今夜に決めたわ出発よ! 掃除に飽きたら空を飛ぶ、魔女たちのマンガ群

魔女だけどアップルパイ焼いたよ!

「魔女」が登場するマンガをセレクトしています。作中で「魔女」とされていれば魔法を使える必要はないですが、箒に乗ったり黒猫とおしゃべりしたりするとモア・ベターです。お年を召されているのにきれいな女の人とかは入りません。
魔女は歴史的に見ていくと本当に憂鬱になるような話が多いんですが、ファンタジーの題材としては扱いやすいのか最近妙に増えました。いわゆる魔女っ娘をこっちに入れるべきなのか魔法少女に入れるべきなのかは悩むところです。

【オススメ】純潔のマリア(石川雅之)

イングランドとフランスがいつ果てるとも知れない不毛な争いを繰り広げる百年戦争。サキュバスやインキュバスを使役し、戦争意欲を削ぐことを生業とする魔女たちの中で、うら若いマリアは矢面に立ち、時としてど派手な魔物を召喚することで悪目立ちしている存在だった。
「下界」の世界に干渉し過ぎる彼女はついに、大天使ミカエルに目をつけられてしまう――ほぼ「機械仕掛けの神」である彼女はなぜ、必要以上の力を行使するのか? そして最後に彼女が見付ける彼女自身の「幸福」とは?


単純なようで複雑なようで割と単純な話です。「純潔」「マリア」ということでモチーフは例の受胎告知された人のようで、そのマリアさんが「寝ている間に処女を懐妊させる」とされる夢魔を使役しているという妙な皮肉が効いてます。全3巻+番外編1冊で完結。

神学や戦争といったテーマを扱いつつ「もやしもん」的なゆるいノリも健在。中世風ファンタジーが好きならば一読の価値はある作品だと思います。

山田くんと7人の魔女(吉河美希)

ある事件を理由に、私立朱雀高校の嫌われものとなっている山田竜。その問題児が足を踏み外し、学年1位の優等生・白石うららと一緒に階段を落っこちたところ、ふたりの身体が入れ替わってしまう。元に戻る方法は――キスをすること? 実験と検証により少しずつ明らかになる能力の真相、そして朱雀高校に伝わる「魔女」の伝承。サービスシーンたっぷりの学園ラブコメファンタジー。

タイトルで7人の魔女が登場することはわかっているんですが、そのへんの事情が顕在化してくるのは3巻くらいで、この序盤の準備段階、能力解明フェイズみたいなのが出色の出来。次から次へと意表をつく展開がやって来て、キャラクターの色んな顔を見せ、だんだん物語の本筋に入るためのパズルが組みあがっていく一連の流れはすごく楽しいです。

当サイトとしておすすめなのはとりあえず11巻まで。
中盤以降は「お好みなら」という感じ。キャラクターが増えすぎて誰が誰だかだんだんわからなくなり、程よく制約があった能力がなんでもありになっていきます。後半は盛り返しますが、もうちょっと話のつなぎ方はなかったものか。全28巻で完結。

試し読み マガポケ

聖骸の魔女(田中ほさな)

クレド教の修道士にして「異端」を学ぶニコラ・エスカリバは、人には手に負えぬ超暴力「魔女」に対抗するべく、人の体液を糧に無類の力を発揮する「始まりの魔女」たちと契約を交わす。だが魔女との契約とは即ち、結婚。15世紀のローマを舞台に美女たちが画面狭しと暴れまわる、ダークハーレムファンタジー。

聖骸の魔女

第十八戒”汝、魔女を泣かせるなかれ”(4巻収録)より

マンガとしては割と欠点が多いです。展開は説明不足だし風呂敷まとめ切れてないんですがでも好き。絵は美しいしギャグとシリアスのメリハリも小気味いいし、キレのいい展開で読んでて飽きさせません。


また、個別に見ていくと心に残る好きなシーンが多いです。過去策に比べると絵も展開も青年誌っぽい仕上がりで、もしさらに続いてたらどういうことになってたのか見てみたかった気もします(体液的な意味でも)。
「ヤングキングアワーズ」で2014~2018連載、全7巻で完結

試し読み LINEマンガ

木陰くんは魔女。(小森羊仔)

住んでる団地がボロいことに不満たらたらの女の子・夢子。団地の屋上には森ができていて、その奥の小さな家では大家さんの木陰くんがひとりで暮らしている。ところがこの木陰くん、男のくせに魔女らしい――中盤から徐々にミステリアスな雰囲気を漂わせる、ポップでキュートな魔女系ラブストーリー。

