日常系・ラブコメ・時々ホラー、移り行く青春の日々を描くおすすめ学校生活・学園ものマンガ

Nice boat

基本日常系メインなんですが、主な舞台が学校で、「少し日常からはみだす」というようなものをチョイスしています。恋愛とか喧嘩とかオカルトとかもあったりなかったり。
このジャンルで面白いものが描ける人は、何描いても面白く描けるんじゃないかなー、という気がします。

それでも町は廻っている(石黒正数)

通称「それ町」。通称が表紙に描いてあるというのも珍しい。
女子高生の嵐山歩鳥が、学校でうだうだしたり、メイド喫茶でバイトしたり、謎の事件を推理したり、宇宙人と遭遇したりというなんでもありのバラエティマンガ。基本的には日常ギャグで、学校以外の話も多いです。

それでも町は廻っている

第113話”赤”(14巻収録)より

石黒先生の代表作と言っていいと思います。時間軸が作品内でバラバラで、実質的な最終回のような話がかなり早い段階で登場します(これは結構衝撃的でした)。

「ヤングキングアワーズ」で2005~2016年連載、全16巻で完結。公式ガイドブックでタイムテーブルがついているとのことですので、興味のある方はそちらを参考に時間順に読んでみるのも一興かと思います。

試し読み 少年画報社公式サイト

【オススメ】スキップとローファー(高松美咲)

末はT大法学部から官僚の道を志すまじめな女子高生・岩倉美津未。周囲から頼られる存在であることを自認する彼女だったが、周りから見ると結構抜けてて天然ボケ。しかし純粋でまっすぐな性格は、彼女自身気付かないうちに周囲の人間の気持ちを変化させていく。

Scene⑧″チクチクの個人練習”(2巻収録)より

「町田くんの世界」的なのを想像して読み始めたら意外とヒロインが野心家で笑いました。心理描写が素晴らしく、強く共感させられるのでキャラクターの感動がそのまま伝わってきます。5巻のデート回は男の子は一回読んどくべき。


みんな色んな方向に頑張っているんだけど、等身大の高校生らしさがちゃんと残されていて、応援したくなるキャラが多いです。

試し読み アフタヌーン公式サイト

湯神くんには友達がいない(佐倉準)

野球部のエースにして落語オタクの湯神くんと席が隣になってしまった綿貫さんが、そのあまりにも面倒くさい人柄と毒まみれの言動に、徐々に人相が悪くなっていく話です。この湯神くんのキャラクターが独特で面白い。やるべきことは可能な限り手早く済ませ(これが本当に「可能な限り」というレベル)、自分の興味に関して貪欲です(周囲の迷惑は省みず)。

「嫌われる勇気」とか読むよりこれ読むほうが即効性があんじゃないの、という気がするマンガです。「もっと自分のために生きたい」という人は、読んでみると案外学ぶところもあるかもしれません。

周囲に流される綿貫さんに対し、ニヤニヤ笑いながら「あれじゃ自分がかわいそうだ」とか揶揄する感じなんですが、態度はともかく行ってることは一理あることが多いです。

試し読み サンデーうぇぶり

あちらこちらぼくら(たなと)

地味な男の子とヤンキー系の男の子がなんだかんだで仲良くなり、イチャコライチャコラする話です。BLですが普通に男性でも読めます。全1巻で一回刊行された後、マンガワンで追加連載が始まり、さらに続編も出ました。

ふたりの微笑ましい交流がほぼ内容の全てで、可愛い男子高校生を見てニヤニヤしたい方には強くお勧めできます。メールやりとりしたり一緒に買い物したりしてるだけなのに面白い。

たまになんとなくジャケで短めのマンガを買ってくるんですが、最近読んだ中だと一番これが当たりだったかもしれません。

試し読み S-MANGA

【オススメ】夢中さ、きみに。(和山やま)

その不気味な風貌と雰囲気から、関わると不幸になると噂される謎の男・二階堂明。不本意ながら彼の前の席となった目高優一は、ある出来事をきっかけに学内で唯一、彼の友人と呼べる存在となることに……(”うしろの二階堂”)。

“うしろの二階堂”より

どこか懐かしい学園ヒューマンコメディ。ブロマンス成分多め。耽美な絵を活用したギャグと友情が絶妙に混ざり合い、どことなく佐々木倫子イズムも感じさせます。内容は二階堂シリーズと林シリーズに二分され、どっちもいい感じですが、最後の後書きに全て持っていかれたような気も。


小さいエピソードの接続がなめらかで、「ヌルヌル動く」って感じ。語り口のセンスが非凡です。「このマンガがすごい!2020」オンナ編第2位、全1巻(短編集)。

試し読み ComicWalker

【オススメ】ReLIFE(夜宵草)

