教えることは学ぶこと。放課後も引っ張りだこのおすすめ教師・先生・教授系マンガ

暮れなずむ町の

教師系マンガのおすすめです。授業はするし部活の顧問もするし試合や引率はするし、グレてる生徒に指導はするし家庭訪問はするしテストは作るしで気の休まる暇もなくイベント盛りだくさん、ほとんどの読者(あるいは作者)にとっても身近な職業で結構な作品数のあるジャンルです。
結局会社勤めなどしないまま「先生」になっちゃうので、職業ものとしては変な人の比率が多いのも特徴。それを言ったら漫画家とかもそうですけど。
教師×生徒の恋愛ものは別カテゴリとしています。

【オススメ】暗殺教室(松井優征)

独自の教育方針を持つ椚ヶ丘中学校の中でも、落ちこぼれが集められる3年E組。そこに新任教師としてやってきたのは、月を抉り取って常に三日月型にしたばかりの、規格外の怪物「殺せんせー」。来年3月までにこの教師を暗殺しなければ、地球は破壊される――暗殺×授業×中学生の、邪道コミカルサスペンス。

暗殺対象である軟体生物が教師となり、おちこぼれの生徒たちと交流を深めながら日々狙撃されたりナイフで襲われたりするという、まるで意味がわからないコンセプトでありながら大ヒットした色んな意味で凄い作品です。数十人の生徒がそれぞれキャラクターが違い、得意な暗殺方法も違うんですが、ちゃんと読者が把握できるようになっているあたりもお見事。

伏線も張られ、構成も計算されています。松井先生お得意の変なギャグも満載で、「ずっとこの世界に浸っていたい」という魅力を感じさせる作品です。

試し読み コミックシーモア

1年A組のモンスター(英貴)

舞台は季園女子高等学校、問題児(モンスター)ばかりの1年A組に、また新しい教師がやってきた。見た目も地味なら存在感もない、自見太郎と名前からしてやる気が感じられない。
さっそく女生徒たちは彼を標的にするが効いてるんだか効いてないんだか、何をされても表情筋は死滅。そんな彼を慕う生徒も現れ始めるが、個人的な領域には絶対に立ち入ろうとしない。教師としては申し分ないが、仕事の領分以外では一切何もしない彼もまたモンスターなのかも知れない――?

1年A組のモンスター

第5話”1年A組のモンスター”(1巻収録)より

表紙から胸糞悪いやつかと思ったら意外と気軽に読める系。いじめっぽい場面も多いんですが全体的にキャラクターのメンタルが強いので、読んでて妙な爽快感があります。


同じ作者の「男子高校生を養いたいお姉さんの話」に比べると話の展開がスピーディかつ不穏。女の子はどっちもかわいいです。「月刊ComicREX」で2018年~連載。

類似作 GTO(藤沢とおる)、こどものじかん(私屋カヲル)

試し読み コミックシーモア

ここは今から倫理です(雨瀬シオリ)

”倫理”――それは生きる上では特に必要のない、しかし知っていたほうがいい(かもしれない)事柄を学ぶ時間。独特の雰囲気を持つ高校教師・高柳は、その授業の性質なのか人柄なのか、さまざまな生徒たち(たまに教師)のトラブル・悩みに直面することになる。時には身を切って答えを示さないといけないその場面で、一見非人間的な高柳の人間性が少しずつ露わに見え始める。

倫理はなじみがなく標語や儒教的な印象がありますが、授業の内容を見る限り哲学に近いようです。作中で出される問いに答えが存在しないものが多い中で、それでもひとつの解答を差し出してくる構成は作者の発想力の強さ、頭の回転の速さを感じさせます。

高校生がドロドロの悩みを抱える話で、問題そのものが解決しないこともあります。というか、問題の解決を目指さないことが多い。そこにあるのはただの言葉だけなんですが、それが救いになりうることを教えてくれるマンガです。
色んな意味で2話が印象的。

試し読み グランドジャンプ公式サイト

女の園の星(和山やま)

舞台はとある女学校。女の園で教壇に立つ星三津彦に対し、年頃の女学生たちは敵意をむき出しに――することはなく、同僚も仲が良く、その日常はただひたすらにマイペースでくだらない。日誌の絵しりとりに悩んだり、生徒に観察日記をつけられたりする、なぜか癖になる日常系教師ギャグ。

女の園の星

1時間目(1巻収録)より


和山先生の連載デビュー作にして、「このマンガがすごい!」2021オンナ編第1位受賞作。安定感、画力は完全に新人離れしています。ローテンションにツッコミが入るじわじわ系ギャグもさることながら、性格描写もなんか独特。どのキャラも見た目と中身がちょっとズレてる感じ。

こんな学校に憧れる! とかはないんですけど、読んでてストレスがなく、トラブルもいつの間にかギャグに昇華される神経の太さが心地いいです。

見ようによってはホラースレスレの回もあり、ある種主人公の鈍感力でフィルタリングされた作品とも言えます。「FEEL YOUNG」で2020年~連載。

試し読み 祥伝社特設サイト

【オススメ】テロール教授の怪しい授業(原作:カルロ・ゼン 漫画:石田点)

甘い言葉に誘われて、素直で善良な新入生が集ったティム・ローレンツ教授の社会学ゼミ。しかしそこは開口一番恫喝され、価値観を否定されるテロリスト予備軍啓蒙教室だった。テロリズムとは何か、そしてそれから身を守るには、あるいはテロを成功させるにはどうすればいいか? ――「幼女戦記」原作者が問うカレッジ・シミュレーション・コミック。

テロール教授の怪しい授業

LESSON.1(1巻収録)より

おおまかな感想としてはテロ版サンデル教授。挑発的な質問や罠が多く提出され、読者を巻き込みあわよくばひと泡吹かせようとする構成が面白いです。
ただし他の人のレビュー読むと内容の説明にマンガとしての全能力が使われ、キャラクターが人形っぽい、テロの図解に過ぎないという感想も目立ちます。


舞台は2019年頃で東京オリンピック直前、その後コロナが発生したのはこのマンガ的に良かったのか運が悪かったのか。
テロという「手段」だけでなくその準備段階、「洗脳」の話も興味深く、これは一部のオンラインサロンなんかも似たようなものかな、とか思って読みました。「モーニング」で2018年~連載。

試し読み モーニング公式サイト

家庭教師の岸騎士です。(奥嶋ひろまさ)

高校3年、バリバリのヤンキー高杉トオルの部屋に現れたのは、スーツをパリッと着こなした優男・岸騎士(きしナイト)。最初は別世界の住人と敵視していたトオルだったが、岸の甘い言葉やスマートな仕草、そして時折見せる「学ぶこと」への熱さに感化され、しだいに自分の可能性を信じ始める――ちょっとBL風味の家庭教師コメディ。

第1話より

ヤンキー×BL自体は結構あるんですが、奥嶋先生はガチのヤンキー漫画もいける方で、絵柄も青年コミック系なのでいい意味で違和感があります。勉強を通してトオルが次第に変化していく過程もまた成長物語として面白い。なにげに「なぜ勉強するのか」に対しての回答も説得力あります。


同様に奥嶋先生作で、もっとガチめなヤンキーBLだと「同棲ヤンキー 赤松セブン」なども好評みたいです。

試し読み 日刊月チャン

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