木陰くんは魔女。

CHAPTER.3(1巻収録)より

絵面はあくまでかわいく、ストーリーはダークメルヘンと隙のない作りです。ヒロインがヤモリみたいな顔してて生意気かわいい。


団地の屋上に森とか(どっかのアニメスタジオみたいで)めちゃめちゃおしゃれだと思いますが若年層にはそうでもないのか。
布石の処理が上手く、まとまりのあるストーリーで、終わり方もいい感じ。世代を問わず割とおすすめの一作です。「月刊YOU」で2015~2016年連載、全3巻で完結

試し読み eBookJapan

魔女くんと私(縞あさと)

隣の席の男の子は、女に触れることでのみ力を発揮することができる男の魔女。ただし女子アレルギーの持ち主で、女の子に触られると体調が悪くなり力が暴発してしまう――マイペースでちょいSなヒロイン凪と、彼女に触られて毎回嘔吐するイケメン真白くんが織りなす魔女ラブコメ、全1巻

短い話ですがまとまりがきれい。またしても男の魔女ですが、女性を媒介にしないと力を発揮できないという設定も話作りにうまく噛んでます。絵も見ての通り上手く、処女単行本らしからぬレベルの高さ。


過去のあれこれで真白くんはかなり根暗で排他的なんですが、ヒロインがゴリ押しで仲良くなっていく流れは違う意味でちょっとファンタジーかも。

試し読み 白泉社公式サイト

【オススメ】辺獄のシュヴェスタ(竹良実)

一転こちらは史実寄り。親を処刑された「魔女の娘」だけが集められたクラウストルム修道院(分水嶺の城)。そこは3年間の寄宿舎生活を経て真の信仰を取り戻す――すなわち洗脳し、復讐の意欲を失わせるための場所だった。少しずつ修道院の罠に気付いていく主人公エラは、仲間とともに過酷な運命への反逆を開始する。

辺獄のシュヴェスタ

第8話”悔し涙”(2巻収録)より

題材が題材なので凄惨な描写が頻発しますが、恭順を強いる逆境に対して知恵と覚悟で対抗するエラは野性味あふれるいいヒロインです。出し抜き合う知恵勝負、印象的な台詞回しも見どころ。

冒頭に登場する隻眼の「鋼鉄の処女」へ向けて物語は収束していき、構成された物語は全6巻で完結。

靴ずれ戦線(速水螺旋人)

時は第二次大戦、旧ソビエト陣営では「大祖国戦争」と呼ばれる時代。魔女バーバ・ヤガーの弟子「鶏の足が支える小屋の娘」ワーシェンカはサイズの大きい軍服を身にまとい、NKVD女性将校ナージャと共に対独戦へ向けて徒歩で戦線へ向けて歩き出す!
独ソ戦争とロシア民話というニッチな題材を取り扱い、コメディ色の中に戦争の悲哀と若干の百合色を漂わせるスラブ系ミリタリー魔女戦記。

靴ずれ戦線

第7話”死の勝利”(1巻収録)より

マンガとしても楽しめますが、同時収録のコラムがヤバいです。1ページの中に圧倒的筆量を詰め込んだメカや文化に関する蘊蓄の塊で、まともに読むとこれがメイン、マンガは箸休め状態になることうけあい。

総合的に旧ソファンなら絶対楽しめると断言できる反面、元ネタ知らないと全然面白くない話もちらほら。
ちなみにバーバ・ヤガーは老婆の姿をしたロシアの魔女で、鳥の脚うんぬんは彼女の民話に基づくものです。「ホブゴブリン 魔女とふたり」ではメインキャラのひとりを張ってますんで、ご興味あればそちらもどうぞ。
下記リンクのペレストロイカは続編ではなく新装版。新規で買うならこっちを薦めます。

試し読み コミックシーモア

乱と灰色の世界(入江亜季)

漆間家にひしめくクセモノ揃いの魔法使いたち――10歳になる末っ子の漆間乱は、だぼだぼのスニーカーを履くとセクシーな大人に変身することができる魔女(見習い)。身体は大人で心は子供の彼女だったが、大人のまま出会ったやはりクセモノの妙なオトコ、三門凰太郎と恋に落ち――? 他、それぞれの魔法使いの恋や事件で彩られた灰町の愉快な日常と、やがて来たるひとつの災害を描く幻想的でリリカルな絵画的マンガ作品。

