が残っているため、この時代は物語の舞台となりやすいです。

キャラクターとして使いやすい

これについては後述しますが、駿河大納言となった後の忠長は日陰者扱いにひねくれ奇行・蛮行を繰り返し、数多くの武勇伝を持つ人なので「アレな人」として使いやすく、設定の裏付けや敵役のスポンサーとして使われることがあります。たとえば政府転覆をもくろむ集団の黒幕とかに忠長公を持ってくると、実にしっくりと収まります。

てなとこですかね。このふたりと秀忠について軽く知っておくと、江戸時代初期の話を読む時に多少話がわかりやすくなります。

忠長公の人生

幼年期

竹千代と国松

「闇の土鬼」第10章”駿河大納言”(2巻収録)より

家光は慶長9年(1604年)、忠長は慶長11年(1606年)に2代目将軍秀忠の次男・三男として生を受けます(男児はこのふたりのみで、長女は眉目秀麗で知られた千姫)。つまり家康の孫で、母親は浅井長政の三女にあたる江(崇源院)。それぞれ幼名を竹千代(家康と同じ幼名)、国千代(国松)と名付けられますが、幼少期の家光(竹千代)は吃音があり病弱(手のつけられない乱暴者だったとも)で、父秀忠、母崇源院は利発で容姿端麗だった国千代をかわいがっていたといいます。

後継者争い

国千代

「あずみ」第3話「忍務」(36巻収録)

崇源院が国千代を世継ぎにしようとしていることを知り、竹千代の乳母・斎藤福(後の春日局)が長男が将軍となるべきと政治運動を始めます。この春日局は権力争いを嫌った竹千代が自害しようとしたところをに止め、家康に直訴したことから鶴の一声で竹千代の世継決定のきっかけを作るなど、後継者争い全般に活躍し、のちに松平信綱、柳生宗矩と共に家光を支えた「鼎の脚」のひとりとして数えられるようになります。鼎(かなえ)は三本足の中国古代の青銅器。

マンガ内の出来事

せがわまさき「バジリスク」の忍者決戦は、泥沼化するこの後継者争いでどちらを世継ぎとするか決めるためのものという設定。

小山ゆう「あずみ」で、誘拐された国千代を奪還するためにあずみが敵地に潜入する展開がある。

駿河大納言忠長

暗君忠長

「シグルイ」第1話「駿府城御前試合」(1巻収録)

将軍となった家光に対し国千代は松平姓を与えられ、公式に庶子扱いされるなど冷遇が始まります。十代で23万石を与えられ甲府藩主となり、元服後は名を忠長と改めさらに駿河と近江の一部の藩主となり計55万石、諸侯から「駿河大納言」と称されるようになります。しかし将軍の弟としてのプライドからか秀忠に対し「100万石か大阪城の藩主の座が欲しい」とリクエストし、これをきっかけに「謀反の意思があるのではないか」と兄からも疑われるようになります。
理解者であった母・崇源院を亡くし、過度の飲酒、伝統や格式を軽視した数々の失敗、気に触ったものへの斬殺などの乱交を経て、寛永8年(1631年)ついに甲府への蟄居を命じられます。寛永10年、切腹を命じられ処刑されました。

マンガ内の出来事

山口貴由「シグルイ」の真剣による駿府城御前試合(つまり、忠長を楽しませるための達人による殺し合い)は寛永6年(1629年)の出来事。

横山光輝「闇の土鬼」で、血風党の後援者となる。

あとがき

マンガ読む分にはサラッと事情がわかれば十分なのでこんだけです。書いてみたら意外と書くことなかった、ともいう。他に作品見つかったら追記予定。

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