つかみかけた熱い腕を
日本の格闘マンガにおけるメインストリームのひとつ、ボクシングマンガのご紹介です。
割と「明日のジョー」が全部やっちゃった感のあるジャンルですが、減量とか修行とか変なライバルとかビッグマウスとか後遺症とか必殺技とか世界王者とかどうあがいても盛り上がる要素が盛りだくさん、アイデア次第で戦闘エフェクトに凝ったり友情や恋愛要素を入れたり、ドラマの骨格としても使いやすく非常にマンガ向きの題材です。ただし背景はおっさんを大量に描く必要がありめんどくさいです。
最近は無敗かつ高校生で複数タイトル取得みたいな人もいるようで、フィクションにガッツリ追いつかれてる感もありますが……。
はじめの一歩(森川ジョージ)
いじめられっ子の幕の内一歩がボクシングと出会い、その反則じみたハードパンチャーとしての才能を開花させていく、100巻超えのボクシング漫画。一歩と同じ練習をすれば日本チャンプぐらいにはなれるとすらいわれる圧巻の練習量と、緊迫する試合展開で麻薬的な面白さを発揮しています。
設定資料を作らないのは用意しても連載打ち切りになり全て無駄になることが多かったからです。ネームの段階ではボクシング部が舞台で身長などの設定もありましたが全部ボツになりました。大雑把にバーっと描き出しても長く続く例もあるので、漫画家を目指す人はとにかく原稿を仕上げるのも一手です。 pic.twitter.com/nYVvx6U4sU
— 森川ジョージ (@WANPOWANWAN) 2018年11月24日
ちょっと布石の回収に難があるというか、引き延ばし癖のあるマンガですがめちゃめちゃ面白いです。超有名作ですが普通におすすめ。
暗黒拳闘伝セスタス(技来静也)
舞台は帝政ローマ中期。拳奴として明日をも知れぬ拳闘試合に挑むセスタスと、総合格闘技パンクラティオンを修める衛士ルスカ。光と闇を体現するかのようなふたりの主人公によって表と裏から物語は紡がれていきますが、どちらが光でどちらが闇かは意見が分かれそうなところです。
体格に優れない主人公が努力と研鑽で勝利をもぎ取るスポ根ものとしてまず十分に面白いです。かつ、ネロ皇帝を中心とした政略ものとしてもかなりの尺を取り、歴史好きの方も楽しめるお得な作品です。暗黒拳闘伝が15巻で終了後、トーナメントものとして拳闘要素に特化した拳奴死闘伝が続編として発表されています。
BLACK‐BOX(髙橋ツトム)
態度は生意気だが技術は華麗で群を抜き、しかも「殺人一家」の一員としてゴシップ的な話題も集める新人ボクサー・石田凌駕。チャンピオンへの道を一直線に目指す男のストイックな生きざまと内面を描く。
ただそれだけだと「地雷震」の繰り返しになってしまうので、各作品どこかで崩しにかかるんですが、毎回ちょっと外してる印象があります。この作品で言うと終わり方はちょっと微妙。
試し読み アフタヌーン公式サイト