27歳無職の海崎新太は、社会復帰実験として謎の薬を飲み、高校生としてもう一度学校に通うことになる。果たして彼は無事に学校に馴染めるのか、学力とかは大丈夫なのか、そして実験の結末は?
偽りの日々の中で、失った何かを取り戻していくSF系学園生活コメディ。

comicoの看板作品です。最初読んだ時は「コナン君かな?」と思いましたが、体力が元のままというのは斬新。なにげにこれ心理描写いいですよ! リアリティあります。キャラに愛着湧くのがその証。

あと割と笑えて、思わぬサプライズもあり。大人でもしっかり楽しめます。
なお、comicoはページ割ではなく縦にスクロールで流れていくタイプのマンガアプリなので、コミックス化の修正では結構な地獄を見ている模様。

試し読み eBookJapan

月曜日の友達(阿部共実)

嫌いだった月曜日が、だんだん好きになっていった。なぜなら月曜は、ちょっと変わった友人・月野透と、夜の学校で超能力の練習をする約束があるからだ。潮風漂う中学校を舞台に芽生えた友情は、詩的な台詞回しと端正な背景描写、きらめく瞳と深い深い影のコントラストの中で、こっそりと進化していく。

月曜日の友達

第1話(1巻収録)より

人間関係に違和感を感じる主人公が、少し非日常になった空間で少し非常識な友人と少し非現実的なことをする話。ある意味ファンタジーですが、浮足立ちきらず片足でブラブラしてる感じ。ストレートに美しいシーンが多くて好きです。


阿部先生はちょっとトラウマ作家みたいなとこがありますが、本作は割とどなたにもおすすめできます。あと作画(背景・モブ含む)がほんと気合入ってて、絵的な満足度が高いです。授業中の教室を俯瞰でみっちり描く絵とかあんまり見ない。
全2巻で完結、「このマンガがすごい!」2018オトコ編4位。

試し読み やわらかスピリッツ

安達としまむら(原作:入間人間 漫画:のん)

授業をサボって体育館の二階でおしゃべりするようになった安達としまむら。なんとなく卓球してみたり、家に遊びに行ってみたりしつつ、お互いに踏み込まず、知らないことばかり。
しかし、次第に安達はしまむらへ特別な感情を憶えはじめる――入間人間の人気ライトノベルコミカライズ。

基本高校でのだらだらした日常を描くんですが、他の人がいると変わる関係性とか、ふたりきりの時だけのじわーっとしたぬるさとか、そういう怠惰な空気感を味わうようなマンガのようです。読むとだらっとできます。

お色気に走ったり、無駄にテンションの高いキャラがいたり、笑えたりもしません。変な静かさのある少女たちの日常を淡々と描きます。

原作では心理描写が多いらしいので、気に入った方はそっちへ進むと理解が深まるのかも。「ガンガンONLINE」で2016~2017年連載、全3巻で完結。他に2019年~は柚原もけ先生作画で別のコミカライズが「電撃大王」で連載。

試し読み ComicWalker

古見さんは、コミュ症です。(オダトモヒト)

凄まじい美人だが極度の人見知りで口ベタの古見硝子が、なんとなく普通の少年只野仁人になつき、筆談で会話したりしながら少しずつ友人関係を広げていく学園コメディ。コミュ障とはいえその容姿から勝手に古見さんは持ち上げられるので、痛々しい描写とか内省的な内容はほぼなく軽~く読めます。恋愛要素もあり。

古見さんは、コミュ症です。

コミュ15″登校です。”(1巻収録)より

気楽に読める日常系ですがコミュ障あるあるみたいなのはちょっとリアル。それでも別にいいんでない? みたいな内容です。


一過性のものかと思いきや古見パパも全然喋らず、娘とテレパシーで会話してるのはちょっと笑った。古見さんに熱狂する一般生徒がしばしばアレになるので、主人公サイドはリアクション芸してることが多いです。
「週刊少年サンデー」で2016年~連載。

試し読み WEBサンデー

【オススメ】ふたりモノローグ(ツナミノユウ)

オドオドしててカエル系の能力持ってそうな麻積村ひなたと、見た目ギャルっぽく顔も言動も怖いが実はひなたが好き過ぎる御厨みかげ。高校で隣の席になったふたりは、10年前に別れた元・親友同士だった――お互いに仲良くなりたいふたりのモノローグを中心に、すれ違い続けるズレた友情と偏愛を描くサイコ・スクール・コメディ。

一応方向性としては百合。割とまともなひなたに対してみかげが凄い勢いで危ない人になり、心の中でひなたを妙に豊富な語彙で崇め奉りながら表面上クールに振る舞うのが笑えます。脇役も濃い。
ふたりモノローグ

第28話”いけないかくれんぼ”(2巻収録)より

ちなみに珍しいことに、第1巻が発売される前に実写ドラマ化が決定した作品です。といっても、一話一話が短いのでその時点で40話ぐらい行ってたみたいですが。

試し読み 講談社コミックプラス

うちの姉ちゃんときたら!(みどりわたる)

それぞれキャラクターの違う三人の男子高校生には、さらにキャラクターのかけ離れたそれぞれの姉がいた。かわいい絵柄とお姉さんたちの多様な魅力で魅せる、ハイテンポ姉弟(×3)学園交流コメディ。

うちの姉ちゃんときたら!

