エログロからヒューマンまで完備、プロとしての矜持を背中で語る殺し屋・暗殺者系おすすめマンガ群

俺の後ろに立つな

背中で語っといて殴りかかる、殺し屋系マンガのセレクションです。基本的には現代~近代のものが多くなりますが、中世の舞台で毒塗ったナイフ持ってがんばる人とかいたらそういうのも応援していきたいと思います。日本だと刺客・仕事人なんかも範囲内。

ゴルゴ13(さいとう・たかを)

とりあえずこれを紹介しないと始まらないという作品が大体どのカテゴリもひとつふたつありますが、殺し屋といえばこれ。

凄腕のスナイパーにして格闘技の達人、寡黙にして無表情、報酬は高額、道具にこだわりプロとしての誇りを持つ……という、なんとなく一般的にイメージされる殺し屋像みたいなのを確立したマンガです。「ほんとにこんなやついたら真っ先に殺される」とさいとう先生自身がどこかでおっしゃってました。

一時期帰りに古本屋で文庫版を適当に買って読んでは捨てるという生活をしていたので、かなり読んだはずですがどれを読んでてどれを読んでないのかあやふやです。とはいえ、この超長期連載で大体どれを読んでも面白いというのは凄いですし、どこから読んでも問題ないです。その時その時の時事情勢を織り込むので、なんとなくいつ頃の話かわかるのも嬉しいところ。

分業制で作られた作品としても有名で、脚本協力者には小池一雄、宮崎惇、きむらはじめ各先生などが名を連ねます。ゴルゴの顔だけは全部さいとう先生が描いてるらしいですが。

【オススメ】殺し屋1(山本英夫)

「ジジイ」以外は誰もその正体を知らない謎の殺し屋・1(イチ)。死体は鉈で叩き切ったようにバラバラにされ、部屋は一面被害者の血に染まっている。そして犯行時間には決まって、子供の泣きじゃくるような声がする――

ヤクザが集まる歌舞伎町のマンションを舞台に、凄惨過ぎる暴力描写で読者を圧倒するバイオレンス殺し屋マンガの名作。相当グロいので注意ですが、ただグロいだけのマンガでもないです。

イチのキャラクターも複雑で面白いですが、実質的にこのマンガの主人公は敵役の垣原。ドMで凶悪で口が裂けてて思索的な実に人間臭いキャラクターで、僕の知る限りマンガの悪役ベスト3に入ります。
垣原以外も登場人物はほぼ全員悪人。別にルールはないですが、デスゲームっぽいのが好きな人にもおすすめです。

【オススメ】ザ・ファブル(南勝久)

伝説の殺し屋「ファブル」は、1年大阪で身を潜め、普通の暮らしを営むよう命令される。その間殺生はご法度――
「妹」役の佐藤洋子(偽名)と平和に暮らす彼だったが、意外に世話焼きな一面を持ち、身の回りにトラブルが起こるとその鍛え抜かれた能力と勘を発揮して、他の殺し屋や組員たちを手玉にとる圧倒的な問題解決能力を見せつける。

この手のアウトロー漫画だと、僕の知る限りトップクラスに面白いです。クールで超俗的なのにどこかピュアな主人公のキャラクターがいいですね。


ギャグも冴えてますし、グロ要素も少なく、殺し屋もどことなく上品なキャラが多いです。あと洋子ちゃんの酔い潰しフェイズが大好き。女性にもおすすめの作品。

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バイオレンスアクション(原作:沢田新 漫画:浅井蓮次)

東京に蠢く恨みを晴らすデリバリー組織――なぜかデリヘル風のホームページで指名できるNo.1の殺し屋は、ゆるふわ風の美少女。主人公ケイを中心に、一癖あるキャラクターたちが火線をくぐる新時代の殺し屋アクション。

バイオレンスアクション

第2話(1巻収録)より

簿記を勉強し、漠然と自分の可能性を模索するミステリアスな美少女が殺し屋としては超一流、みたいなやつです。使い捨てかと思いきや意外とキャラクターが再登場し、それぞれの個性も掘り下げられていきますし、集団戦みたいなのもあって結構燃えます。

ほぼタイトル通りの作品。B級アクションが好きなら一読の価値あります。

試し読み やわらかスピリッツ

CANDY & CIGARETTES(井上智徳)

難病に冒された孫の治療費は月に約100万円。大見栄を切ったものの、退職金も蓄えも、コンビニバイトの給料も知れている……。警視庁を定年退職した平賀雷蔵は、ふと見かけた求人広告に目を見張る。剣道7段以上柔道5段以上拳銃操法上級、元気でやる気のある方、月100万円支給――

幸い面接は好感触だったが、それだけもらって楽なバイトのはずもない。謎の組織「独立行政法人SS機構」の業務は法的に裁けない人間の暗殺であり、平賀の仕事は死体の始末。そして相棒は11歳の殺し屋・涼風美晴!? ジジイと小学生の凸凹コンビが繰り広げる、銃撃ちまくりのパルプ・アクション!

