ボーイ・ミーツ・ガール! 心揺さぶる恋愛マンガ名作選

ラブストーリーは突然に

なぜ恋愛問題はこうも人の関心を引くのでしょうか。文学、演劇、映画はいうに及ばず音楽や絵画、およそストーリーが存在するところには恋愛要素が登場し、多くの人の共感を得ています。マンガにおいても一大ジャンルといってよく、それはもう膨大な作品数が数えられ、その中には名作と呼ばれているものも多く存在しますが、人知れず消えた中にも美しい物語が眠っています。
他のジャンル――スポーツとかサスペンス、コメディとかでも高確率で恋愛要素は絡んできますが、ここではメイン・ストーリーが恋愛のものをチョイスしています。

※記事中で紹介しているアプリは掲載終了している可能性があるので、悪しからずご了承下さい。


ティーンエイジャー/学校を舞台とした恋愛もの

【オススメ】君に届け(椎名軽穂)

引っ込み思案の黒沼爽子が、クラスの人気者風早翔太をはじめとしたクラスメイトたちとの交流を経て、少しずつ背中を押されながら楽しい学校生活を獲得していく姿を描く正統派少女マンガです。恋愛と同じくらい友情要素もフォーカスされます。

舞台は北海道の高校。近年珍しい純粋なヒロインですが、風早くんもなかなか可愛い。


一体どーゆーつながりなのか「今日のテラフォーマーズはお休みです。」でPRされていて、アドルフ艦長がハマっていたので読んでみましたが、たしかにこれは面白かったです。男性でも割と違和感なく読めると思います。

試し読み 別冊マーガレット公式サイト

【オススメ】彼氏彼女の事情(津田雅美)

一見眉目秀麗成績優秀品行方正の女子高生・宮沢雪野。しかしその実態は見栄と虚栄心の塊で、優等生は賞賛を集めるための仮面に過ぎなかった。

入学した県立北栄高校で新入生総代を有馬総一郎に奪われた彼女は一方的にライバル心を燃やし、打倒有馬を心に誓う。ところが有馬の優等生ぶりも、とある事情による仮面だということがしだいに明らかとなり――?


全21巻通称「カレカノ」。他のマンガなら無垢な少女を苛めたおす役どころになりかねないメインヒロインですが、徐々に棘がとれてくると親しみやすいキャラクターへと変化していきます。実際これほどハイスペックなヒロインはなかなかいないと思います。

かなり早い段階で「彼氏・彼女」が成立し、その後の展開がメインストーリーとなるというのは少し珍しいかもしれません。基本的にほのぼのした話なんですが、中盤かなりダークな展開があり、「やりすぎだろ」と思いつつ深夜まで読みふける結果とあいなりました。

読んだら止まらなくなる覚悟でお望みください。

アオハライド(咲坂伊緒)

男子が苦手な吉岡双葉は、「田中くん」との淡い恋の思い出とともに高校生に進学する。女子受けがいいようわざとがさつに振る舞う彼女だったが、彼女の前に大分印象の変わった田中くんが再び現れて――?
全13巻。友人と恋の板挟みなど、色々と悩める乙女の心理を描いた作品です。序盤は色々不安定で面白いんですが、中盤以降はイマイチ。

ヒロインをはじめとした「普通の女の子」の描写が良くて、関係性といい考え方といい非常にリアル(男はあまりリアルではない)。これは男性の僕からすると面白いと感じるポイントです。これ読んだ後に他のマンガ読んだら、「こんな女子いねえよ」と思わされた程の影響力がありました。

そうした等身大の女子に感情移入できる(する)かどうかでも、割と評価が分かれる作品だと思います。この人のマンガだと「ストロボ・エッジ」が有名ですが、そっちはなんか僕には合いませんでした(女子には非常に評判が良い)。

試し読み 別冊マーガレット公式サイト

思い、思われ、ふり、ふられ(咲坂伊緒)

引っ込み思案で恥ずかしがり屋、高校生としては相当うぶな市原由奈と、男の子の心の機微に長け、恋愛ゲームを楽しむ山本朱里。恋愛観の全く違うふたりは、お互いを通じて山本理央と乾和臣と親しくなり、ほのかな恋心を自覚する。一方男子サイドでも色々と心境の変化があり、四人は少しずつ自分の違う一面を見つけていくことになる――