第5話”だから同じ学校は嫌なんだ!!”(1巻収録)より

お姉さんサイドは活発ちょいエロお姉さんにおっとりヤンデレブラコン巨乳に幼児とバラエティ豊か、対する弟サイドもヤレヤレ系料理上手男子に暗黒の使者に性獣とこれまた幅広く、ついでに明るい性格の同級生女子も配置。それぞれの交流を描く感じですが基本弟側が苦労する作りです。大枠としてはほのぼの系。

意外と紹介に困るのがこういうマンガで、「ここがこう」というほど明快なセールスポイントが読んでるうちに見つけられないんですが、後から考えると結局「居心地がいい」という言葉に落ち着く感じです。

試し読み COMICメテオ

有害指定同級生(くろは)

品行方正を絵に描いたような女子校生・八橋みやこは、隣の席の都城玲華に「忘れたから見せてもらえない?」と訊かれ、「しょうがないなあ」と返事するや否やスムーズにスカートの中を確認される。つまり都城は穿いてない。むしろなぜ穿く必要があるのか? 近頃少年誌の限界に挑み気味な集英社の意向を汲んだ、ちょいエロちょい百合ギャグ漫画。

ほぼ男性は登場せず、概ね女の子ふたりが会話するだけのマンガ。ギャグとしては昔ほどの畳みかける切れ味はなく、ひとつひとつのネタを端正に打ち込んでくる落ち着いた作風ですが、内容的にはむしろアウトみを増しています。そっちに進化したか……という感じ。ちょっと「あそびあそばせ」の影響も入ってる?

基本うちのサイトではパンツなどは「履く」と表記するんですが、このマンガだと「穿く」と表記するのでそちらに準拠致しました。このマンガにおいてパンツを穿いてるかどうかはふたりの関係性を象徴する重要なファクターなので、ここはこだわりたいところですね! 全3巻できれいに完結。

試し読み 少年ジャンプ+

開田さんの怪談(木々津克久)

隣の席の開田さんは、美人で眼鏡で頭が良くて、まさに女神……隙あらば怖い話をしてくること以外は……。
めちゃくちゃ怖がり体質の少年・生瀬くんと、怯える彼を見て密かに興奮する開田さんの、怪談で繋がるラブコメ風の何か。

開田さんの怪談

第2夜”電子の妖精”より

木々津先生のマンガは大体「~風の何か」という表現になります。たぶん「からかい上手の高木さん」的な企画なんですがいかんせん作者が「フランケン・ふらん」描いてた人。
怪談が趣味性ドロッと出てる上に文章メイン、開田さんもタチの悪い部分があり、色々と好みが分かれそうな作品です。


「週刊少年チャンピオン」で2018~2019年断続的に連載。完結してるのかしてないのかよくわからない作品です。
コンセプト的には売れそうだし寄生カテゴリ作っちゃう管理人的には面白く読んだんですが、もうちょっとスタンダードな怪談のほうが広く受け入れられた作品なのかもしれないです。

試し読み コミックシーモア

中卒労働者から始める高校生活(佐々木ミノル)

それぞれの事情により普通科高校へ進学/卒業しなかったものが集まる通信制高等学校――実の父が前科持ちであり、中卒にして工場勤務の片桐真実、学力不足で受験に失敗したその妹・真彩もまた東々第一高等学校の通信制へと進学し、人種の坩堝のごとき学校内で老若男女様々な人間と遭遇することになる。それぞれが傷や禍根を持つ彼らは衝突を繰り返すが、それぞれの問題を乗り越え、やがて深い友情や恋で結びついていく。

基本登場人物は全員訳アリ、常にサスペンスがみなぎる学園青春群像劇です。pixivやamazonでラブコメと紹介されてますが、これをラブコメと呼ぶのは違和感ありますね。たしかにラブかどうかでいえばラブですし、コメかどうかでいえばそういえば焼餅妬いたり妙にモテたり結構コメなんですが、常に不穏な、読者を不安にさせる空気が漂っているラブコメというのもあまりない。

