光あるところ影もあり。悪夢の世界を彷徨うダークファンタジー系マンガ群

まえがき

ダーク・ファンタジーというジャンルに、明確な定義があるわけではありません。おおざっぱに毒が強い作品、残酷性やバッドエンド指向等が強いファンタジー作品、というようなニュアンスで選んだカテゴリとなります。

【オススメ】進撃の巨人(諫山創)

1~2巻ぐらいから割とプッシュされていましたが、いつの間にか日本で最も有名なマンガのひとつまで登り詰めてしまった国産ダークファンタジーの稼ぎ頭です。「おっさんの形をした巨人たちが多幸感に満ちた表情で人を食べる」という強烈な絵面でまず読者をノックアウトしてきますが、サスペンス・ミステリー要素も高く、多くの謎を少しずつ解明する形で世界の全容が明かされていくストーリーにも高い魅力を感じます。


30記事以上書いてやっとこれを紹介できることに若干の感慨を感じないでもないです。このカテゴリの先陣を飾るだけあり絶望感はなかなかのもの。仲間たちは次々と巨人の餌食となり、せっかく作った防護壁もでかい巨人とか硬い巨人とかにあっさりぶち破られます。

諫山先生は「マブラヴ オルタネイティヴ」のファンらしく、その「悪意的姿勢に衝撃を受け」「壊してやりたいという衝動」にかられたことでこうした物語を創案されたそうですが、なんかもう凄くよくそのへんは伝わってきます。

今後も長く読み継がれるであろう、現代を代表するマンガのひとつです。

【オススメ】ベルセルク(三浦建太郎)

隻眼・隻腕にして、大剣を操る「黒の剣士」ガッツ。狂おしい思いに突き動かされ、異形の怪物「使徒」を笑いながら殺戮する彼に、かつて何が起きたのか。物語は過去へ飛び、皮肉な運命の因果が紐解かれていく。

このジャンルにはこれも欠かせないだろうということで、他のカテゴリからスカウトしてきました。中盤の展開の極悪さで歴史に名を刻んだ作品です。

三浦先生と元「少年ジャンプ」編集長の鳥嶋和彦さんの対談で、鳥嶋さんは「僕が編集者だったらああいう展開にはさせない」という旨の発言をされています。この発言はある程度的を得ていた感があり、あまりにも盛り上げてしまったために燃え尽きてしまったようなところがあります。
逆に言えば三浦先生の才能が、一度全てそこに凝縮したような爆発的なカタルシスがこの作品最大の売り。未読ならぜひ一度味わってみて欲しいです。

メイドインアビス(つくしあきひと)

正確な深さが不明な超巨大な縦穴、「アビス」。その中では特異な生態系と、超常的な力を持つ「遺物」たちが、探窟家たちを待ち受けている。ただし、潜れば潜るほど戻った時の上昇不可は強く、六層以下に進んだ者はほぼ確実に死に至る。
伝説の探窟家を母に持つ少女・リコ。彼女は謎の少年(遺物?)レグと共に、アビスの底へと母を探す旅に出る。

かわいい絵本的な絵柄と、エグい内容のギャップで話題となった作品。出てくる生物は妙にグロい生態のものが多く、常に前進は命懸け。

アビスは潜ること自体に負荷があり、滞在するだけでも嘔吐や頭痛をともないます。道中で遭遇する探窟家も協力的とは限りません。これらの障害を突破してアビスの底へと辿り着けたとしても、戻ることができないという初手から詰んだ設定。度し難い。

試し読み まんがライフWIN

シャドーハウス(ソウマトウ)

不思議な館で顔のない少女に仕える、生き人形の少女エミリコ。仕事は掃除、裁縫、そしていずれは主人の「顔」となること――

1巻だけ読むとドジっ子メイド日常系(やや不気味)で、それを踏まえて徐々に物語が展開していきます。舞台も室内から外へ拡大していくので、洋館好き、庭園好きの人にも非常におすすめ。


同時期では「約束のネバーランド」にやや近く、読んで連想したのはゲームの「ICO」。同じ作者の「黒」がお好きな方はマストバイの作品です。

試し読み コミックシーモア

ドロヘドロ(林田球)

