最先端は常に異端
服に情熱と強い興味を傾けるキャラクターが登場する、衣類・ファッション系のマンガカテゴリとなります。デパートに行けば数階層に渡って空間を占める身近かつメジャーなジャンルですが、グルメなんかに比べると「自分で作る」ことへの敷居の高さは桁違い、またひとつひとつのアイテムの値段も高いためマンガで「いいな」と思っても気軽に買えなかったりで作品数は少なめです(というかグルメが異常に多い)。
シンプルにファッション業界やそれを目指す人を描くようなドラマから、中には漫画家自身の服へのこだわりを描くような作品もありますので、ひとまず服関連という縛りで広範に集めたいと思います。一部登場する服に関する言及もありますが、管理人自身のファッションセンスは棚に上げるものとします。
その着せ替え人形は恋をする(福田晋一)
雛人形を愛で、日々人形作りの修行に励みつつもそれを人に受け入れてもらうことを諦めている男子高校生・五条新菜。和裁のみ一人前の彼とエロゲ大好きギャル・喜多川海夢が遭遇することで、思いがけず物語のマリアージュが生まれるコス衣装作りラブコメ。
技術は高いがうちにこもりがちな五条くんが、他者の得意なことや好きなことに触れることで世界を広げていく成長物語的としても読めます。
PVちょっとネタバレ気味なので、未読の方は50秒より先は見ないほうがいいと思います。
細かいこと言えば、教室の隅でいつも黙ってる男がどれだけ技術持ってても、自分の衣装作って! となる女の子はあんまいない気はします(怖いので)。マンガ界における「誰にでも気さくなギャル」の行動力と無防備さは異常。
「ヤングガンガン」で2018年~連載。
試し読み SQUARE ENIX公式サイト
ランウェイで笑って(猪ノ谷言葉)
>身長158センチ、それは、パリコレのランウェイを歩くトップモデルを目指すにはあまりにも絶望的な数字。
モデル事務所の娘として生まれ、顔立ち・スタイル・性格に恵まれ――しかしモデルとしては見切りをつけられつつある藤戸千雪は、同級生の都村育人が優れた才能を持ちながら、経済的な理由のためにファッションデザイナーの道を諦めようとしていることを知る。彼を通して客観的に自分の姿をみてしまった藤戸だったが、お互い残念だったね、などと言うほど殊勝ではない。
ただこの題材だと絵的に気になる点が多いです。端的に言うと服がダサい。
ストーリーは好きで、イベントを挟みながら盛り上がり、6巻とかすごく好きです。脇役やライバルも強みと弱みが設定されていて、魅力的な人物が多い。
「週刊少年マガジン」で2017~2021年連載、全22巻で完結。
試し読み 講談社コミックプラス
服を着るならこんなふうに(企画協力:MB 漫画:縞野やえ)
昔ながらの格好で同窓会に出かけた青年・佐藤祐介は、いつの間にかオシャレになった友人たちに焦りを覚え、妹の環の指導の元ファッションの基本を学ぶことになる。だが服を買いに行く服がない――お金もセンスも言い訳にならない、「すぐ真似できて誰でも楽しめる」コーディネートを提案する基礎固め系ファッションコミック。
服に興味ないオタクの心理的負担を下げてくれるありがたい作品ですが、学習マンガっぽいというか、他のファッション漫画に比べるとストーリー性は薄味。あとやや若い人向けかもしれないです。おっさんは「服福人々」のほうが参考になるかも。
「コミックNewtype」で2015年連載開始、「ヤングエース」に2016年移籍。
類似作 服福人々
試し読み ヤングエースUP
服福人々(坂本拓)
ちょっとしたきっかけと偶然で、一緒に服屋を巡る友人となった廻谷静(43)と佐久間優(32)。今は塗装の仕事をしている廻谷だが、妙にファッションに詳しい彼は、どうやら伝説のブランドの元デザイナーらしい? ――ゆったりとした遊び心を取り入れた、大人のためのファッション漫画。
「となりのヤングジャンプ」「ヤンジャン!」で2020年~連載。読み方は「ふくふくひとびと」。概ね原宿などで買っているようで価格帯はそれなり、ファストファッションはほぼ登場しなさそうです。服飾マンガであると同時にジェンダーものでもある模様で、少しBL要素があります。作者は「潔癖男子!青山くん」の人。
試し読み となりのヤングジャンプ
パンクかあさんとロリータむすめ。(阿部川キネコ)
パンク一筋の母親・リリと、ロリータファッションに目覚めた娘(小5)のルカ。服の趣味は真逆だが仲のいい親子とクラスメイトを中心に描く、ファッション4コマギャグ漫画。
残念ながら2巻は発売されずで、単行本としては全1巻。