乱と灰色の世界

第1話”ちいさな乱”(1巻収録)より

別にこれに限ったことでもないでしょうが、画力が圧倒的。画面いっぱいにひしめくように要素やコマは分散されていますがあくまでも見やすく、細部に至るまで描きこみは細やかです。キャラクターの表情も豊かで、これもストーリーがどうこう以前に見ていて楽しい作品。

漆間乱

第17話”乱は僕のもの”(3巻収録)より


全7巻。良くも悪くも前半と後半は結構別モノなので、読んでみて気に入ったらぜひそのまま最後まで読み進めて欲しい作品です。入江先生初の長編ですが、完結までに7年ぐらいかかってますからね……。
この人の描くマンガは女性はもとより男性も妙な色気があって、男の僕が読んでも魅力的。特に凰太郎は男が描くとなかなかこの愛嬌が出ない、すごくいいキャラです。

魔女の下僕と魔王のツノ(もち)

薬草魔女・ベティの下僕アルセニオは、雷を操る魔王キングブルの角を手に入れるために単身魔王城へ向かうことになる。そこで結果的に救いだすことになった囚われのボクっ子巨乳美少女・レイは魔法で女性化している男性で、アルセニオは新たなる何かに目覚めることに? ――ハイテンションでギャグとシリアスを行ったり来たりの、ハイ・ファンタジーTSラブコメ。

仮置きです(TSカテゴリ移動予定)。魔女(下リンク表紙の女の子)の存在感は薄いわ恋のライバル(?)は現れるわでどこ目指してんだよこの話はと思いながら読んでましたが、2~3巻読むとだんだん話がまとまってきて、ガチのラブコメになっていきます。しかしメインヒロインは全員男。このへんの「心の性別」みたいなこともだんだん話に絡んでくるんですが、これどこまで決めて描いてたんだろうか…。

ガンガン系の明るいノリとテンポの良さですいすい読まされ、ギャグから人が死ぬレベルのバトルへとシームレスに移動する読み味は人を選びますがクセになります。

試し読み GANGAN NET

あなたソレでいいんですか(前田悠)

男たちは言う。「誰でもいいから人を殺してみたい」「恋人なんて欲しくない」「全裸こそが人間本来の姿である」と……。しかし彼らがで出会ってしまう謎の女子高生・諸友しおりは、正論のような揚げ足のような妙な議論、あるいは悪戯を通じて彼らを試し、ひとつの問いを結果として投げかける。「それ本気でそう思ってるの?」と。

正論・暴論を言う女子高生、というマンガは実は結構たくさんあります。そして読んでも大体紹介してないわけですが、これは結構好きです。1話もなるほどという感じでしたが、2話でグッとバリエーションを広げてくれたのがいい。
話の展開上あまり重要ではなさそうですが、魔女要素があります。字が違うけど変換できない。

振り返ってみるとむしろこの2話が異色なんですが、これはもともとオムニバスのつもりだったのを、編集部の要請でしおりを固定キャラにしたみたいです。ケガの功名……というのもちょっと違うか、とにかく最初から連作のつもりだと、おそらくこういう繋ぎはしないでしょうね。全2巻で完結。

試し読み モアイ

魔女は三百路から(原作:原田重光 漫画:松本救助)

一見どこにでもいるお局様OLの黒川御影。その正体は御年300歳、かつては月影の魔女と恐れられた三百路の魔女だった。長年の孤独にこじらせ倒しておひとり様生活をMっ気たっぷり堪能する彼女だったが、イケメン新入社員の小林くんと電撃的な出会いを果たしてしまう。
魔女としての矜持を持つ御影は全てを振り捨て、彼の手を取ることを選ぶのか……というか、そういう選択肢のあるところまでたどり着くことができるのか?

ストーリー仕立てで自分の不幸を楽しむ感性、自虐的なギャグが渇いた笑いを誘います。作者が眼鏡マンガ描いてる人なので眼鏡成分多め。

そういうのは抜きにしても、アイドルゲーに廃課金する、嫌々結婚式に出席する、物欲スイッチが深夜に入るといった共感ポイントが多くターゲット層は明快。その上でちょっとだけファンタジーという作りがあざとい。

試し読み 白泉社公式サイト

テーレッテレー

というわけで魔女マンガでした。意外と黒猫やカラスなどの「使い魔」が登場するマンガが少ない印象ですね。今やるとあまりにもテンプレ過ぎるのかな。
また何かいいのあったら追加していきまーす。

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