涼風美晴

PULP.4″復讐は雨の匂い”(1巻収録)より

話自体はベタで大きく期待を上回ってはきませんが、スーツ着た男たちとのカーアクションや銃撃戦には「やることやってる」感のある手堅い面白さがあります。

あとこの作者はおじいちゃん描くのが妙に上手い。タイトルカットやちょっとした1コマの止め絵にも映画の1コマを切り取ったような「見栄」があり、ぽんと気持ち良いところを押されるような感覚があります。似た感じだと「バイオレンスアクション」のほうが僕は好きですが、歳の差バディものやシンプルなガンアクションが読みたければこちらもおすすめです。

CANDY & CIGARETTES

PULP.2″小さな殺し屋”(1巻収録)より

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ガールメイキル(板倉梓)

中華街に舞い戻り、レンタルビデオショップに住み込みで働くで青年・五本木。オーナー・馬目の知人であるチャイナ服の美女・留華と快活なオカマの桂、そして15歳の少女・芽衣と同居することになったが、うまくやっていけそうな気がしていた――彼ら全員マフィアの構成員であると知るまでは。極力関わらないようにしていた五本木だったが、運命は彼を引き寄せるようにして、生まれ育った街の暗黒面へと彼を誘っていく――

ガールメイキル

第1話”帰郷”(1巻収録)より

「無邪気な殺し屋」タイプですね。マフィアものとしてのドライな魅力があり、足元を少しずつコンクリで塗り固められるような硬質なスリルがあります。馳星周的なの読みた~いというハードボイルド寄りの方だとグッとくる可能性が高いかと。アクションやグロ描写は簡潔に処理されるので、そういうの読みたい方はやめといたほうが無難。

五本木

第8話”指”(2巻収録)より


まんがタイム系でかわいらしい絵でデビューしつつ非凡なストーリーセンスを見せ、じわじわとその活動の場を拡大している感のある板倉先生のたぶん一番有名なマンガ。最後の展開はなかなかに衝撃的なものでした。とはいえ、そのラストに関しては微妙に納得がいってないのですが……(ネタバレ感想に続く)。



無自覚な少女時代から「大人」へと変化するにつれ、犯してしまった罪を同じく罪を背負った五本木が全て背負い、彼女の前から(過去を想起させる)自分が「完全に」姿を消すことで新しい人生へと送り出す……ということだと思うんですが、それを芽衣が納得するまでの過程が早すぎる。さらに彼のことを忘れてしまうのもよくわからない。
芽衣自身も行き詰まりを感じていたのかもしれませんが、それでも五本木と一緒にいることを彼女は選ぼうとしたんじゃないか……という気がしてならないです。美しいラストでなくても、ふたりが一緒に船に乗っている結末が見たかった、というのが正直なところです。

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幸せカナコの殺し屋生活(若林稔弥)

ブラック企業を退職したばかりのOL・西野カナコ。うっかり殺し屋に転職した彼女だったが、条件的には超ホワイトだし、才能もあるみたいだし、気に喰わない人はすかさずスナイプできるし、人から必要とされるのなんて初めてだし……と殺し屋稼業にハマっていく。「読むと元気になる」殺し屋コメディ。

バラエティ豊かなクズ登場→処すという構造が基本。この題材で明るく話を進める胆力はさすが売れっ子と言うべきか。理不尽や裁かれない犯罪だらけの今の日本を象徴してる感じがして、読んでて楽しい半面やや複雑な気分です。

「殺された人にも事情や家族がある」といったフォローがないのも男らしい(?)。倒叙ものの文法に従うならこの作品の結末はある程度義務づけられているんですが、この狂った状態のまま完走して欲しいような気もします。

試し読み 最前線特設ページ

他にもこんな殺し屋たちが夜な夜な悪夢にうなされています

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