これまたストレートな少女マンガで、男子にはお好きな方以外薦めません。しかしスレてない人生これからの女の子に「何か面白い少女マンガ買ってきて」と頼まれたらこういうのを買い与えるでしょうし、ツインテールでおねだりされたらショートケーキも添えると思います。よくできてるし、夢があるし、登場人物もいい人しかおらず、変にドロドロしません。ストレートな少女マンガなのです。


正直なところを書きますが、「都合のいい」少女の夢を推進力にしたファンタジーとして非常によくできている、という評価です。これは技術的な評価で皮肉でもなんでもなく、言い換えれば乗り物としてさりげなくも快適にデザインされている。おそらく意図的にすれ違いなどのキャッチーな要素も軽く設計されています。僕は薄汚れた中年男性なのでこの作品を正当に評価することは不可能なんですが、読んでるうちにじわじわと自分の精神が女子にされていく恐怖を味わいました。

試し読み S-MANGA

ブスに花束を。(作楽ロク)

髪型もっさり体型寸胴丸メガネで性格も程よく暗い、自他共に認める地味系モブ少女・田端花。乙女ゲーと花いじりで青春を謳歌していた彼女だったが、ある朝美化委員の活動中「痴態」を天然リア充上野陽介に目撃されたことをきっかけに、彼女の毎日は濃い口の級友に囲まれた賑やかなものへとなっていく。

普通なら少女マンガ的恋愛モードに入るところを、お得意の自虐ネタと天然ボケでことごとくフラグを破壊する田端・上野のいい人っぷりでなかなかラブストーリーになっていかないという、ちょっとパロディ的な部分がある少女マンガです。他のキャラもみんないい人かな? と思いきや、意外とそうでもないことがわかってくるとさらに楽しくなります。

冒頭の「朝こっそり花瓶の花を交換してたらイケメンと仲良くなった」というのがもう既にパロディっぽい。全くないとは言いませんが、そこにグッとくる男子高校生はかなりのレアキャラなので参考にする前によく考えましょう。
一般的な少女マンガだと「目立たない普通のわたし」は大体美少女なんですが、このマンガではしっかりブスを描こうとしていて、そこが僕としては割と好ましい点です(それでも顔だち自体は割と整ってますけど)。要は「顔がかわいくなければヒロインにはなれないのか?」ということですね。

試し読み pixivコミック

曇天にシリウス(中島ベガ)

題材は天文部。転校を繰り返し、人に心を開くことを恐れるようになった少女・妃花。人と関わらずに済む天文部に入部したはずが、常にテンションの高い悠輝に引っ張られるようにして部内の人間と親睦を深めていくことになってしまう。
やがて悠輝の「明るさ」の理由を知った妃花は、次第に心が惹きつけられていく自分に気付く――

表題作はタイトルへ繋がるストーリー展開が(やたら展開速いですが)いい感じ、強いメッセージ性も併せ持つかなり僕好みの作品です。

一応部活ものですがあんまり天文部要素ないです。中島先生のデビュー作で、表題作3話+番外編(というか後日談)の他、「暴走乙女★ムー」「すっぴんぴん!」を収録。デビュー作でこれ出せばそら評価されますわ。

試し読み 小学館公式サイト

うぬぼれハーツクライ(香魚子)

彼氏なんていたことないけど、それは妥協してないだけ。自分磨きに余念のないモテ女子・葉山ゆり(16)は、ついに自分にふさわしい相手――背が高くイケメンの剣道部員綾倉真をターゲッティングし、恋のかけひきを仕掛け始める。しかしそれで簡単に落ちるような綾倉ではなく逆に説教される始末、さらに他の女の影も現れて、余裕綽々始まったゆりの彼氏作りは前途多難となっていく。

うぬぼれハーツクライ

#2(1巻収録)より

全2巻。正論男子と腹黒女子の組み合わせでこの後どういうやり取りがなされていくのか、軽~く後日談が読みたくなるやつです。
今時珍しいほどスタンダードな恋愛少女マンガで、ベタといえばベタ、安心感あるともいえる定番のネタを「トロ一丁!」「軍艦お待ち!」としっかり握って出してきてくれて、構成も上手い。で、ちょっと題材で今風の味付けをしてあるという、経営者が若手に変わった老舗といった風貌の作品です。

流行っているというのも変ですが、こういう駆け引き上手の女の子がヒロインの少女マンガ増えましたね。そういう子が「この人しかいない!」という相手を見付けて普通の恋する女の子になっちゃう……かどうかは読んでのお楽しみ、ということで。

