みんな銭ゲバズラ!
とある実験によると、人間は行動に対して「なんの意味もない数値が増える」だけでモチベーションが励起されるそうで、ましてやその数値がものを買える意味のあるものなら嫌いになれるわけもなし? 下手をすると人生で最も大切なものにランクインしかねない、人の欲の結実する「金」をテーマにした作品カテゴリです。
ギャンブルもの(オリジナルゲーム、デスゲーム、麻雀など)などは別カテゴリですが、投資・投機や経済マンガはこっちで扱います。
定額制夫の「こづかい万歳」 ~月額2万千円の金欠ライフ~(吉本浩二)
「ブラック・ジャック創作秘話」をはじめなんとなく気になるマンガを連発し、現代の漫画界で少なからぬ存在感を示す漫画家・吉本浩二。だがその小遣いは月2万1千円……! 酒もタバコもやらないし昼飯代も含まない、それでもカツカツだというのに、なんならもっとシビアな他の小遣い夫たちは、毎月どうやってやりくりしているのか? 禁断の秘部を暴くリアル小遣いドキュメンタリー。
一応余暇の過ごし方、お金の使い方が主題なのですが、題材上必然的にせせこましい・涙ぐましい節約術を描くのでプロレタリア文学的な悲哀が滲みます。
吉本先生の本前にも何冊か買いましたが、一冊買うと数十円漫画家の収入になるはずなので、「僕の買った分の印税がこのお菓子になったのか……」とか勝手に思いながら読みました。
僕は結構縛りプレイみたいなの好きなので、共感する部分も多かったです。なんか登場人物のA型率高そう。
家庭を持つということの現実を描いた作品でもあり、同じような境遇の人にとっては救いになるかもしれません。「モーニング」で2019年~連載。
類似作 1日外出録ハンチョウ(原作:萩原天晴 漫画:上原求/新井和也)
試し読み Renta!
FX戦士くるみちゃん(原作:でむにゃん 漫画:炭酸だいすき)
大好きな母は、相場の魔物に取りつかれ変わってしまった。喪ったものは取り戻せない――しかし、福賀くるみは自分なりの意地として、母が奪われた2000万円を自分の手で取り返すことを誓う。しっかりと勉強し、順調に資金と死亡フラグを伸ばすくるみだったが……FXの夢と恐ろしさを描き、リアル過ぎる心理描写で読者の胃を震撼させる話題作。
カイジとかなら「自分から遠い」のでそうでもないんですが、このマンガの場合共感してしまうし、賭け代は家族の信頼とか現在の生活とかだし、一瞬で人生が破壊されそうなのが見てて本当につらい。
原作は新都社掲載、2021年~「コミックフラッパー」で商業化。でむにゃん先生「FXでは勝ち組になれなかった」とのことですが、それでこれを描くメンタルはただものではない。
試し読み コミックフラッパー公式サイト
マネーハンター(玄太郎)
ジャパン・アズ・ナンバーワンの80年代、日本が経済の高騰に踊っていた時代――しかし当時の市井の人々はそんなことは知らず、当たり前に仕事をこなし、家計を管理し、人によっては投資で損をしたり得をしたりと今とあまり変わらない生活を送っていた。銀行員、おせっかいな婆さん、経済コンサルタントなど、様々なキャラクターが描くバブル期経済・マナー指南オムニバス。
後半はほぼ学習マンガですが、マナー回、税金回、節約回など色々出てきてなかなか楽しい。
経済指南作品から一転、バブル崩壊後は玄先生エロコメを手掛けているんですが、気になるようなならんような。全3巻で完結。