さらばゼロ年代。未成熟な心と大き過ぎる力のミスマッチを描く、セカイ系おすすめマンガ群

セカイ系とは


一種のジャンルであると同時にムーブメントでもあり、90年代~2000年代に猛威をふるいました。定義所説あるようなんですが、うちのサイトでは「圧倒的な力が(基本)ナイーブな少年少女にもたらされ、彼らの精神状態や体調がそのまま世界の命運を左右するような話」をさしてセカイ系としています。スケールに反して人間関係や心理描写が多く描写されるのが特徴。ループ系マンガを範囲に含むことも多いようですが、そっち希望の方は一応別カテゴリ作ってますのでそちらもご参照いただければと思います(ループもののセカイ系はマンガよりゲームに多い印象ですが)。
どーしても終末系、巨大ロボットものが多くなりますが、なるべく色んなジャンルから集めたいと思ってます。

新世紀エヴァンゲリオン(原作:GAINAX/カラー 漫画:貞本義行)

2015年、セカンドインパクトと呼ばれる未曽有の災害により大きく人類の生存圏を縮小した世界を舞台に、人造人間「エヴァンゲリオン」と侵略者「使徒」の戦いを描くセカイ系を代表する作品のひとつ。95年アニメ放送と同時期に連載が開始され、その後アニメが社会現象化するほどの大ヒットをしたせいか連載が分断。作中世界に追いつきかけた2014年ついに完結し、全14巻のロングラン作品となりました。


もし初見ならTVシリーズから入ることをおすすめします。考察厨を狂喜させた思わせぶりで難解なワードの数々、ちょっとヤバいほど人気があった綾波レイの魅力もさることながら、アニメのテンポ、音楽、声優の熱演、原色の効いたカラーリングと鋭角的なフォルム、銃器のリアリティ、趣向を凝らした作戦の数々が「エヴァ」の本質的魅力だと思うので、このコミカライズはそれ見てハマった方向け、という認識です。

話は心理描写を多く使い、ストーリー中の謎もある程度解説され、かなり納得のいくラストへ向けて話が収束していきます(最後のほうはアニメとは少し筋が違う)。話の完成度としてはアニメよりこっちのほうが上。

そーゆーわけで「エヴァはわけわからんからもういいよ」という人が読んでも楽しめるんじゃないかな……と思ったりします。謎はそれなりに残りますが、人類補完計画、セカンドインパクトのあたりがちゃんとわかるのでスッキリします。で、またアニメが見たくなっちゃうという……。

【オススメ】ぼくらの(鬼頭莫宏)

地球を襲う15体の敵を、巨大ロボットで撃退する――自然学校で知り合った15人の少年少女は、洞窟の奥で怪しい男から「ゲーム」の説明を受ける。操縦できるのはひとりにつき一回だけ。非日常感あふれるロボットアクションに興奮する子供たちは、やがて突き付けられる絶望をまだ知らずにいた――「鬼」と称されるストーリー展開で多くの読者の心を抉った、「ヒューマン系」SFロボットアクションの名作。

ヒューマン系→鬱系と読み替えてもいいです。操縦者ごとにエピソードが語られ、戦闘メインの回もあれば個人的事情がメインで語られることもあり、場合によっては戦闘がまるまるカットされることもあるなどバリエーション豊富なストーリーテリングで飽きさせません。伏線の張り方も周到でかなり考えて描かれている印象を受けます。

一回挫折したことがあってこの作者に苦手意識があったんですが、最後まで読むとすげー良かったです。僕はカンジのエピソードが好きでしたがどれも面白く、人によってお気に入りの話はバラけると思います。

エルフェンリート(岡本倫)

小さな角と不可視の腕(ベクター)を持ち、人類を殺害する本能を持つ突然変異体・ディクロニウス。
「にゅう」としか喋れないひとりの少女を、たまたま通りがかった由比ヶ浜で保護することになった青年コウタ。しかし彼女は監禁されていた研究所から脱出したディクロニウス――女性型ミュータントであり、一時的に人格が変異しているものの、冷徹な殺人鬼としての貌を隠し持っている――

鬱展開の玉手箱。萌え漫画の皮をかぶった怪物、岡本先生のデビュー作にして代表作。
昔1巻読み終えて「これでまだ一割か」と眩暈がしたのを懐かしく覚えています。エロ・グロ・ナンセンスよりどりみどり。

序盤だいぶ絵がアレですが、この絵のおかげでグロが緩和されてる部分はあり、その点アニメは目も当てられないことになっています。
ちなみにアニメは海外で非常~に人気があるようで、主題歌が讃美歌として各国で歌われてたりもしているそうな。

【オススメ】BIRDMEN(田辺イエロウ)

見ると幸せになるという、羽根の生えた鳥男。鬱屈した精神を抱える中学生の烏丸英司は、ある事故をきっかけに鳥男と遭遇し、生命を助けることと引き換えに同級生3人とともに鳥男へと「進化」させられてしまう。彼らのうちには仲間としての強い結束感が生まれ始めるが、それは烏丸たちが次第に人としての感情を失い始める前兆なのかもしれなかった――ポストセカイ系SFジュブナイル。

思いがけないものが繋がっていく伏線処理、硬軟織り交ぜながら次第に核心に進む描写は人によってはスローに感じるようですが、過去の自分に薦めていいなら文句なくおすすめ。群れをなす鳥男のビジュアルが持つ生理的な不潔感も新鮮です。

中盤からはキャラクターごとの「何が大事か」という行動原理のブレ、ストーリーのよじれがちょいちょい見られる気がします(鷺沢の能力が有効活用される日は来るのだろうか)。テンションは一貫して高く、少年マンガとしてはむしろ王道路線に乗るのでこれはこれで面白いですけど、序盤のほうが僕は好き。

試し読み 小学館eコミックストア

水女神は今日も恋をするか?(三簾真也)

雨の降らない過酷な世界――辺境の小国ラハサに暮らす人々は、身体から水を生み出す力を持った水女神アクレアなくしては、命を繋ぐこともかなわない。しかし力は感情に左右される不安定なもので、水の量は先細りになりつつあった。無理を重ねてどうにか帳尻を合わせる彼女の姿に胸を痛める少年・アシャは、倒れる彼女を抱き止めて水よりも彼女のほうが大切だと口走る。それは本心ではあった。あったが……愛の告白と勘違いした彼女から厖大な水が溢れ出したことから、国の存亡を賭けた一世一代の恋芝居が幕を開く。

アクレアを濡らすときめかせるために色々画策するラブコメであると同時に、悲観主義者で恋愛にリアリティを感じないアシャにとっては「身分違いの彼女にときめかれる価値が自分にあるのか」というような問題と向き合う物語でもあります。このカテゴリだとたぶん一番明るい作品。

いや実際はシビアな世界のはずなんですけど、あんまそこは表に出てこないです。他の国はどうしてんでしょうね。
ヒロインをいわば騙す話にも関わらず、嫌な人が基本出てこないというのもなにげにすごい。最初三話の完成度の高さが作品全体を安定させてる気がします。

試し読み ニコニコ静画

他にもこんなマンガで世界の運命が子供たちの手に握られています

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