試し読み S-MANGA 集英社

10万分の1(宮坂香帆)

元気印の女子高生・桜木莉乃と、剣道部主将のイケメン・桐谷蓮。微妙な距離を保っていたふたりだったが、莉乃はとうとう彼への気持ちを自覚せざるを得なくなってくる(そして蓮もまんざらではなさそうである)。

スタンダードな少女漫画的展開と、幸福な未来への予感。しかし莉乃自身も気付かないうちに、「10万分の1」の難病が、彼女の身体を冒し始めていた――

この主人公カップルは同作者の「あかいいと」からの抜擢とのこと。そっち現状未読ですが、支障ないようです。

率直に言うと、僕はこの手の話がちょっと苦手です。ただこのマンガでは「その前の段階」をしっかりと描き、障害のある恋とか試される愛とかに焦点が当てられているためか、そういう拒否反応が出ませんでした。

あと莉乃も蓮もいい人なので、素直に感情移入できたのも大きいと思います。

僕と君の大切な話(ろびこ)

突然隣に座った女子生徒・相沢のぞみから、告白がてら男性への疑問をぶつけられたクール系メガネ男子・東司朗。彼は独自の被害者意識に満ちた女性観を披露し、ふたりの主張はなかなか噛み合わないが、意見が異なるからこそ、まずは会話をしないと始まらない。それはそうと、告白した事実を忘れられているような――男女論から始まるラブストーリー。

初期は室内劇を意識した作りになっていて、1巻は全話「駅のベンチでほぼ動かずに会話だけで話を作る」という縛りがあります。各話ちょっといじれば漫才になりそうな完成度で、感心して読みました。

だんだんふたり以外の登場人物が増え、2巻以降は少しずつ一般的な少女マンガに路線変更していきます。はまりんの百面相が拝めるep.14(3巻)がなんとなく好き。

試し読み デザート公式サイト

コズミックカラー(四元シマコ)

雑学蒐集が趣味のおせっかい女子・倉谷桃子。しかし余計なおせっかいは人に嫌がられるのではと、いつもは少し抑え気味。

しかし隣の席の「朝起きられない」灰島くんは彼女の雑学に感心してくれるので、彼女は勢い雑学メモを手作りしたのだが、放課後それが教室に置き去りにされてるのを見付けてしまう。

色々と悩める主人公がとてもいい子で、おせっかいというか普通に親切なんですが、この線引きが意外と難しいようです。

最後に運の良過ぎる男が主人公の短編「スピカ」も収録。

彼女たちは語らない(杏)

女子高生の浦佐柚月は、ある日クールな男子が同級生(♂)を押し倒しているところを目撃してしまう。

さらにすったもんだあったあげく彼の(推定)という言葉で誤解は解け、ふたりは次第に打ち解けていく。ところが突然現れたもうひとりのイケメンも、(想像)と声をかけてきて――?

台詞が一切ない恋愛ものです。サイレントマンガと呼ばれるようですが、吹き出しの使用はOKなようなので、記号や絵を吹き出しの中にいれたりジェスチャーで表現したり、あの手この手で説明をしてくれます。

絵が非常にきれいで、イケメン二名が正統派。センスを感じるシーンも多く、人気出ても100パーラジオ化できないわけですが(アニメ化は意外とアリな気がする)もっと有名になっていい作品だと思います。xoy→Lineマンガに掲載中(無料で読めます)。→彼女たちは語らない

ラブロマ(とよ田みのる)

正直過ぎる朴念仁系男子・星野一。彼は突然にしてあけすけに、みんなの前で根岸由美子に告白する。
はやし立てる周囲と、ツッコミを入れる根岸――というように、一貫してボケとツッコミの関係で進行していく天然系ラブコメです。元が短編なのでこれもカップル成立後の物語。
ラブロマ
主人公の星野くんはあまり常識がなく、かなりアレな行動もするんですが(そもそもいきなり衆人環視下で告白するのがどうかと思う)、根岸さんと理解し合おうと努力を続ける中で少しずつ成長していきます。

いかにも「若い人が考える理想の学校」みたいな感じがあり、ちょっと年齢的にきついかなーと思いつつ読んでましたが話数が進むと馴染んできて、最終的に「もっと読みたい」となりました。なので後半のほうが面白かった印象です。

子供はわかってあげない(田島列島)