とかげ男と拳法女が廃墟のような街で「魔法使い」と戦う、割と何がなんだかわからない状況からスタートするダーク・ファンタジーです。
読み進めるうちに段々と、実はかなり親切なマンガだということがわかってきます。とかげ男(カイマン)廻りだけごちゃごちゃしていますがそれ以外はそれほど難解なことはなく、ノリも明るく、女の子も何気にかわいいです(体格はごついですが)。

作者は芸大出身の女性だそうです。画力は非常に高く、かなり特異なデザインセンスと異様な物語がいりまじり、全体感は混沌。ハマる人はどこまでもハマる魅力を持った作品です。

アヴァルト(光永康則)

謎の怪物「スパゲッティ」に侵略される人類。しかし彼らは抵抗の牙を持たない。持つ必要がない。なぜならばある程度人が殺されたところを見計らったかのように、神々「アヴァルト」が現れてお救いたまうからだ――「どこかで見たような設定」を複雑に組み合わせて「どこにもない物語」を組み立てる、ファンタジーとSFの間を予測不可能な形で移動するサバイバルダークファンタジー。

ややマイナーですがこれは面白い。素直なファンタジーっぽい表紙からは予想もつかないねじくれ曲がったストーリーで、とにかく先の読めない展開と膨張する謎、先行き見えない焦燥感にストーリーは常に包囲されてます。推進力高い。

描写が淡泊で肌感覚としての絶望感は薄いので、進撃の巨人的なノリを期待するとちょっと肩透かしかもしれないです。グロ描写も(このカテゴリとしては)控えめ。

かつて神だった獣たちへ(めいびい)

戦乱を鎮め、平和を取り戻すために異形となった擬神兵たち。救国の英雄はしかしいずれも、やがて人格を失い獣へと成り果てていく宿命を背負っていた。自らも擬神兵として戦乱に立っていた男は、本当の意味で戦争を終わらせるために獣たちを狩り続ける。そんな彼の前にある日ひとりの少女が現れ、父の仇を晴らすべく銃口を向ける――

面白かったかどうかでいえば割と面白いです。なんですがまず凄く既視感がある、具体的にいうとベルセルクに妙に似てるのでどうしても比較してしまい、結果として損をしてる印象があります。

この設定が持つべき重厚さに欠けますが良く言えば軽快。6巻が割と好き。

試し読み 講談社コミックプラス

ダムド(ツナミノユウ)

「ごん、お前だったのか」――童話「ごんぎつね」の結末を迎え、絶望の淵に立った猟師・兵十は、ビルの立ち並ぶ現代的な世界で新たな生を受ける――怪物たちを倒して刑期を減らし、人々に蔑まれる「悪役(ヴィラン)」の一員として。アッパー系ギャグの名手が新境地を拓くハードボイルド・アクション。


主人公は猟師ですが「ブン殴る」ことに特化した能力持ち。あまり凝った能力は出てこず、基本殴り合いマンガです。エリア88的シブさとツナミノ作品の遊び心や変なギャグが混在し、そこに円谷的造形趣味とダークな暴力性をミックスしたキメラっぷりはわかりやすくエンタメ性高め。

残念ながら早々に完結しそうな上に、単行本化もされなさそうな勢いです。サイコミで連載。終盤の展開が熱い。

試し読み サイコミ

二度目の勇者は復讐の道を嗤い歩む(原作:木塚ネロ キャラクター原案:真空 漫画:四方屋やも)

なぜ一度目の俺は、こいつらの本性に気付かなかったのだろう? 仲間を信じ抜き、最後には裏切られ殺された「元」勇者宇景海人。しかし彼の時間はふたたび、この世界に召喚された場面へと巻き戻される。裏切られた記憶はそのまま残り、海人は復讐者として自分を裏切ったものたちを血祭りにあげることを誓う。

思いのほか容赦なく、主人公がしちゃいけない顔を頻繁にします。レビューでさんざん言われてますが、どのように裏切られたのかが説明されないまま話が進みます。カタルシスもへったくれもなくただ残虐描写が続きますので、人によっては気分悪くなるだけかもしれません。原作のほうのレビュー読む限りそのうちそこは納得のいく説明があるようです。

ただこのガーンと振り切った感じは魅力ですね。絵的には割ときれいめでとっつきやすく、バトロワとかのひとりひとりひどい目に遭うあの感じが好きな人なんかだと割と楽しめるかと思います。

試し読み コミックシーモア

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