つうか序盤がツンケンし過ぎててラブコメ感ほとんどないです。
主人公はかなり強い自己嫌悪に囚われており、人生に行き詰まりを感じる人、全てが腹立たしく社会が憎い人などかなり刺さるメッセージを帯びた作品だと思います。読んでて悲しくなるし、腹が立ってきます。
作者ご自身が通信制高校を卒業されてて、作中のエピソードは佐々木先生の実体験を反映したものが多いそうです(あとがき調べ)。

試し読み pixivコミック

【オススメ】僕の心のヤバイやつ(桜井のりお)

僕は頭がおかしい――ポケットにカッターナイフを常時忍ばせ、不穏な妄想に目をギラつかせる絶賛中二病発動中の中学生・市川京太郎。そんな彼だったが、学校一の美人でモデルで、でも食いしん坊でちょっとアホな山田杏奈のことを考えている時は、普通の優しい少年(兼ツッコミ役)に戻ってしまう。甘くて苦い恋の始まりを描き、読者の心をかき乱すスクールカースト・ラブコメディ。

陰キャの市川と山田はちがう世界の住人で、でも中学校という枠組みの中で一時的に同級生という関係にあるし、奇跡的に意思疎通が成立することがあります。自分の気持ちを直視できなかった市川も、彼女を通して少しずつ変わっていく。

僕の心のヤバイやつ

Karte.11″僕は突破した”(1巻収録)より


関係性の「変化」をメインに描く、桜井先生らしからぬおそろしく甘酸っぱい作品。2019年時点で最も続きを楽しみに待っている作品です。超オススメ。

試し読み マンガクロス

丹沢すだちが此処にイル!(額縁あいこ)

内気! 帽子! 巨乳! の丹沢すだちは、ダメ人間でもやたら自己肯定感の強いHiphop文化に感化され、見た目は怖いが中身はオドついた立派な高校デビュー女子へと生まれ変わった。そんな彼女とクラスで隣同士になったメガネ君・十文字大輔は最初こそ若干ビビっていたものの、ラップでしか言いたいことをろくに言えない彼女にツラれてつい韻を踏む毎日を送ることになる。

丹沢すだちが此処にイル!

Verse12♪″イン DA ハウス”(1巻収録)より

コミュ障にしてラッパーという二律背反を割とあっさり乗り越えてくる良作。若干痛々しいですが絵のかわいさと十文字君のフォローで当たりはマイルド。丹沢さんが割とにわかであまりHiphopに詳しくなく、これから色んなものを吸収して成長していく過程にいる……くせにHiphop用語だけはやたら使いたがるので、Hiphopよくわかんない人にも勉強になります。


ふたりが無駄にしっかりライムしつつ会話するのが既に「芸」っぽいというか……。Hiphopがトータルカルチャーの名称だというのは、このマンガ読んではじめて知りました。
「別冊少年マガジン」で2018~2019年連載、全2巻で完結

試し読み マガポケ

サバエとヤッたら終わる(早坂啓吾)

同級生の桜井さんに惚れてる宇治くんは、桜井さんの親友・鯖江さんとよく飲みに行く。しかし好きな子の話をしたかっただけなのに、気を抜くと鯖江さんとアジな展開に……性欲に負けそうな大学生ライフを描く下ネタ系コメディ。

サバエとヤッたら終わる

第7話”サバエとクリスマスに!?”より

女の子が主導権を握るタイプの、流行りのラブコメの亜流という感じ。絵はやたらざっくりしてて、背景は写真使ってたり割り切って描かれてる印象。コマ割りが上手いからかあんま違和感ないです。


まあまあ下品なので一応注意。口をすぼめた時の表情が絶妙に目をそらしたくなります。それ以外もまあ好き嫌いありそうですが、肩の力を抜いて読めて割と好きなマンガです。

試し読み くらげバンチ

【オススメ】あおざくら 防衛大学校物語(二階堂ヒカル)

入学費用・学費は無料、それどころか勉強しながら特別職国家公務員の身分となり手当が出る、そんな夢のような話があるところにはある。幹部自衛官を育成する防衛大学校へ入学した定食屋のせがれ・近藤勇美は、優しい先輩や気のいい同級生と交友をしながら順風満帆のスタートを切るが、それは最初だけ。「日本一厳しい大学」とすら言われる防大の実態をちゃんと描写しつつ、マンガらしい華やかさも盛り込んだ青春白書。

異論は認めますが、青春ものとしてサンデー系の一番いい部分が出てるという評価です。前作「ヘブンズランナーアキラ」に比べてキャラクターの幅が広く、特に坂木室長はこの作品の質を大きく底上げする名キャラクターです。


自衛隊もの・防大もので少年誌はかなり珍しく、これを読んで志望する人も結構いそう。作中に出てくるTSOや棒倒し、儀杖隊などはyoutubeに動画がアップされていて、実際の様子を見ることができます。

試し読み WEBサンデー

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