いつもは鍵がかかっている屋上で、朔田さんは門司くんと出会う。門司の兄はたまたま探偵で、たまたま朔田の父は行方不明。運命的なものを感じた朔田は、門司の兄を頼って父を探すことを決意する。
ところが別の人間も、朔田の父を探していた。新興宗教の教祖として、そして教団の金を持ち逃げした犯人として――


全2巻。これ一回ミステリーに置いたんですけど、やっぱこっちかな、と思って移籍しました。

小田扉チックな作風で、「失踪」「たんてー」「夏や~すみ」とキャッキャ言いながらキャッチボールしてたら、いきなり「甘酸っぱいボーイミーツガールゥ!」と叫びつつ160km/hのストレートを放り込まれた、という感じのマンガです。

試し読み モーニング公式サイト

ひとつばな(ミナミ)

何かにあまりにも執着した人の胸には、「ひとつばな」が狂い咲く。
恋多き先輩を手に入れるために、地味だった主人公は他のあらゆるものを犠牲にしてでもこの思いを遂げることを誓う――次第に異質なものへと変貌していく、恋愛の黒い面を主に題材とする作品です。全7巻。


ひとつばなは別に恋愛に限らず、何かにハマり過ぎると出てくるようです。

地味からイケメンにクラスチェンジした「一途な」主人公が、他人を傷つけることも厭わず色々策を練っていくわけですが、ゆるふわビッチ先輩が相当手強くいい感じに空回っている感もなきにしもあらず。ドロドロ系が読みたい方向け。

試し読み サンデーうぇぶり

サンデーうぇぶり -人気まんが漫画毎日更新

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開発元:SHOGAKUKAN INC.
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五等分の花嫁(春場ねぎ)

俺は大人になった今でも、あの日のことを夢に見る。未来の自分の妻と出会った、高校二年のあの日のことを――とんでもない悪夢として。
学業優秀だがちょっと性格が嫌味な苦学生・上杉風太郎(↓左)は割の良い家庭教師のアルバイトをもらうが、その相手はついさっき衝突したばかりの転校生・中野五月(↓右)だった。
いや、正確に言うと、五月ひとりではない。一花・二乃・三玖・四葉・五月の5人姉妹(五つ子)が、全員彼の生徒になるのだ!

「これは結婚相手当てミステリーか!? 新しい!」と興奮して読み始めましたが別にそういうノリでもなかったです。というかそういう側面もないわけでもないんでしょうが、作りとしては割とオーソドックス、個性的なひとりひとりと関係を深めつつ徐々に恋愛色を強めていくハーレム寄り? 恋愛もの。

全員顔が同じとはいえ性格や小物、髪型なんかで差を付けてますので、読んでれば誰が誰だかはすぐ判別できるようになると思います。クーデレに真面目なアホ毛、妖艶なおねえさんなど色々いますんで推しがひとりは見付かるかと。僕はもちろん三玖さんですがね?(眼鏡を押し上げる)
一応申し訳程度にお色気要素もありますが過度にならず全体感は上品め。絵のレベルも高いですし、シンプルに面白いという印象。ストレス感じず楽しめました。

試し読み マガメガ

大上さん、だだ漏れです。(吉田丸悠)

性格はどちらかというと明るいが、中学生の時のトラウマと若干こじらせた性への興味が原因でうまく友人が作れない女子高生の大上芽衣子は、ふとしたことから同じクラスの柳沼慎一郎(割とかっこいい)と遭遇し、ハンカチを借りた拍子に彼もぼっちであるらしいことを知る。
一方、人に触られることを異常に嫌がる柳沼くんにもひとつの人と相入れない事情があった。大上さんはすぐにそれを知ることになる。彼にハンカチを手渡しで返し、お礼を言おうとして淫語を口走る自分の声を聞いて――

……というわけで、触った人に本音を喋らせる特殊体質VS性興味暴走女子のボーイ・ミーツ・ガールです。設定から予想されるほど過激な作りではなく、どっちかというとプラトニック。なにしろ手もうかつに繋げない。

ちょいちょい挟まれる大上さんの妄想とか邪推とかで笑いをとりつつ、ふたりや周囲の人間が少しずつ変化していく姿、ふたりの距離が近付いたり離れたりする過程を描いています。
正統派ですがアフタヌーンに連載されてる恋愛漫画特有の雰囲気も濃厚。そっち系お好きな方は一読をおすすめします。

渡くんの××が崩壊寸前(鳴見なる)

早くして両親を亡くし、妹の鈴白とともに東京近郊の叔母の家に居候する高校生・渡直人。妹を中心とした日々を送る彼だったが、6年前家の畑を荒らした幼馴染・館花紗月との再会、憧れの美少女石原紫との急接近を通じて心安らぐ日々を失っていく。不可解な描写、ホラーテイストをちりばめながら進行するラブストーリーはどこへたどり着くのか?

割と初期から気になってた作品なんですが、ジャンルがよくわからないために放置していた作品です。青春ラブコメっぽいのに読み味は不穏。登場する女性キャラが(程度の差はあれ)全員病んでます。

「中卒労働者から始める高校生活」が割と近いものを感じます。ただ、あっちよりも少女の心の闇にスポットを当てたような内容です。
7巻ぐらいまで読むと割と「普通」のマンガになってきたかな、ということで一旦ご紹介。もうちょっと布石も解消してくれてもよさそうなもんですが、どうでしょうね。

試し読み ヤンマガ公式サイト

僕の奴隷になりなさい(桜乃みか)

地味目図書委員の矢野あずさはクラスの美少年・青田カオルにちょっかいをかけられ、あまりにも無防備に全てを捧げてしまう。彼女の心を試すような命令にも従順に従うあずさだったが、彼の心はまるで違う方向を向いていた――

僕の奴隷になりなさい

#2(1巻収録)より

最初はマーガレット本誌で読み切り、その後webに隔離移動して連載された少女たちの頭に冷や水を思い切りブチ撒けるタイプの少女マンガです。

自分に無関心な恋愛相手との倒錯した関係と男女間のラブゲームを描き、2巻3巻と着実に盛り上がって4巻で完結。序盤は個人的には微妙なので、読むならせめて2巻まで読んで欲しいです。終わり方も気が利いていていいですねー。別ジャンルでは時々見ますけど、普通恋愛ものでそういうことするか? というラストです。

評価割れてるかと思いきや、意外とamazonレビューは好評ですね。タイトルである程度ふるいにかけられてるのかな。

試し読み BookLive

職場/バイト先を舞台とした恋愛もの

【オススメ】東京ラブストーリー(柴門ふみ)

普通の会社員・永尾完治は、幼馴染でプレイボーイの三上健一、そして関口さとみと再会したことから、自分が未だにさとみに対して憧れを抱いていることを知る。
しかしさとみはちゃらんぽらんな三上に対してやけにむきになり、もやもやした気持ちを抱える彼のところには破天荒な同僚、赤名リカが急接近してきて――? 日本中の女性を夢中にさせた大ヒットTVドラマの原作作品。

東京ラブストーリー

“不安のきざし”(3巻収録)より

バブル期トレンディドラマの代表的作品のひとつです。優しい男とがさつなヒロインというのがトレンディドラマの定型だそうですが、赤名リカは凄いぞ。

連載は88~90年、小田和正のドラマ主題歌も併せてヒット。イントロの「トゥクトゥーン」みたいなギターは印象的で、時々マンガでこんな感じの擬音見ますけどコレが元ネタなんじゃないかという気がちょっとしてます(某OLマンガみたいに自己申告してるのもある)。
2016年にまさかの続編が発表されて話題を呼びました。

椿町ロンリープラネット(やまもり三香)

主人公は守銭奴系女子高生。彼女は親の作った借金を返済するために、アルバイトとしてクールで知的で成功していて金持ちで、人の気持ちに鈍感で人当たりが悪いのになぜか主人公にだけはちょっと優しい年上のイケメン小説家の家に住み込みで働くことになります。

ちなみにこの小説家はファッションセンスに難がありますが、そこは親友の編集者がカバーしてくれておしゃれすると普段とのギャップでさらに素敵です! 詰め込み過ぎだろ

とりあえず前作とかなり似てます。色々違うものにしようとしてる痕跡が見られる気がしますが、さて今後はどうなるか。

【オススメ】逃げるは恥だが役に立つ(海野つなみ)

派遣切りにあった妄想癖の強烈な院卒女子・森山みくりは、ハイスペックなこじらせプロ童貞津崎平匡のもとでバイトとして家事代行をすることになる。
なかなかうまくいっていたふたりだったが、諸事情により現状を維持することが難しくなり、ついでに平匡さんがゲイの先輩に言い寄られたりする一幕もあって契約結婚を交わして仮面夫婦を演じることに。

かくして高学歴のふたりはルールを策定し、仕事としての夫婦生活を送ることになるのだが……。
逃げるは恥だが役に立つ

全9巻。巻数の割にかなり密度の高い内容です。中盤大きな展開があり、作者本人が言われる通りこれを「恋愛マンガ」として読むか、「仕事マンガ」として読むかでみくりへの評価が大きく変わります。

僕としては数回キュン殺されているのでこれを恋愛マンガにカテゴリするのにやぶさかではありませんが、一種の問題提起をされているマンガでもあり、「契約としての結婚」「家事という労働」について考えさせられるところはあります。

みくりが割と同じ服をいつも着てる(持ってる服を組み合わせてる)など、細かいディティールが妙にリアルです。ニッチなことを言うと、僕は海野先生の描く「手」が割と好きです。なんか存在感があるんですね。

潜熱(野田彩子)

大学1年生の夏休み、初めてのアルバイト先のコンビニでいつも二箱煙草を買う強面の男――どう見ても堅気ではなく、性格も悪そうで、暴力的で煙草臭く、女遊びが激しい上に、二回り年上で手が筋張った逆瀬川に、女子高育ちの岡崎瑠璃は恋をした。他の人が口をそろえて「やめておけ」という中、彼女は熱に浮かされるようにして、自ら泥沼のような恋へ沈み込んでいく。

潜熱

第1話(1巻収録)より

相当にニッチな、しかし刺さる人の心臓には深々と突き刺さる男との恋愛を描いた作品。これほど最初からバッドエンドの予感しかしないラブストーリーも珍しい。お嬢様風でちょっと芋っぽい瑠璃に対し、ニヤニヤ笑いながら踏み込んでくる「危険な男」……という構図はまあなんか割と嫌いじゃないんですけど、他にいるだろもっととはどうしようもなく思います。作者の手の内ですね。

とりあえず女性であれば逆瀬川にグッとくるかどうかで評価は天国か地獄です。主人公に共感できないというのは結構重要な問題なので、気になる人も一回試し読みしてから購入検討するほうが吉。男の場合はどうでしょう……とりあえず、女のひとの好みって色々あるんだな、ということを肌で感じられる作品ではありました。

試し読み 裏サンデー

モブ子の恋(田村茜)

教わるより、教えるほうが緊張する。人を頼るのも、誘うのも苦手。いつも「脇役」の田中信子は、バイト先のスーパーの先輩・入江博基に恋をした。主張できない彼女のなかなか進展しない恋は、実を結ぶことができるのか、それ以前にそういう感じに持っていけるのか? ――地味系女子の悩める生態といじらしい恋に静かな共感を呼ぶ、ささやかで穏やかな恋愛ドラマ。

地味です。しかしそこがいい。少女マンガ的ドラマや手に汗握るすれ違いではなく、等身大の特別でない恋愛を描き、ついでに人間性観察マンガでもあります。「モブ子の習性」と称して内気な人の行動がよく紹介されるので、そこでちょっと手を止めてみるとより楽しめるかも。

というか「苦手なこと」「怖いこと」に対して勇気を出して足を踏み出す姿をちゃんと描けるマンガは、もうそれだけで結構面白い。傍から見ると大したことしてなくても、自分の安全圏に引かれた白線をつま先で越えつつある信子は、しっかり恋愛もののヒロインやってる気がします。

試し読み COMICタタン

ファンタジー/不思議な出会い

【オススメ】高台家の人々(森本梢子)

顔もぱっとしないし家柄も平凡なOL平野木絵は、ことあるごとに突飛きわまる空想をする癖を持っています。会社に超ハイスペックなイケメン社員・高台光正が赴任してきた時も、あれやこれやとすごいことを考える始末。
その高台様からいきなり食事に誘われて、あれよあれよという間に付き合うことになるのですが、不思議なことに彼はまるで彼女の心が読めるように、時折彼女の妄想で噴き出しているようなそぶりがあります。さらに紹介された高台家で出会う人々は、みな同じような能力を持っていて――?

とにかく木絵の妄想の破壊力がハンパではなく、めちゃくちゃ笑えます。この気を抜くと深刻になりがちなテーマを明るいラブコメディに仕立てているのは、あまり嫌な人のいない高台家の人々の人柄もあるでしょうが、やはり彼女の果たすところが強い。

基本的には木絵ちゃんと高台様のラブストーリーですが、オムニバス形式を取っていて、他の面々の恋物語も語られます。アベレージ高いですが僕は2巻のおばあちゃんの話が大好きで、短編として独立してたら収録されてる短編集をここで紹介するレベルです。

orange(高野苺)

「10年後の今、翔はここにはいません。」16歳のわたしのところに突然届いた一通の手紙。差出人は10年後の私――
少し引っ込み思案の高宮菜穂は、複雑な事情を抱える成瀬翔に恋愛感情を抱く――不穏な手紙に脅かされながらも、最大限「後悔しない選択」を選ぼうとする少年少女が織り成す、長野県松本市に舞い降りたひとつの奇跡の物語。

一応恋愛カテゴリに置いてますが、そのうち移動すると思います。「泣ける少女マンガの名作」として名高い作品で、多数の矛盾やご都合主義は絡みつつも、「未来の自分から手紙が届く」という難しいストーリーを最後まで見事描き切ったことだけでも高評価。闇堕ちしていく翔の内心描写もリアルでゾッとさせられました。

ちょっと過保護過ぎないかとは思いますが、これぐらいやらないとダメなんでしょうね。翔目線でこの話描くとホラーになるような……。
とにかくあまり見ないタイプのストーリーなので、新鮮味がありますし手紙の描写も程よくスリリングでぐいぐい読まされます。どーということもない会話が結構面白いのもポイント。作者体調不良により集英社版は2巻で中断、双葉社で全5巻で完結、6巻は番外編。あと双葉社版はノー天気ラブコメ「春色アストロノート」が各巻1話最後に付いてますんで、そっちで集めるほうをおススメします。


一応思ったことを書いとくと、手紙が届くまでの過程のご都合っぷりは「無数のパラレルワールドでそれが起きた世界」を描いていると考えればアリかな、と思います(そういう奇跡が起きなかった世界が膨大に存在することにはなりますが)。
個人的に一番違和感があるのは初日の描写で、翔を「誘わない」場合後日の未来が大きく変化するため、おそらくその後の手紙の予言が外れることが多くなります。それほど影響力の大きい日ですので、僕が仮に手紙を出すなら初日以前からスタートしてある程度予言を当てて信頼を得て、確実に初日を回避させると思います。怪しいと思っても一日ズラすだけでいいのに、手紙を受け取っているはずの須和他のメンツがなんのてらいもなく翔を誘っているのも違和感。面白ければそれで良く、些細なことですけどね。

試し読み BookLive

銀盤騎士(小川彌生)

フィギュアスケーターの雉子波心と、幼馴染の雑誌記者・猪狩千登勢。彼女は伸び悩む彼に気まぐれでおまじないをかけるが、これが効果絶大。一躍国内エースへと成長した彼のもとへ、千登勢はたびたびおまじないをかけにいく羽目になる――

「キス&ネバークライ」に引き続きフィギュアが題材(話は独立してますが、登場人物が一部続投)。メイン要素は恋愛です。


twitter上での発言が炎上し、一部スケートファンを敵に回したことで話題になりました(詳しいことはamazonレビューとか見てください)。

まあ、それはそれとして面白いです。伏線張ってからの婚約者のエピソードが割と斬新だった気がします。

試し読み kiss公式サイト

【オススメ】この愛は、異端。(森山絵凪)

父の不注意による交通事故により両親を亡くし、天涯孤独にして億単位の借金を抱えることになった少女・淑乃。たらい回しにされる親戚ではそのたびに性的な被害に遭いそうになり、いよいよ思いつめて自殺を試みるも失敗。自分の皮肉な「運の良さ」に途方に暮れた彼女は、古本屋で見つけた悪魔召喚の書により、端正な顔つきの堕天使ベリアル(長いのでバアルと省略)を呼び出してしまう。
5千年に一人という稀有な魂を持つ淑乃に、バアルは「対価として体を支払う」契約を結ぶよう要求するのだが、何しろその時点で淑乃はまだほんの子供。保護者として一緒に暮らしながら時期を待つことに――?


バアルは明確に「悪い男」ですが、それでいて口先とは裏腹に淑乃に対して愛情を感じているような描写も見られます。淑乃に対して向けられた異端で強すぎる執着は、果たして淑乃に受け入れられる形で成就するのかどうか……。

契約時点(中学生)での対価はキスのみ。18歳になると舌を入れ、20歳からは愛撫も加わる……ということで、露出度と性的な描写が強い作品ですが、異常に面白いです。抵抗あっても読んで欲しいレベル。

絵も非常に美しく、バアルの悪事と普段の「いい叔父さん」ぶりのギャップも魅力で、女性にもおすすめ。でも子供は読んじゃだめですよ。

試し読み 白泉社公式サイト

その他

【オススメ】青楼オペラ(桜小路かのこ)

江戸時代、華の遊郭吉原は大見世「曙楼」に奉公することとなった武家のひとり娘「朱音」。その目論見は父を殺し、お家取り潰しの元凶となった「三日月の男」を見つけ出し仇を討つこと、そして不名誉を晴らしお家再興を果たすこと――そのためならば我が身を知らぬ男にまかせることも厭わぬ覚悟の彼女だったが、ザンギリ頭で職人言葉の札差・惣右助との出会いはその目的の大きな支援となると同時に、彼女の悲壮な決意を揺るがす一世一代の恋の始まりであるとはまだ知らずにいた――

青楼オペラ

第1話(1巻収録)より

まあ最高ですね。めちゃめちゃ感情移入しました。先述の通り中年男性のわたくしですが、惣右助に同じことされたらよろめかない自信がないです(その場合俄然気色悪い話とはなりますが)。

犯人探しに吉原の切ない恋物語ということで題材として実に華やか、高座でかかっても楽しそうな話です。
ベツコミの謎の検閲により主要キャラの髪型に自主規制がかかるのが笑う。多層的な魅力を持つ、万人におすすめの作品です。

試し読み ベツコミ公式サイト

御破算で願いましては(雁須磨子)

中学時代のトラウマから「ある仕事」についている青木は、住んでいるアパートの一階にあるそろばん塾の女性に恋をした。ひょんなことから距離を縮めていくふたりだったが、彼女には好きな男がいるらしい。しかもそれは、青木の知るある人物で――?

明るいノリの中にペーソスが漂う3話構成のラブストーリー。ラストは大体予想通りのオチですがそれでも「やりよった」と思いました。

アッサリした絵や表情に、なんとなく那州雪絵先生の影響を感じます。この話キャラクターが良くて、いいところも悪いところも併せ持ち、それでいて漫画的な絶妙のバランス。

初期の作品ですが、雁先生の中だとこれが一番好きかも。表題作の他、「かわいい女」「地獄の玉三郎」を収録。

さきくさの咲く頃(ふみふみこ)

誰かが誰かに恋をしている――覗き趣味で若干腐っている少女・澄花と、幼なじみの暁生と千夏。狭苦しく生温かい田舎街を舞台に、一年を通じて変わり続ける3人の距離と恋模様、そしてそれぞれが描く未来。

一冊完結ながら計算された構成を持ち、心の柔らかい部分に傷をつけるミックスクロス恋愛ストーリー。

ふみ先生の中だと読んだ限りこれが一番好きです。なぜか千夏に感情移入してしまい、ああ、うん……という気分になりました。

タッチが軽いのでサラッと読めますが、「なんでこの人はこういう行動をとったのか」と考えだすとまた味わい深い良作です。

他にもこんなマンガでもドキがムネムネしています

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コメント

  1. チロル より:

    すごく参考になりました。この愛は異端、購入しました。分かりやすい説明ですごく良かったです。ありがとう。

    • rokuro より:

      あっ、これはすごく嬉しい。こちらこそありがとうございます。この愛は異端ちょうど2巻も出たところでいいタイミングですね。こんなブログでもお役にたてたようで何よりです。

  2. チロル より:

    返信ありがとうございます。ブログ、ひと通り見せていただきました。ジャンルの垣根なく読んでる方で、好きなんだと分かりました。少しだけ、踏み込ませてください。荒ぶる季節の乙女ども。と、青野くんに触りたいから死にたいは、最近のもので、個人的に心揺さぶられる作品でした。もしよかったら、お手にとってみてください。本当にありがとう。失礼いたしました。

  3. rokuro より:

    重ねてありがとうございます! 色々手が行き届いてなくてお恥ずかしい。
    青野くんはいいですよねー。僕も好きで、ホラーでもいいかなと思ったんですが幽霊カテゴリで紹介予定です。荒ぶる季節もぜひ読んでみます。情報感謝です! もしまたいいのあったらお気軽に教えていただければ幸いです~。